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アユ釣り/親子3代友釣りマンを育む美味アユが躍る水の都

おすすめ時期:6~11月(解禁期間要確認)

文◎鷲見冬彦
028-033sumi-yoshida_cs6 (14) 旭大橋の下流の瀬。エメラルドグリーンの澄んだ水、胸のすくこんな景色が鷲見さんの自宅付近に広がる

 山紫水明のアユ河川が幾筋も枝葉を広げる岐阜県。なかでも長良川上流域にある郡上八幡は毎夏多くの友釣りファンが訪れる水の都。ベテランが「この川のアユ釣りは一味違う」と口を揃えるのが長良川支流の吉田川である。清らかな水が育んだアユは凛々しくて美味。情緒ある町と山間を流れる変化に富んだ川相も楽しい。そんな吉田川のほとりで生まれ、親子3代で友釣りを楽しむ鷲すみ見冬彦さんのアユ釣りを追った。

この記事は『つり人』2017年7月号に掲載したものを再編集しています。

028-033sumi-yoshida_cs6 (13) 鷲見冬彦さんは1972年生まれ。中学生のころから友釣りをはじめ、オモリを使った瀬の引き釣りが得意

生活の側にはいつも吉田川がある


 吉田川は岐阜県郡上市明宝の烏帽子岳を水源とし、郡上八幡を貫通して長良川に注ぐ。全長32㎞にわたる大支流で川相は表情豊かである。上流域は大きな岩が点在する渓流相で荒々しい姿も見られるが、中流域から里川らしい流れに変化する。八幡町内は川がまるで人々の生活に寄り添うかのように、家々のすぐ側を流れる。町中に水路が張り巡らされていて、人々と吉田川とが密接に関係する。まさに「水の町」を象徴する風景だろう。

 私は吉田川のほとりに生まれ育った。生家はテラスからサオをだして釣りができるほど、まさに目の前を流れている。川遊びの楽しさ、そして怖さを知り、アユ釣りを覚えた。父もまた筋金入りの友釣りマンで吉田川、長良川とともに人生を歩んできた。生活にはこの川がいつも側にあり、所帯を持ってからも吉田川の側に居を構えようと思ったのは自然の流れだった。いつでも川を見られる環境は、釣り人の私にとってはうれしいこと。2人の息子の父親となり今度は私が釣りを教える番になった。

028-033sumi-yoshida_cs6 (1)_1 川見をする3人の親子、手前から冬馬さん、冬彦さん、夏生さん

028-033sumi-yoshida_cs6 (2)_1 冬馬さんに泳がせ釣りを教える夏生さん

初期に効く止め泳がせの目印の動き


 郡上漁協の解禁日は6月4日(※2017年の情報です。要確認)。本流、支流ともにサオの林になったが数も型もよいと評判だったのは吉田川である。例年解禁日は吉田川下流部が鉄板といわれ、安定した釣果が出やすい。解禁の翌日は帰省していた大学生の息子と一緒にサオをだそうと決めていた。魚影の濃い放流エリア、入川しやすい釣り場は混雑している。まずは自宅のテラスを下りて釣り始める。

028-033sumi-yoshida_cs6 (12) 鷲見さん一家の憩いの場であるテラス。四季折々の吉田川の景色を毎日愛でて一息付く

028-033sumi-yoshida_cs6 (3) 2人の後ろに見えるのが鷲見さんの自宅。まさに自宅下が釣り場になる

 快晴で空気の澄んだ朝だ。山間を流れる吉田川の水温は冷たく日が高くなるまで野アユの活性は低い。また、解禁後だけにスローペースになる。私の自宅下は放流場所からやや離れている。解禁前にアユが動くほどの出水がなかったので場所ムラが激しく、やはり放流場所に近いほど好釣果を出せる。2時間ほど釣った後で自宅からほど近い旭大橋上流の瀬に移動した。ここは放流ポイントに近く、上下流に野アユの補給源となる淵がある。

 移動して間もなくポツポツとよいアユが掛かり出したが、瀬脇や瀬尻などの流れの弱いポイントでフワフワと泳がせ、止めて待つ釣りが効果的に思えた。目印が一定の範囲内で上下左右に振れ動く、そんな止め泳がせの操作である。

028-033sumi-yoshida_cs6 (15) 10時過ぎに移動した旭大橋下流の瀬では肉厚のアユも舞い上がる


 私はオトリの重みを常に感じて操作する引き釣りが好きだ。オモリを付けて流心を引くと、ガツーンと激しいアタリが出る。しかし初期はこうした釣りが成立しにくい。繊細である。釣りたての元気なオトリで最高の泳ぎが演出できても連発せず、元気なオトリを流心に入れても反応はない。なかなかパターンがつかめず、初期の釣りの難しさを実感した。

 オトリを泳がせるにはフロロやナイロンの細号数が楽である。しかし石が大きく落差のある吉田川は根ズレによるトラブルも多い。私の水中イトは複合メタル一本槍だ。泳がせを意識した初期の釣りでは比重が軽いバリバス「エクセラ鮎 メタフレックス」0.04~0.05号が好適である。ハナカン回りは0.4号のワンピース。ハリは「エクセラ鮎ソニック」6.5号の4本イカリ。

