「なまちゃん」がアジを連発させたのは、ほとんど操作をしない「放置メソッド」であった
「なまちゃん」がアジを連発させたのは、ほとんど操作をしない「放置メソッド」であった
文◎なまちゃん 写真◎編集部
常夜灯がないとアジは釣れない?
明部から暗部に入るコースにキャストしてすぐにベールを閉じる。あとは誘いもかけずに放置しているだけでアジのバイトが頻発した
アジングをするようになって8年が経ちます。特別大きな魚が釣りたいわけでもなく、数を釣りたい気持ちもありません。自分で選び、決めた場所に想像どおり魚がいて、目の前にいる魚にどうやって振り向いてもらうか、そこにアジングの面白さを感じます。釣果が得られた時はポイント探しから釣れるまでの過程、そのすべてに意味があると思えるので達成感もひとしおなのです。
私が初めてアジングをしたのは、鴨川の前原フィッシャリーナでした。アジングを始める前にシーバスねらいで何度か訪れたことがありました。真冬の深夜に行ったのですが水もクリアで水面がキラキラしていて、その中でたくさんの魚が目視できました。そして3投目にいきなりアジがヒット! この時の感動は今でもよく覚えています。夢中になって釣っていると、常夜灯が消えて真っ暗になると途端に釣れなくなったのです。このことからアジングを始めた当初は常夜灯があることが釣り場の絶対条件として認識し、房総半島の釣り場マップを購入して、常夜灯と書いてあるポイントにまるを付け、載っているところは片っ端から行きました。とにかく常夜灯にだけこだわって一年中アジを追いかけたので、いま思えば遠回りをしたような気もします。そのうち潮色や月の明るさ、時合についても考えるようになり、アジが釣れる条件は常夜灯だけではないと実感しました。
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エステルを使う理由
主にエステルライン×ジグ単のリグで釣りを楽しんでいます。愛用ロッドはソリッドティップの「リアクト55」です。手もとにはある程度の重さが欲しいのでリールは2000番台にしています。ロッド38g、リール150g。合わせて200g以下というライトタックルです。投げるリグが1g前後とかなり軽量なのでタックルも繊細になります。
私は大半の釣り場で0.8gのジグヘッドを主軸に釣りを組み立てます。自分が使いやすいジグヘッドのメインウエイトを決めておくと、迷いが少なくなります。主軸となるウエイトは人やフィールドによって0.5gであったり、1.2gであったりとさまざまですが、房総エリアは遠浅なポイントが多いため0.8gの軽量ジグ単で釣りを組み立てやすいといえます。
アジはエサを吸い込んで捕食し、違和感を抱くとすぐに吐き出します。吸って吐いて再度食べ直す状態にしてから吸い込むこともあります。ルアーに反応するアジを観察していると何匹かで取り合うような光景もよく見られ、こんな時は手もとにコンコンと連続的に当たります。アジは口に入れてから吐き出すまでの時間が短いのでしっかりと合わせる必要があります。大前提としてアタリを取らなければならず、繊細なアタリを感じるためにもラインはとても重要な役割を担っています。
エステルは伸びが少ないのが一番の特徴です。感度が高いことはもちろん、軽量ジグヘッドの操作性も高まります。私の場合ルアーや仕掛けを人の手で動かす感覚より、ラインに仕事をしてもらう感覚で釣ることが大切だと感じます。送り込むのも、誘いをかけるのも、流れに乗せてナチュラルに漂わせるのも行ないやすいのがエステルです。ただ伸びがないのでクッション性を高めるためにリーダーは必要です。エステル0.3号であればフロロカーボン2~3ポンド(0.5~0.6号)を30cm程度セットします。
主力のラインはエステルですが、時にはフロロカーボンも使います。フロロカーボンは比重がエステルより高い。早く沈めたいという場面で便利です。またフロロカーボンはリーダーが不必要なのも楽です。
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波崎新港のアジング
今回の釣り場は慣れ親しんでいる外房の勝浦周辺を想定していましたが、10月下旬になっても気温が下がらず秋が深まりません。そのせいか外房周辺は時合が朝夕のマヅメ時の短時間に偏り、釣果が長続きするポイントが少ないです。もう少し北上した釣り場なら本来の秋冬らしい安定した釣果が出るかもしれないと考えて選んだのが、利根川河口の茨城県側に位置する波崎新港です。
