編集部2019年8月20日

東京湾で船テンヤタチウオ釣りを楽しむ方法

タチウオ 魚種別釣りガイド

近年、関西を中心に人気が沸騰しているのがテンヤを使った船のタチウオ釣り。一方、東京湾のタチウオ釣りはテンビンエサ釣りが主流なのだが、テンヤを楽しむ人も徐々に増えてきている。

ねらいすまして良型の食い上げをキャッチ! サンマサイズも多かったこの日の船上でこのサイズを反応させられるのはテンヤの釣りならでは 

テンビンエサ釣り盛況の中でチャンスをねらいすます醍醐味

写真&文◎月刊つり人編集部


近年、関西を中心に人気が沸騰しているのがテンヤを使った船のタチウオ釣り。
一方、東京湾のタチウオ釣りはテンビンエサ釣りが主流なのだが、テンヤを楽しむ人も徐々に増えてきている。
東京湾のテクニカルな船釣りを得意とする吉岡進さんは、テンビンエサ釣り、ジギング、そしてテンヤと、タチウオ釣りのアプローチ全般に精通するアングラーの一人。
そんな吉岡さんに東京湾でテンヤを楽しむためのエッセンスを聞いた。


〝小さいのはいらない〟そんな人にこそおすすめ


 近年、東京湾でもルアーフィッシング人気の影響で、タチウオジギングについてはテンヤに先駆けて徐々に楽しめる船が増えている。ライト系オフショアルアーを得意にする吉岡さんは、このタチウオジギングにも詳しい。そして、テンヤタチウオは基本的にタチウオジギングに通じる部分が多いと語る。

「テンヤタチウオの釣りは、ジギングと同じで基本はシンプルです。動かして止める、止めると当たる。サオ先が上がるので、それをとらえて合わせます」

 ただ、テンビン仕掛けとテンヤ仕掛けでは、同じオモリ号数でも水流抵抗などの違いによりどうしてもテンヤのほうがオマツリを誘発しやすい。特に重いヘッドが他の人のPEラインに絡むと与えるダメージが大きく、「テンヤは非常に面白い釣り方ですが、僕もたとえば潮がかなり速い時などはテンヤの釣りはしないようにしています。また、テンヤは基本的に重めの50号がよく(テンビンエサ釣りの東京湾での標準オモリ負荷は40号)、あとは上へシャクって落とすのを3回くらい行なったら、基本的には必ず一度回収して入れ直します。まずはこれらをしっかり守ったうえで楽しみたいですね」

02-DSC01060 東京湾のタチウオ船団は夏の風物詩。他の同船者は皆さんテンビンエサ釣り

 7月上旬、吉岡さんが乗ったのは釣り仲間が仕立てた東京湾奥の内木丸。他の釣りものでもよく利用しているという馴染みの船と船長だが、それでも吉岡さんは朝から釣りに集中しつつ、常にオマツリ防止には最大限の気を配っていた。

 吉岡さんがテンヤでの釣りが楽しいと感じるのは、良型に絞ってねらえるという点がやはり大きい。あとは、テンヤならではのアタリが出るまでの間合いがある。「先ほど言ったとおり、タチウオはアクションを付けて止めた瞬間に突き上げて来ます。テンヤタチウオの場合、50号の重さのテンヤを直接持ち上げるということですから、そこから掛かるまでに至る魚はやはり相応の大きさがある。〝サイズが選べる〟という部分が、東京湾においてはやはり大きな特徴になりますし、醍醐味というのが実感ですね」

 サオもこの重いテンヤがしっかりシャクれるものを使うが、吉岡さんが愛用するジャッカルの『アンチョビドライバー太刀魚テンヤ』は、実は東京湾でも最近注目を集めている餌木タコにもぴったりなのだとか。今シーズンの東京湾は、近年にないほどマダコが湧きに湧いており、吉岡さんもまさにこのサオで餌木タコを楽しんできたばかりだった。「餌木タコとテンヤタチウオ、どちらも東京湾では新しい釣りですが、どちらかだけでもやってみたいという人にもうってつけです。すごく使いでのあるサオですね(笑)」