鷲見さんの愛用アイテム 028-033sumi-yoshida_cs6 (10) 水中イトは「エクセラ鮎メタフレックス」0.05号と「ハイブリッドメタマックスネオ」0.06号。メタマックスは比重があり瀬釣り向きといえるが、メタフレックスは比重が3.5と軽く、この日のような瀬脇や石裏などを止め泳がせでねらう状況にはベストマッチする

028-033sumi-yoshida_cs6 (11) ハリは「エクセラ鮎ソニック」(左)6.5号4本イカリをメインに使用。掛かりがよくキープ力も高い「エクセラ鮎ダイレクト」も用意

028-033sumi-yoshida_cs6 (9) この日使用したサオ「レクシードヴォルティス クアトロエディション85」。操作性に優れ、オバセ調整と引き釣りにも優れた絶妙な先調子。タメ性能も高い。スピーディな循環を演出する

028-033sumi-yoshida_cs6 (1)

好きこそ物の上手なれ


 昼食休憩を挟んで中央橋下流の瀬に向かった。幸いにも釣り人は少なく、ほぼ貸しきり状態で石色も悪くない。吉田川でよい石色とされるのは明るめの黄色い石だ。段々瀬の肩にあるピンスポットのヨレをねらうとすぐに反応がある。ねらいはやはり瀬脇、瀬尻などの緩い場所だ。加えて小さな瀬の落ち口にもオトリを入れると好反応が得られた。魚のコンディションは申し分なく、くっきりと追い星の出た個体が、背掛かりで飛んでくる。釣れたアユはみな香りやヌメリが強い。

028-033sumi-yoshida_cs6 (5) 朝と夕方ではアユの活性はがらりと変わり、背掛かりの良型魚がサオを絞った

028-033sumi-yoshida_cs6 (4) 吉田川のアユは肉付きがよい。エリアによっても味が変わり、特に美味しいといわれているのが中流域である

 掛かったアユを眺めていると、まだまだ若い容姿である。盛期になれば体色はやや茶色がかっていて野性味溢れる。背中はたくましく盛り上がって引き方もパワフルになり、香りはさらに強まる。吉田川の水質や水量、石の大きさ、そしてそれらが育む良質なコケがよい魚を育む。

 ちょうど時合と重なったのか、入れ掛かりとはいかないまでも若アユの小気味よいアタリが連発した。終了間際には親子での掛け合いもあり、非常に楽しい時間をすごすことができた。高校2年で友釣りを始めた長男もいつしか一端のアユ釣りマンに成長している。「好きこそ物の上手なれ」とはよく言ったもので、熱心に取り組むことで上達も早いようだ。この環境に身を置きながら長男が本格的に友釣りを始めたのは高校2年からだ。やや遅いと思われるかもしれないが、現代の子どもたちはスポーツクラブや部活動などが忙しく、土日も夏休みもないのだ。「こんなによい川が近くにあるのだから」と強引にアユ釣りをすすめるつもりもなかったが、やはり息子のような若い世代に友釣りをやってもらいたいというのが私の本音だ。

028-033sumi-yoshida_cs6 (6) 段々瀬の肩にあるヨレを丁寧に泳がせて入れ掛かりとなった冬馬さん。大学を卒業したばかりで就職活動中

 さて、今後の吉田川の展望について。解禁から一週間で長良川本流は冷水病の兆候が見られる。例年のパターンとして、このまま行くと吉田川でも冷水病の蔓延は避けられない。ただし、上流の明宝エリアだけは中下流部が厳しい状況にあっても安定して釣れる傾向にある。その後、しばらくは魚の活性が下がる期間が続くと思うが、梅雨明けとともに復調してくる。そして吉田川が一番面白くなるのが8月のお盆前後。その頃になると23~25㎝がアベレージとなり、パワフルで美麗、それに最高に美味しいアユがサオを絞ってくれる。また、今年は天然ソ上も多い。梅雨明け以降にはこのアユたちも大きくなって追い出すだろう。こちらは下流部の町裏を中心に9月いっぱいは楽しめるはずだ。

 今回の釣行では解禁初期の難しさと、アユ釣りの楽しさを再確認。また長い禁漁期間で忘れかけていた友釣りの感覚も少しずつ取り戻せた。まだシーズンは始まったばかり。吉田川のコンディション確認を毎朝の日課にしながら、この夏を思う存分に楽しみたいと思う。

028-033sumi-yoshida_cs6 (7) 水温が高まると黄色いアユが立て続けに掛かり出した

028-033sumi-yoshida_cs6 (8) 午前と午後で30尾を揃えた鷲見さん、息子の冬馬さんは21尾。「まだまだ負けんぞ」と父の威厳を見せた

028-033sumi-yoshida_cs6 (2)
●管轄漁協:郡上漁協(℡0575・65・2562)
●オトリ店:田中釣具店(℡.0575・65・2540) 
●交通:東海北陸自動車道・郡上八幡ICを降り、R156で長良川


2018/7/5

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