山間の台地に真新しい住宅が建ち並ぶ兵庫県三田市。大阪・神戸へ至近のベッドタウンとして発展する町には、緑豊かな田園地帯もまだ多く残っており、春の小川を探索すれば、元気な野のタナゴに会える。穏やかな日曜日、父娘水いらずのお散歩フィッシングへ。
兵庫県在住・松井さん親娘のお散歩フィッシング
つり人編集部=写真と文
「私が釣ったからね!」と誇らしげな娘の笑顔を見れば、やっぱり仕事も頑張れる山間の台地に真新しい住宅が建ち並ぶ兵庫県三田市。大阪・神戸へ至近のベッドタウンとして発展する町には、緑豊かな田園地帯もまだ多く残っており、春の小川を探索すれば、元気な野のタナゴに会える。穏やかな日曜日、父娘水いらずのお散歩フィッシングへ。
この記事は『つり人』2018年5月号に掲載したものを再編集しています。
◆前編「里の小川でねらうべきポイントは?」はこちら
松井伸吾さんは鳥取の大学を卒業。釣り好きが高じて釣りメーカーに就職。営業や製品開発に長く携わったが、夢を追い求めて独立した。環境のよいこの土地がすっかりお気に入り
- 1
- 2
魚影を見つけてからサオをだすのがベター
タックルについて触れておくと、サオは比較的長めのものがおすすめ。私は205㎝の小もの釣り用をよく使っている。釣り場によってはもっと長くてもよい。武庫川水系は足場が高めだったり、足もとがブッシュだったりして、短いサオだと釣りづらいことが多いからだ。また、比較的透明度も高いため、タナゴとの距離を縮めようと近づくと、魚たちも警戒してどこかへ行ってしまう。そのため長めのサオが重宝する。エサは黄身練りが基本。卵黄をベースにはちみつやグルテンもちょっと混ぜている。ただ、アカムシがよい時もあるようなので、今後はそれも加えてローテーションしてみようと思っている。
サオはカーボン製の小継ぎタナゴザオを使用。エサはポンプに入れた黄身練り。仕掛けはシモリバランスにした小型の親ウキ+シモリ玉仕掛け
釣り方は、ほとんどが魚の姿を目視してからの釣りになる。いわゆるサイトフィッシングだ。それらしいポイントにどんどんエサを入れていく、ブラインドフィッシングでもよいのだが、それをするのはあらかじめポイントが絞り込めている場合に限る。というのも、あてずっぽうにエサを流しても、ほとんどはタナゴが食う前にカワムツやオイカワの猛攻にあってしまうからだ。効率を考えるとやはりサイトフィッシングでやるほうがよい。
タナゴを見つけたら、流れを読んで、エサをそっと目の前に通してやる。中層よりも底ギリギリをエサが流れるようにするほうが食いやすいので、ウキとオモリを調整して流れぐあいや深さを合わせる。
『川釣り仕掛け入門』
「今までにない川釣り仕掛け入門の決定版! 渓流、湖、里川、河口など、変化に富んだフィールドにさまざまな魚が棲む淡水(汽水含む)では、釣法も仕掛けも多彩。入門者にとっては「どんな仕掛けで、どう釣ればいいの?」が最初の壁。本書では、まず基本となるタックル&仕掛けパーツを紹介、仕掛けはパターン別に解説。そのうえで、各魚種別仕掛けマニュアルへと導入していきます。
「今までにない川釣り仕掛け入門の決定版! 渓流、湖、里川、河口など、変化に富んだフィールドにさまざまな魚が棲む淡水(汽水含む)では、釣法も仕掛けも多彩。入門者にとっては「どんな仕掛けで、どう釣ればいいの?」が最初の壁。本書では、まず基本となるタックル&仕掛けパーツを紹介、仕掛けはパターン別に解説。そのうえで、各魚種別仕掛けマニュアルへと導入していきます。
子連れでも楽しめるお散歩フィッシングの魅力
タナゴ釣りの楽しさは、まずは場所捜しそのものにある。タナゴの釣り場はとても流動的だ。決まったところでずっと釣れるということがほとんどなく、時期やその日のコンディションによってさまざまに変わる。そこであらゆるポイントを見て回るようにしている。よくいわれるように、「タナゴ釣りは宝捜し」だ。そのためなるべく多くのポイントを見て回っているが、まず目安にするのは、たとえば川の屈曲部や合流地点である。その他に流れのぐあい、日当たりぐあい、石や石垣の存在、藻の生えぐあい、貝がいるか……などの要素を複合してタナゴのいそうな場所を捜している。それでも、思いもしなかった意外なところにもいたりするところがまた面白い。
一方で、タナゴ釣りは子どもと一緒に楽しむのにもよい。道具がシンプルだし、サオをだす場所も比較的足場がよいところを選べる。小さい子どもと一緒なら必ずしもタナゴが釣れなくても楽しいし、釣った魚をアクリルケースに入れて、タナゴならきれいな魚体を観察するのもおすすめ。私も休みの日には娘を川に連れて行くことがあり、一緒に自然の中で遊べるタナゴ釣りがよいコミュニケーションツールになっている。家族でピクニックに行くついでにタナゴ釣りなんていうのもありではないだろうか。きっと楽しい思い出ができると思う。
サオを渡せば子どもも夢中になる
「壁の近くをねらってみ~」とお父さんも熱血指導
立派なオスのアブラボテを釣りあげてお父さんの面目躍如!
口吻部の追い星、深いオリーブの体色、オレンジの尻ビレの3 拍子がそろった盛期のオスは小魚と思えない貫禄
地元の人と挨拶がしやすくなるのも子連れ散歩フィッシングの効能だ
- 1
- 2
2019/4/9