●吉岡進さん使用タックル
サオ:アンチョビドライバー太刀魚テンヤ(175MH82と190M64の2本)(ジャッカル)
リール:オシアジガー1500HG(シマノ)
ライン:PE1.5号(1~2号)
リーダー:フロロカーボン5号3m+ナイロン80lb60㎝以上


04-DSC00875 サオは『アンチョビドライバー太刀魚テンヤ』。リールは普段であれば『カルカッタ300』を使うが、この日はオーバーホール中とのことで青ものジギング用の『オシアジガー1500HG』にリブレのカスタムハンドルを付けたものを主に使用

05-DSC00956 イト絡みのトラブルを極力減らすスパイラルガイドセッティングになっている


シンプルな誘いのパターンにテンヤセレクトを組み合わせる


 吉岡さんの誘いは基本的に3パターン。①「ハンドル2回転分のシャクリ&ポーズ」、②「小刻みなシャクリ&ポーズ」、③「一気巻き(3回転~6回転くらいで幅あり)&ポーズ」の3つだ。ベースはこの3択で、あとは船長の指示ダナに従って誘うが、基本的には毎回底は取り、そこから船長の指示ダナ上限まで探るように釣る。

 いずれにしても、ポーズ(=止め)はしっかり取ることが大切。その時のイメージは「たとえばタチウオが低活性で、エサの臭いで食ってきているような感じの時はポーズも長めに入れて待ちます。あとは魚の活性が高くてやる気があると感じられる時ほど待ち時間は短くてよくなるので、それに合わせていきます」というもの。アタリはサオ先の戻りでとらえるが、「毎回、止めた時に〝来るか?〟というドキドキがあって、上手く行くと食い上げた瞬間のアワセでドスンとサオ先が入りこむ。テンヤタチウオはこの一瞬が最高に楽しいですね」。

08-DSC01043 09-DSC01281 アタリがない時もテンヤをチェックすると歯形が。「海中では釣り人の思っている以上にタチウオは興味を示しています。集中を切らさないことがやっぱり大切です」

 船橋港を出た船が向かったのは湾口方面の第二海堡。当日の時点で、東京湾の各港から出てくるタチウオ船は、まず水深が30~40mほどで浅めの第二海堡周りで釣りをし、その後、より深い50~60mの観音崎・走水沖方面へ移動というのがパターンになっていた。第二海堡周りは全体に型は小さめだが数は出やすい傾向である。

 すると吉岡さん、テンビンエサ釣りの仲間が想定どおりアベレージサイズの小型のアタリを取り出し始めた中、いきなり良型を掛けた。「底を取ってから3mで反応があって、そのあと5mくらいまで誘ってきたらドンと入りました」。まさに会心の一尾だ。

07-DSC00845 「来ましたよ!」朝一のポイントでいきなり会心のアタリをとらえた

11-DSC00863 「テンヤの重さがフッと抜けるアタリの一瞬にしびれます」

 この日、使用したテンビンはジャッカルの『アンチョビドラゴンテンヤ』の50号(190g)ノーマルタイプとショートシャンクタイプ(即掛けver.)。シルエットの大小は常に試す。その際、色に関しては「まずおすすめの万能色は赤です。中でも明るい赤はどんな状況でも釣れる感じがしています。あとは晴れている時ならゴールドベース、曇りならグローベース、この3色をカラーセレクトの基本にしています」とのこと。ただし、これも実際は魚の反応を見ていくことが大切で、当日も天気はどんよりとした曇りだったが、金赤のノーマルタイプと紫グローのショートタイプの両方を交互に試し、序盤は全体的に金赤のノーマルタイプのほうが「来るなら底から5mくらいまでで何かしらのアタリがあります」とフィットしている感じだった。なお、エサは吉岡さんが注目しているというカツオのハラモを終日使ったが、メリットや取り付け方については別項のとおりだ。

03-DSC01214 テンヤは『アンチョビドラゴンテンヤ』とそのショートシャンクバージョンである『即掛けver.』の50号・190g

テンヤと好相性のカツオのハラモ 06-1-DSC00775 この日、吉岡さんが使ったのは開発中というカツオのハラモ。最大のメリットはエサ持ちのよさ。そして使用しなかった分は再冷凍でまた次回使える

