首都圏のアングラーからも東海・関東一円のアングラーからも愛される芦ノ湖。例年であれば3 月1 日の特別解禁をピークに春先から釣れ続けるが今年はちょっとようすが違った。
首都圏のアングラーからも東海・関東一円のアングラーからも愛される芦ノ湖。例年であれば3月1日の特別解禁をピークに春先から釣れ続けるが今年はちょっとようすが違った。
写真◎編集部 文◎中村篤人
私が考える芦ノ湖の魅力
3月に入り、関東周辺でも多くの河川で渓流釣りが解禁を迎えて、約半年間にわたる我慢から一気に釣り欲が爆発しているトラウトファンも多いでしょう。
でも、こうしたトラウトたちに出会えるのは渓流に限ったことではありません。中禅寺湖や銀山湖などの山上湖も昔からトラウトアングラーに人気のフィールドです。
生まれも育ちも神奈川県で現在も神奈川県民の私にとって、近くに最高のフィールドである芦ノ湖があることは最高に恵まれていることと言えます。
我が家から芦ノ湖は車をのんびり走らせても1時間。それでいて日本一の富士山を眺めながら、素晴らしい景色のなかで釣りができるのです。
トラウトのみならず、ブラックバスに関しては日本で一番歴史があり、来年2025年には移植から100周年という節目を迎えます。バス好きでもあった私はガキの頃から親に連れてきてもらい、学生時代はオートバイを買って足しげく通った湖でもあります。
正直、芦ノ湖の魅力を語れば尽きません。当たり前のようにゲームフィッシングと言えば芦ノ湖でした。それは多くのアングラーにとって同じように聖地だったはずです。
最近は昔のように朝から晩まで釣りばっかりでなく、のんびりと日帰り温泉に浸かってみたり、近所の安くて美味しい食事処を探すのも楽しみにしている私にとって、名湯・箱根のお膝元にして、名店・老舗・新顔がひしめく芦ノ湖は楽しみが尽きません。
観光客に人気の海賊船は概ね朝9 時半から運行を開始する。ショアからのトラウトねらいでは海賊船の運行開始前や終了後のマヅメだけを効率よくねらう人も多い。芦ノ湖で釣りのできる時間は組合が定める日の出1時間前から日没1時間後まで
ウエーディングで狙う場合
私が芦ノ湖でトラウトをねらうのはショアからの釣りが大半です。これはボートを否定しているのではなく、文字どおり地に足を着けてじっくり探りたいからです。
特に近年は地球温暖化の影響からか昔のデータ通りにいかないことばかりで、春先のワカサギ接岸が前年よりひと月も早まったり、春なのに夏日が続いたり、春なのに湖水がターンオーバー現象起きたり。かといって暖冬かと思えば解禁直後から冷え込みが続いて、全国的にもサクラの開花が遅れに遅れています。当然、水温も水質も安定することがないので魚は落ち着かなくなり動かなくなり口を使わなくなりました。つまり、なかなかルアーに食い付いて来なくなっているので、繊細さや粘りを重視してウエーディングを選択しております。
ボートのほうが機動性もあり、手返しよく広範囲を探れるのですが、風や湖流で動いてしまうことから、どうしてもアバウトな釣りになってしまいがちだからです。
私が個人的におすすめしたいウエーディングエリアとしては、白浜、箒の鼻、三ツ石、箱根神社、成蹊、キャンプ場、湖尻水門、深良水門、亀ヶ崎などです。この多くは無料駐車場(休日には混雑して満車の可能性もあり。その際は有料駐車場を利用するか、観光客の少ない早朝などの時間帯に行く)があり、大変便利です。
ウエーディング用タックルはサクラマス用をそのまま使用。左はソウルズの8ft3in、右はエムアイレの8ft でリールはともにステラ3000。ラインはPE0.5 ~ 1 号をルアーの沈下させたい速度によって使い分ける。重めのルアーを振り切る釣りなのでリーダーは8Lb 以上を推奨
ウエーディングで使用するミノーは飛距離とブレイクでの根掛かりのしにくさを重視してセレクト。左からハンクルミノーD85SP(ハンクル)、シュマリ110F(ティムコ)、新型ナベミノー90SS(ナベミノー)、チェリーブラッドSR90F、チェリーブラッドLL70S(ともにスミス)
ウエーディング用のスプーン。左からアルミん5 g(ウォーターランド)、バックス9.3 g(アングラーズシステム)、ミュー4. 2 g(フォレスト)、白蝶貝5 g(ワイズカスタム)、プロビア10 g(シーレーベル)。スニーカースタイルでエリアタックルを使うなら3 g前後のマイクロスプーンも活躍するが、足場が高いので柄の長いランディングネットが必要になる
キャンプ場前の無料駐車場から歩いて早川を渡ると、早川水門と椿の鼻の間にワンド状の浜が広がり、ウエーディングしやすい
