ここ2~3年で急激に盛り上がりを見せている関西のワカサギシーン。 「百聞は一見に如かず」ということで、関東のエキスパート・千島克也さんが関西遠征へ。 関東で培ったテクニックを引っ提げて兵庫のテクニカルレイクに挑んだ。
おすすめ時期:12~3月
千島克也◎文
関東で実践している大オモリ+先調子穂先が絶好調!ここ2~3年で急激に盛り上がりを見せている関西のワカサギシーン。
「百聞は一見に如かず」ということで、関東のエキスパート・千島克也さんが関西遠征へ。
関東で培ったテクニックを引っ提げて兵庫のテクニカルレイクに挑んだ。
この記事は『つり人』2017年2月号に掲載したものを再編集しています。
ぼたん鍋で英気を養う
数年前、関西のワカサギフィールドの記事を目にした。ボート、桟橋、ドーム桟橋など、釣り場も綺麗に整備されており、「関西のワカサギ釣りってどんな感じなのかな」とさまざまな想像を膨らましていた。そして、12月上旬、念願の関西ワカサギ釣りに行くことになった。
今回、釣行することになったのは兵庫県篠山市にある佐仲ダムである。埼玉県から500㎞以上あり、人生の中で一番遠い湖でのワカサギ釣りである。12月4日の夜19時過ぎに現地入り。さすがに長旅で疲れたのでハイマート佐仲に宿泊し、翌日ワカサギ釣りに挑戦することになった。到着して疲れた身体を癒すためにお風呂に入浴。この宿のお風呂は丹波焼陶板風呂とのこと。
丹波焼陶板風呂でロングドライブの疲れを癒す
ちなみに「丹波焼」は日本六古窯に数えられ、長い歴史と伝統を継承して今日に至っているとのこと。新しい分野にも目を向け、積極的に取り組んでいる8名の若手陶芸家によって焼かれた陶板だそうだ。丹波焼陶板が浴槽、洗い場すべてに敷き詰められた趣のある浴場であった。風呂の水は佐仲の天然水。山裾から湧き出ている清水を使っている。
丹波焼の色合い肌触りがとてもよく、ゆっくりリラックスできて、とても気持ちのよいお風呂だった。ついつい長湯してしまいそうであった。
お風呂から出て、いよいよ待ちに待った夕飯である。せっかく兵庫に来たので「ぼたん鍋」をいただいた。ちなみに兵庫県のぼたん鍋は、2007年に農林水産省主催の農山漁村の郷土料理百選に選定された料理である。しかし、なんでイノシシ鍋のことをぼたん鍋と呼ぶのか? と思っていたが、料理が出てきて謎か解明した。イノシシ肉が皿の上で牡丹の花のように盛り付けられている。囲炉裏の炭で熱された鍋は八丁味噌仕立ての汁がぐつぐつと湯だっている。その中にイノシシ肉のほか、さまざまな具を入れてしっかり煮込んだら完成だ。
郷土料理百選にも選ばれたぼたん鍋は絶品
イノシシの肉は噛めば噛むほど肉汁が染み出てきて、濃厚な味わいである。また八丁味噌がうまく絡んで絶品であった。美味しい地酒を飲みながら、シシフランクも食べた。
食事中、ハイマート佐仲の岩本支配人が佐仲ダムのワカサギ釣りの状況を教えてくれた。佐仲ダムの釣り場はハイマート佐仲さんが管理している。周囲1km に満たない湖であるが7000万粒ものワカサギの卵を放流しているとのことで魚影は濃いようだ。私が宿泊した日は100人以上の方がワカサギ釣りに訪れたとのことであった。関西のワカサギ釣り人気が高くなっているのは確かだ。ただし、最近の釣果は今一つで、ワカサギがいても釣れないことも多いそうだ。関東の釣りがどこまで通用するか楽しみになってきた。
渋いアタリをバウンド誘いで捉える
翌朝6時に起きて佐仲ダムへ向かった。とはいってもハイマート佐仲からは車で5分も掛からない。管理棟で受付をすませて釣り場に向かった。佐仲ダムでは桟橋からの釣りになる。今回はドーム桟橋からサオをだした。2つあるドーム桟橋の中でも人気のあるBドームに入った。
ドーム桟橋と桟橋釣り場からなる佐仲ダム。周囲は1km ほどの小さな湖だ
ドーム桟橋はきれいに整備されていて快適そのもの
レンタルタックルのほか仕掛けやエサも揃うので、手ぶらで訪れてもOK
ドーム桟橋までは屋根のない桟橋を歩いて向かうのだが、平日なのに釣り人がけっこういる。その中には若い男性や女性なども見られた。釣り場の整備が行き届いているのを感じた。管理棟にはたくさんのレンタルザオが用意されており、手ぶらでも釣りに行ける手軽さがよい。釣り場に到着し、ドームに入ると数人の釣り人がいた。