06-2-DSC00781 使用時はテンヤと合わせてまず大きさを確認

06-3-DSC00784 ハリ部分の長さに合わせてカットする

06-4-DSC00787 身の裏表はどちらもあり。皮が下ならより身の部分でアピールし、皮が上ならエサ持ちがさらによくなる。ここでは皮側から身の中心線を突起にセット

06-5-DSC00794 ハリガネで中心がズレないようにていねいに巻く

06-6-DSC00796 最後にハリガネ先端の余りをヘッドと身の間にしっかり隠す

06-7-DSC00800 即掛けver.のほうにセットする場合はシルエットも小さくするとよい

06-8-DSC00806 全体をスリムにカットした状態

06-9-DSC00807 ここでは皮を上にしてセット

06-10-DSC00990 「皮上はよりルアー的でコンパクトなシルエットになるイメージです」


 その後、ポイントを替えて流していく中でも、「今のはいいアタリでした。テンヤの重さがふっと抜けて、下からトーンと食い上げてきましたね」「下から5mくらいまでの間で小型らしいアタリだけは頻繁にあるのに全く乗ってこないので翻弄されています」「試しに動かし続けるストップなしのシャクリもやってみますね。この時だけはアワセは感覚です」「今のはトーン(シャクリ)、トーン(シャクリ)、ポーズでグン、って理想的なアタリすぎて思わず身体が動きませんでした(笑)」とテンヤならではの駆け引きを楽しんでいた吉岡さん。沖上がり直前の全体にスローな時間帯にもしっかり上がりの一尾を掛け取り、晴れやかに一日の釣りを終えたのであった。

12-DSC_3580 後半は水深のある走水沖へ

13-DSC01140 テンヤのサイズをこまめに入れ替え、沖上がり直前に上がりの一尾をヒット。最後までていねいな釣りの組み立てが光った

●リーダーにこだわりあり 14-1-1-DSC00829 14-1-2-DSC01206 吉岡さんがテンヤタチウオの釣りをスムーズに行なうためにこだわっているのがリーダー部分。一番先端の太い部分を「バイトリーダー」と呼び、端にはあらかじめ自宅で形よく焼きコブを作り、反対側にはスナップを付けたものをあらかじめ複数本用意してワレットに入れて持参している(=即交換できる)

14-2-DSC00831 リーダーにバイトリーダーを接続する。接続はリーダーをバイトリーダーに電車結びの要領でまず5回転巻き付ける

14-3-DSC00839 軽く引き絞って結び目の形を整えたら……

14-4-DSC00842 最後はリーダーの端イトを口、メインラインを片手、バイトリーダーをもう片方の手で3方向からしっかり引き、結び目を締め込んで焼きコブで止める。「この締め込みができていないとスッポ抜けます」

15-DSC00763 取材協力 つり船内木(東京湾奥・船橋港)℡047・429・1354

10-DSC01170 吉岡さんも信頼を置く内木章人船長


吉岡 進(よしおか・すすむ)
釣り好きの父に連れられ幼少から船に乗る。バス釣りを経て、20代で繊細なアタリを取る東京湾のフグ釣りに熱中。以来、一つテンヤマダイ、ライト系オフショアルアーなどで注目を集め、船のエサ釣りも幅広く楽しむ。埼玉県吉川市在住

◆この記事は『スキルアップ!船テンヤタチウオ』でも読むことができます。

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主要コンテンツ
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●スゴ腕アングラー10人に聞く テンヤタチウオそこが知りたい!
●フィッシングエイト大阪南イチオシ! テンヤ入門おすすめタックル
●小ドラゴンにも愛を! 指幅3本以下の小型を美味しくいただくための料理3選
●釣り人道具店 釣った魚は美味しく食べる『骨抜き達人Ⅲ』
●東京湾のテンヤ事情
●釣って!さばいて!食べて! ガールズチャレンジ洲本沖
●大分豊後水道 ドラゴン狩り
●スリル! 興奮! ライトテンヤゲーム THE INFINITE
●釣りたいねん! 沖縄メガタチ
●ホーム瀬戸内 我が家の事情!
●2018ダイワタチウオパーティー大阪


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