この港は大型漁船が出入りする超大型の港です。船が出入りする頻度も高いのでアジがエサにする海底のプランクトンが巻き上がりやすいと思いました。私の経験では船が通るとアジが釣れることが多々あります。大型船に限らず遊漁船が通っただけでも活性が上がります。船の出入りが多ければアジのエサが動く時間も長い。当然、時合も長くなるはずです。また港内で出船準備をしている船の明かりも強力です。煌々と船を照らすライトによって明暗が増え、ねらいを絞りやすくなります。
夕マヅメに港を訪れると港内に潮目が出て、ところどころに小さいナブラが発生しています。アジングファンもいますが、カゴ釣りファンやサビキ釣りを楽しむ釣り人もたくさんいます。寄せエサが効いていそうな潮下側にもアジが寄ってきそうですが、ねらい所は何といっても常夜灯や船の周囲にある明暗部です。
太陽が地平線に沈みかけた時間帯に周囲のカゴ釣りファンにアジが掛かり始めました。私は大型船のライトがつくる明暗からやや離れた位置で始めました。アジングの操作はチョンチョンとワームを誘い上げフォールで食わせる。これが基本とされています。しかし、何もしなくても釣れる時は釣れます。むしろ今回は操作をしない状態のほうがヒットは多かったのです。
具体的な操作はキャストしてフリーフォールで10秒ほどカウントします。着底はさせません。リールのベールを返して今度はテンションフォールでジグが足もとに寄ってくるまで待つのみです。一見アピールしていないように見えてもフォールの最中にワームは流れを受けて勝手に動いてくれます。この場合「チビバーニー」や「バーニー」といったワームを使うとナチュラルな動きでアジを誘ってくれます
ファーストヒットはメッキです。次にアジがヒットしました。その後もリグを動かしすぎるとアタリが出ません。放置するイメージで「ステイ」で釣ったほうがモジョッという居食いしているかのような違和感が出ます。これを合わせて掛けるのです。
18時を回り、釣り人が少なくなったので大型漁船の明暗ねらいに切り替えます。ライトの利いた明部ではジグヘッドを軽くしてふわふわと漂わせるイメージで操作し、暗い側ではボトム付近まで落としてステイさせる。明暗の境界のレンジをキープしながら巻く操作もしてみました。
大型漁船の周りは灯りや流れの変化でアジが中層からボトムに溜まっている可能性もあります。明暗の明から暗にワームが来るようなコースに投げ、ラインを張らず緩めずの状態にして待つとヒットします。
放置といってもアワセはしっかり行ないます。食った瞬間に合わせないとアジは乗りません。レスポンスのよいアワセを決めるためにもラインはエステルが優位です。居食いは難しいアタリともいわれますが、コツはアタリと思しき違和感はすべて合わせることです。これを徹底するだけで感覚が掴めるようになり、釣れ続ける可能性も高まります。
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なまちゃんの愛用アイテム
なまちゃんの愛用ラインは視認性の高いバリバス「アジングマスターエステルレモニー」0.25 号。キャスト時に視覚でラインが追えるのでルアーの位置も明確になる。障害物周りや船下の明暗など、ピンポイントを投げたい時もどこに飛んだか分からないのでは困る。ラインが見えれば夜の海でもテンション感覚が掴みやすく、トラブルも回避しやすいうえにリーダーやジグヘッドの交換もしやすい。「レモニー」と同じ使い心地の「レッドアイ」という赤いエステルもある。なまちゃんいわく「このイトを巻くとリールがさらに恰好よく見える。遊び心があってモチベーションが高まるのと、魚と赤い糸で繋がれる喜びがあるのもうれしい」そうだ。時にはフロロカーボンも使う。「アジングマスターフロロカーボンブルームーン」は沈みが早くて風に強いのもメリットという。
リーダーは「アジングマスターショックリーダー」0.5 号をメインに使用
愛用ジグヘッドは「スナイプヘッド」S。主に使うのは0.8 ~ 1 g。オープンゲイブになっているので掛けやすい。耐久性もあり、よきせぬ大物がかかった際もハリが折れることがほとんどない。冬のかじかむ手でも掴みやすく交換しやすいのもお気に入りという。ワームはテトラワークス「バーニー」、「ピピン」を愛用
※このページは『つり人2024年1月号』を再編集したものです。