相模川のアユ釣りファンから根強い人気を誇る地域密着型釣具店のフィッシング相模屋。ここでは店長の平賀精一さんに相模川を例にしたオススメのアユルアーグッズを教えていただいた。
相模川のアユ釣りファンから根強い人気を誇る地域密着型釣具店のフィッシング相模屋。ここでは店長の平賀精一さんに相模川を例にしたオススメのアユルアーグッズを教えていただいた。
写真と文◎編集部
ロッド
アユルアー専用ロッドの最大の特徴はバラシを軽減するためのしなやかさです。このため主流となっているのはL ~ Mクラスの番手。身が柔らかい初期でも身切れによるバラシが起こりにくいのはML クラスです。同じパワー表記でもスピニングロッドは構造的にベイトロッドより若干軟らかくなる傾向があります。このため私はバラシにくさという点でスピニングロッドをオススメしたいです。
オモリを使わなければルアーが安定しないほどの強い流れや腰以上の深さがあるエリア、引き抵抗が強いロングリップを持つルアーを扱う時はベイトロッドやM、MHクラスのパワーを持つロッドがよいでしょう。
相模川のアユルアー釣り場は大きな石が少なく、川底の起伏も乏しいです。ルアーをクロスにキャストしてドリフトさせる釣法が有効なので、リトリーブ中でもルアーアクションやレンジをキープしやすいソリッドティップを搭載しているモデルがよいでしょう。レングスは立ち込みにくい深場や強い流れの中でも広範囲を探れる9フィート以上が好適ですが、体が小さい方や体力に自信がない方は取り回しがよく軽量な8フィートクラスを選んでも充分楽しめます。
ノベザオでルアーを扱う時は8m のサオが軽くて操作性に優れているため快適です。穂持部分に適度な張りがあるとさらに操作性が増します。パワーは早瀬クラスが最適。これは友釣りでもスタンダードな硬さなのでそのまま友釣りも楽しむことができるでしょう。
「アユイングX90MLS-S」(ダイワ)は手に取りやすい価格ながらも基本性能はバッチリ。誰にでも扱いやすいアユルアーロッドだ。価格:1 万9300 円(税別)
高感度なソリッドティップを搭載した「舞香」(ラグゼ)は繊細なルアー操作が得意。価格:3 万3000 円(税別)
リール
スピニングリールは2000 ~ 2500 番、ベイトリールはベイトフィネス機か軽量なルアーを扱えるスプールを搭載しているモデルがよいでしょう。クロスへキャストする時はラインスラックを素早く回収する必要があるため、ひと巻き80㎝以上のハイギヤモデルが快適です。ロッドを立てて操作する場合は疲労が蓄積すると一定の角度を保ち続けるのが辛くなってきます。疲労によるロッドのブレを軽減するためにも予算内で買える最も軽いモデルを選ぶとよいでしょう。
アユルアーはドラグセッティングも重要です。初期は身切れを防ぐため緩めに、盛期は強い流れに乗られないようにきつめにセッティングします。細かい調整が効くリールが好ましいですが最近のリールは技術の進歩によって安価なものでもドラグ性能は優秀です。予算に合ったものの中で選んでも問題はありません。
「アルテグラ2500SHG」( シマノ)はコストパフォーマンスに優れたスピニングリール。価格:1 万8500 円(税別)
軽量ルアーをキャストしやすい「アルファスSVTW 800XH」(ダイワ)。価格:3万3700 円(税別)
ライン
ルアーの位置を把握しやすい視認性が高いラインを選びましょう。アユルアーにはPE ラインかフロロカーボンラインがマッチします
PE ラインは劣化しにくいためワンシーズン使い通せるのがメリットです。0.6 号とフロロカーボンリーダー3 〜 5 ポンドを組み合わせます。リーダーは細いほどルアーアクションがよくなりますので根掛かりを取りに行けるような穏やかなポイントであれば3 〜4ポンドを、立ち込むのが不安なポイントでは5 ポンドを選びましょう。根ズレを考慮して1 〜1.5 mほどのリーダー長をとり、結びが簡単で結束強度も充分なエイトノットで本線と接続します。
フロロカーボンラインはPEラインに比べて比重が大きいため、深場や流れが強い場所でもルアーをボトムに留めやすいというメリットがあります。リーダーを接続する必要がなく、適度な張りによってライントラブルも直しやすいのでビギナーや手返しを重視する方にオススメです。PE ラインと違い劣化が早いので撚れや表面のざらつきが気になったら交換しましょう。太さはPE ラインのリーダーと同じ考え方で選びます。