箱根湾に突き出した半島の先に広がる白浜。三ツ石、トリカブトの先に続く遊歩道を歩いていく
箱根神社から成蹊にかけても実績のあるウエーディングエリア
ウエーディングエリアの多くではフライフィッシングを楽しんでいる人がいる。ルアー釣りよりもバックスペースを必要とするので不用意に近づかないように充分に距離を空けること
湖尻湾のウエーディングスポットとして人気の芦ノ湖キャンプ村前。近くには台数は多くないものの無料の駐車場がある。満車の際は移動するか有料駐車場を利用しよう
スニーカーで狙う場合
芦ノ湖でのオカッパリ=ウエーディングだけではありません。ポイントによってはスニーカーでトラウトねらいが楽しめるのです。
代表的なのが箱根湾と元箱根湾で、足場のよい護岸からキャストできる所が多いです。
タックルもお手軽です。ウエーディングの場合は遠浅の地形に立ち込んで、ブレイクの先をねらう釣り方なのでロッドは8ft前後のミディアムクラス、ルアーも10cm前後のミノー(フローティングメイン) や10g前後のスプーン(シャロー用、ボトム用、スライド系)を用いたストロングスタイルですが、スニーカースタイルならエリアトラウト用のままで大丈夫です。
理想としましては6ft6inでライトアクションなら完璧。ラインは4Lb、ルアーは3g前後があればOK。注意点は、このエリアにはボート屋さんが多いので迷惑を掛けないようにすることと、観光地とあって背後にたくさんの観光客の往来があるので、くれぐれも安全に注意してください。
元箱根湾にある階段状の足場のよい釣り場。ボート店の迷惑にならないように、また、背後に多い観光客にも注意しながら釣りを楽しみたい
渋谷店の佐藤さんがスニーカースタイルでキャッチした良型ニジマス。気温が上がる4 月下旬から5 月いっぱいは浅場に魚が近づく最大のチャンス
観光拠点の元箱根湾周辺は有料駐車場が多いものの箱根神社第二鳥居の周辺には無料駐車場もあり、スニーカースタイルの釣り人に重宝されている
護岸際には安全柵もあり、駐車スペースがあるところも。水面までの距離があるのでランディングネットはマスト
ニーブーツの場合
ウエーダーはちょっとヘビー、でもスニーカーでは場所が限られるという中間を埋めてくれるアイテムがニーブーツです。
エリアや釣り方はウエーディングスタイルとほぼ同じ。ただしウエーディングしている釣り人がいないことが前提。というのもウエーディングしている人がいると魚も沖に追いやってしまうためで、その横でニーブーツを履いて並んで釣りをしても届かない可能性が大だからです。
トラウトは意外なほど岸寄りにいますので岸から離れてのアプローチは大切です。
では、どんなところが有望な釣り場なのかというと、つり人社から発売されている『芦ノ湖河口湖 大明解MAP』という本が非常に詳しく書かれています。おもにボートからのバス釣り場がメインなのですが、基本的にバスの好ポイントは水温が低いときにはマスの好ポイントだと思って間違いありません。
「岸釣り派もボート釣り派もこの一冊は必携です」と中村さん。このようなバスの大型実績ポイントは水温によってトラウトの実績釣り場になるという
芦ノ湖・河口湖 大明解MAP (別冊つり人 Vol. 535)
今年の傾向と対策
過去のデータから考えると今年はこうだろう……な~んて予想は正直役立ちません!
今年のことは今年考えるしかないのが近年の芦ノ湖の釣りです。ただし悲観しているわけではありません。むしろその逆で、今年のゴールデンウイークはここ数年で一番いい釣果になると予想しています。もともと大型連休前には放流も大量に入りますが、その前の3月に入れた大量のマスたちが、天候不順などによる食い渋りでいまだ釣り切られることなく残っているようなのです。
その頃は気候がトラウトフィッシングに最も適したタイミングにあたりますので、気持ちよく快適にショアからのレイクトラウトゲームが楽しめそうです。
もちろん、大型連休ですから釣り人も増えますし、観光客も大勢来ますので他人様に迷惑掛けないように注意しましょう。
芦ノ湖漁業協同組合のホームページで何時から釣りを開始していいかを確認しましょう。その1時間前にはタックル準備を終えてポイントに向かい場所を確保する猛者もいます。早起きした分、太陽が高い日中は風がないと魚の活性も下がりますので慌てず昼寝をしたり日帰り温泉にでも浸かって、また太陽が傾く夕刻に備えるプランがおすすめです。
4月上旬現在は都内でようやくサクラが咲き始めたタイミングですが、標高の高い芦ノ湖の湖畔のサクラが満開になればいよいよトラウト本番、絶好機に突入すると思われます。
※このページは『つり人 2024年6月号』を再編集したものです。