釣り座に着いてみると、見慣れないものが目に入ってきた。すべての釣り座に配線が配備されている。「これは何?」と思ったら魚探の電源コネクターだ。ドームの屋根にはソーラーパネルが付いており、魚探の電源を供給しているほか、朝の薄暗いうちはLEDでドーム内を明るく照らしてくれる。かなりハイテクなドーム桟橋であり、驚いた。
黒い四角がソーラーパネル。LEDと魚探に電力を供給している
釣り座をドーム船の真ん中に決め準備を進めた。ドーム内はサオ1本と決まっている。電動リールはダイワ『クリスティアCRⅢ』にサオは『クリスティア先調子32S』をセット。仕掛けは関東で好釣果を出している『クリスティア快適ワカサギ仕掛け誘惑ロング』7本0・5号。オモリは6gをセットした。エサはシロサシを半分にカットして仕掛けを投入。水深は11m。ワカサギの反応は8m前後にある。
オモリは6g 以上の重めを使用
ミチイトはダイワ『ワカサギPEⅡ』の0.15 号
仕掛けはダイワ『クリスティア快適ワカサギ誘惑ロング』を使用
穂先はダイワ『クリスティア先調子32 S』をセット
使用している仕掛け・誘惑ロング7本バリは全長128㎝あるので中層のワカサギを拾いやすい。穂先に小さなアタリが出るが、合わせるとハリ掛かりしない。何度かアワセを繰り返すが、ハリ掛かりしないのでエサのシロサシを4分の1程度の極小カットに変更すると、ワカサギが掛かった。釣れたワカサギは全長5㎝ほどの小型サイズであった。小型の場合、ワカサギに重さがないので、合わせてもハリ掛かりせず、ワカサギが持ち上がってしまうケースが多い。このような時はオモリを重くしてサオの弾力がわずかに残るまで曲げて使用することによりフッキング力が増す。各地の湖で実証済みなので、オモリを7.5gに変更した。
この変更が上手くいき、ペースよくワカサギを釣ることができた。しかし、日中になると太陽の日差しの関係か、ワカサギの反応がなくなってしまった。そこでドーム桟橋の日陰になりやすい入口左側に魚探を入れてみるとパラパラと中層にワカサギの反応があった。
釣れるワカサギは小さくアタリは繊細。穂先に出るアタリに集中する千島さん
この日のアベレージサイズは5 ㎝ほど
ワカサギは日中、日陰を好むことがあり魚探の反応もよい。私は釣り座を移動した。左横には佐仲ダムのエキスパート奈良県在住の斉藤さんが釣り座を構えており一緒に釣りをすることになった。渋いながらもポツリポツリとワカサギを1尾ずつ拾い釣りしながら、関西・関東のワカサギ釣りの話題で盛りあがった。
佐仲をホームにしている斉藤さん。大オモリ+先調子に変更すると多点掛けが何度か続いた
その中で斉藤さんは私の重いオモリに興味を持ってくれた。実際に試したところアタリの出方が明確になり、急に数を伸ばして行く。そして突然の5点掛け! 斉藤さんは重いオモリのコツを掴んだようだ。私もさらに重いオモリ(12g)を使い、釣果を伸ばしていった。
釣りができる16時まであと30分。ワカサギの反応がよくなり入れ食いとなり最終釣果は154尾。当日の竿頭を取ることができた。
エサは白サシを使い、4 分の1 ほどにカットしてエサ付け。極小にエサ付けするのがコツ
「爆釣もいいですが、小さなワカサギを1 尾1 尾丁寧に釣っていくのも面白いです」
釣れるワカサギは小さく、兵庫のテクニカルレイクという名前がふさわしい
当日は穂先を水面ギリギリにセットして5センチほどサオ先を振った後にオモリの重さでバウンドさせる。そのバウンドの変化を見逃さず合わせて数を伸ばした。この釣り方はオモリが軽いとサオの弾力が残りすぎてしまい、バウンドが生まれない。サオにしっかりとオモリの重さをかけて挑むとよい。
佐仲ダムは、持っているテクニックを試行錯誤することで数を伸ばせる兵庫県のテクニカルレイクであった。関西のワカサギ釣りも奥が深く、これからの動向に目が離せない。
「定期的に東西交流をしたいですね」と千島克也さん。左がハイマート佐仲の岩本支配人と右が佐仲ダムの常連である斉藤さん
問合先●佐仲ダム釣り場(℡079・593・0603)、ハイマート佐仲(℡079・593・0888)、ワカサギ釣りの料金は1 人2000 円、ワカサギレンタルセット(サオ、エサ、仕掛け、イス、バケツ)は1300 円
2017/12/25