「スーパートラウト アドバンスダブルクロスPEX8 ハイビスオレンジ」(バリバス)は視認性が高いPE ライン。4 本撚りよりも8 本撚りのほうが適度な張りがあるためトラブルが減る。価格:3800 円(税別)
「フロロショックリーダーX」(ダイワ)は誰でも扱いやすいスタンダードなリーダー。コストパフォーマンスもよい。価格:オープン
マーキング付きのフロロカーボンラインである「鮎ルアーAMS フロロ」(サンライン)。フロロカーボンはリーダーが不要なので入門者にもオススメ。価格:1800 円(税別)
ルアー
アユルアーはカラーとアクション選びが釣果に直結します。私の場合はローリングが強めのルアーから始め、フラッシング系、ナチュラル系の順に変えていきます。それでも反応がなければアクションが弱いものを選びます。アクションを弱めた時のカラーはハイアピールなフラッシング系を使っています。
「アユイングミノー」(ダイワ)を例に挙げると94SF の「アデルギラギラオレンジベリー」や「アデルチャートバック縄張りアユ」から「アデルナチュラルアユ」、95SS の「アデルチャートバック縄張りアユ」の順に変えていきます。相模川ではほとんどの状況でこのルアーチェンジが効果的ですので試してみてください。
シンカーは潜行深度やルアーのレンジキープ力を調整するためのアイテムです。ルアーが浮き上がりにくくなるため、ノーマルの状態よりも足もとまできっちりと探ることができるようになります。ウエイトは水深や流速に合わせて交換するのが基本です。水深が深い、もしくは流速が速いほど重く、その逆なら軽くします。相模川では0.9、1.2、1.8gを用意しておけば万全です。
「アユイングミノー94SF」(ダイワ)は平賀店長が気に入っているアユルアーの1 つ。右から「アデルチャートバック縄張りアユ」「アデルギラギラオレンジベリー」。価格:いずれも1300 円(税別)
上記のカラーで反応がなければナチュラル系の「アデルナチュラルアユ」をチョイス。価格:1300 円(税別)
それでも釣れなければアクションを抑えた「アユイングミノー95 SS」(ダイワ)の「アデルチャートバック縄張りアユ」を結ぶ。価格:1400 円(税別)
ノベザオと友釣りの仕掛けで使えるアユルアー。「リスケード80F 」(パームス)(価格:オープン)と「支流用完全仕掛フロロ」(オーナー)(価格:1050 円+税)
シンカーは必須アイテム。0.9、1.2、1.8 gを流れの強さに合わせて選ぶ。写真は「TG グレネードシンカー クイックチェンジャー」(バリバス)。価格:オープン
ハリ
イカリバリをオススメします。フトコロ部分が広くてバレにくいキープタイプの7.5 号3 本イカリが基本サイズです。梅雨明け以降、アユができあがる盛期は4 本イカリを使用してみると掛かりが早いと感じます。皮が硬くなるお盆頃からはダイワの「スピード」などの早掛けタイプのハリがケラレにくいです。25㎝クラスが混じるような大アユが掛かる終盤は深く刺さり込むチラシバリも有効です。「掛かるけどバレてしまうならキープタイプの3 本イカリを、掛かるうえにバレないようなら早掛けタイプや4 本イカリを使う。アユが大きければチラシバリも使用」という選び方が基本です。友釣りのハリ選びもまずはこの考え方でよいでしょう。
アユルアーで使用率が高いのは身切れによるバラシが少ないキープタイプ。写真は「アユイングフックSS」(ダイワ)の7 号。価格:680 円
25㎝クラスも釣れるような大アユのシーズンは深く刺さり込むチラシバリが有効。写真は「舞香 3 本ヤナギ T1 貫チラシ(」ラグゼ)の7. 5 8、号。価格:650 円(税別)
ハリはケースに移しておくと交換がスムーズだ。写真はイカリ用の「鮎匠1500A」( 価格:2040 円+税)、「鮎匠ツイン」(価格:3290 円+税)(いずれもダイワ)
服装
川に立ち込むうえで最も安全なのはアユタイツとアユタビを着用することです。アユルアーだけでなく友釣りもそのままのスタイルで楽しめます。アユタイツは膝を着く場面でも痛みが少なく、転倒時の安全性も高いです。さらにアユタイツは保温性が高いのも特徴です。年配の常連さんの中には若いころの立ち込みで神経痛に悩まされている方もいますし、なにより冷えると釣りに集中することができません。生地の厚さは1 〜 4㎜の製品が多く、水温が高ければ薄いものを、低ければ厚いものを選びます。真夏の川で釣りをするならクロロプレン1㎜厚程度のタイツを選ぶと快適な体感温度で釣りができます。川は苔によるヌメリがあって滑ります。アユタビはフェルトソールで屈曲性が高く踏ん張りが効くのが特徴です。また、足の甲やつま先が補強されているので石やブロックにぶつかった時の痛みも軽く済みます。
軽装のウエットウエーディングスタイルはラッシュガード、撥水性が高いショートパンツや海水パンツ、アンダータイツ、アユタビもしくはフェルトソールのウエーディングシューズが必要です。アンダータイツは転倒時のケガを防ぐために関節部分にパッドが入っているとなおよいでしょう。いずれのスタイルも川から上がったらしっかりとお風呂に浸かり、寝る時は靴下を履くようにしましょう。
ナイロンウエーダーはオススメしません。転倒時に水が入り込んで立てなくなる恐れがあるためです。さらに水の抵抗を受けやすいので立ち込み続けるアユルアーには不向きです。
「スタンダードタイツ1.0」(シマノ)はクロロプレン1㎜厚。真夏の川では適度な体感温度で快適だ。価格:1 万7000 円(税別)
強い瀬に立ち込む釣りなので踏ん張りが効くタビが安全。写真は「カットフェルトタビ中割」(シマノ)。価格:1万6300 円(税別)
ウエットウエーディングスタイルでは関節部分にパッドが入っているものが安全。写真は「サンプロテクション ハイブリッド パッド タイツ ライト」(シマノ)。価格:6500円(税別)
装備品
引き舟やタモ、アユベルト、バッグまたはアユベストが必需品。これらは選び方によって友釣りにもそのまま流用できます。
引き舟は流した時の抵抗が小さいものを使うと移動や立ち込みが楽に行なえます。引き舟ロープがゴム製のものはハリが引っ掛かるトラブルにも強いです。ルアーだけでなく友釣りをすることも視野に入れているなら7ℓのモデルが活躍します。こまめに買い替えるものではないので、性能が高いものを選ぶとよいでしょう。
タモは枠を垂直にしても形状を保てるくらいの網が好ましいです。アユルアー専用のタモは渓流ルアーで使われるようなネットと比べてハリが絡まりにくく引き抜いたアユをキャッチしやすいというメリットがあります。ちなみに友釣り用のタモは枠の直径が39㎝程度で網目が1 〜 2㎜と細かいのが特徴です。
アユベルトは引き舟やタモ、ボトルホルダーなどを腰に付けておくアイテムです。引き舟を接続するDカンの可動域が広いものを選ぶといちいち引き舟ロープを動かさなくてよいので移動も楽ちんです。
バッグやアユベストは持ち運ぶ荷物の量に応じて選びます。ライトスタイルにはルアーボックスがそのまま入るサイズのバッグが便利です。深く立ち込みたい方や果敢に川を横切りたい方は動きやすいアユベストの着用をオススメします。
引き舟は引き抵抗が小さいものが快適。こまめに買い替えるものではないので性能が高いものを選んでもよいだろう。友釣りでもそのまま使える7ℓモデルがオススメ。写真は右から「アドバンスパワー」(シマノ)(価格:1 万2900 円+税)、「友舟 AX-700S」(ダイワ)(価格:1 万3600 円+税)
タモ網部分に張りがある素材を使っているものがよい。単線で編んであるとハリが引っ掛かりにくい。写真は「アユイングネット V30 ブラック」(ダイワ)。価格:1 万200 円
アユベストは体型に合ったものを選ぼう
クーラーボックスは釣ったアユだけでなくお弁当や飲み物を入れておける容量の22Lがオススメ
スイングベルト付きのアユベルトは引き舟の自由度が高く邪魔にならない。写真は「ダイワ鮎ベルトDA- 4202S」(ダイワ)。価格:3700 円(税別)
「鮎渓流ライトスタイルバッグ」(オーナー)は携行しやすく邪魔にならない腰巻きバッグだ。価格:9500 円(税別)
フィッシング相模屋(☎ 042・778・4995)
1970 年に前身となる和菓子屋から相模川の釣り人を支えるローカル釣具店となった。深い商品知識を持った親切な店員さんが待っている
店長の平賀 精一さん。アユはもちろん渓流はジャンル問わず、船はカワハギ、アマダイ、マルイカなど多彩な釣種に精通している
※このページは『つり人 2024年8月号』を再編集したものです。