「アドレナリン全開な釣りだ…」お祭り状態の船内でそうつぶやいたのはパックロッド専門のメーカーであるフエルコでロッドの設計を手掛ける高田郁人さん。今回は東京湾のビッグベイトゲームに精通する上州屋池袋店の高橋昇店長に、ボートで楽しむビッグベイトゲームのキモを教えてもらった。
「アドレナリン全開な釣りだ…」お祭り状態の船内でそうつぶやいたのはパックロッド専門のメーカーであるフエルコでロッドの設計を手掛ける高田郁人さん。今回は東京湾のビッグベイトゲームに精通する上州屋池袋店の高橋昇店長に、ボートで楽しむビッグベイトゲームのキモを教えてもらった。
写真と文◎編集部
ランカーシーバスが宙を舞う
シーバスのボートゲームが盛んな東京湾。気温と水温が落ち着き、コノシロが接岸してくる10月初旬からはビッグベイトゲームが楽しめるシーズンだ。10年以上に渡りビッグベイトでランカーシーバスをねらい続けている上州屋池袋店の高橋昇さんはこの釣りの魅力をこのように語る。
「ビッグベイト、特に20クラスのトップウォータープラグが好きです。デカいシーバスが目の前で水面を割る瞬間を目の当たりにしてしまうと、もう病みつきです」
高橋さんのタックルボックス。常にフックを乾かしておけるので錆びを予防できる
今回高橋さんが訪れたのは10月初旬の木更津エリア。夏の間、高水温の影響で思うような釣果が出なかったらしいが、9月の釣行時に「水温があと2~3℃下がったらかなり期待できそうだ」と感じていたという。今回お世話になったのは、高橋さんが頻繁に利用するという木更津から出船するチャーター船、「オルカ」。シーバスだけでなくメバルや青物、フラットフィッシュなどさまざまな釣り物に精通しているフィッシングガイドだ。
「しばらく高水温が続いて厳しかったけど、最近の大雨で水温が下がったからだいぶ状況は変わっていると思う。さて!どうなるかな!」
こう語りながら意気揚々と出船準備を進めていたのは当日の船長を務めてくれた大村智幸さん。フランクなトークで船内を盛り上げつつも冷静にベイトや潮の動きを読み、釣果へと導いてくれる頼もしい船長だ。
今回使用したのはフエルコの海外遠征用パックロッドである「XT510R-4C」、「XT605R -4C」、「XT610R -4C」、「XT710R -5C」だ。このロッドの製作を手掛けたのはパックロッドを携えて各地を旅するのが大好きだという高田郁人さん。今回も住まいである大阪を飛び出し、東京湾のビッグゲームを楽しむべく同船した。
それぞれのロッドに組み合わせたリールは100~300番のベイトリール。ラインはPE3~5号、リーダーは40~80lb、メインラインとリーダーの結束はPRノットだ。メインで使用したのは200mm以上のビッグペンシル。ほかにもジョイントタイプやバイブレーションタイプのビッグベイトを用意した。接続には80lbクラスのスナップを使用し、強度が高いイモムシノットで結束した。
コノシロの動きがキーになる
この日はほとんど無風で、遠くの潮目まで視認できるような状況だった。マリーナから出て5分ほどのエリアでナブラが立ち、鳥山ができていた。
「大量のコノシロが魚探に映っています。あ、ほら!シーバスも!みんな投げて!」
と大村船長。魚探が海底を認識できないほどにコノシロがひしめいているのがモニターで確認できる。群れの周辺で一際大きく映る影がシーバスの反応らしい。
ウエイトが重いルアーをキャストする時はロッド全体に重みを乗せるようにするのがコツ。テイクバックでルアーの重みをバットに感じつつ、ロッドの反発を利用してキャストするのだという。
高橋さんはキャストの前に大村船長にコノシロの群れのエッジ(際)の位置を尋ねた。
「大規模なナブラを打つ時は群れのエッジをねらうのがオススメです。ナブラの真ん中でルアーをアクションさせるよりもシーバスがルアーを見つけやすいため、効率的に探ることができます」
シーバスにルアーを発見してほしい時のコツは以下のとおり。
・群れのエッジをトレースすることを意識する
・ルアーが着水する直前に親指でスプールの回転を止め、大きな着水音と水しぶきを上げる
・ラトルが入っているルアーを選ぶ
基本となるペンシルの動かし方はドッグウォーク。ティップを弾きながらリーリングを行ない、ルアーの頭を左右に振らせるアクションだ。ティップを弾いたあとにしっかりとラインスラックを出すことが規則正しく首を振らせるコツだという。規則的なドッグウォークで反応がなければアクションに変化を入れてみよう。
高橋さんと高田さんが試していたアクションのバリエーションは次のとおりだ。
・ロッドワークのテンポを変えてアクションに緩急をつける
・ドッグウォークの途中でアクションを一度止める
・ロッドを強く動かして水しぶきを上げる、もしくはルアーを潜らせる
・引き波を立てながらタダ巻きする
遠投した先で自分のルアーの位置や意図したアクションをしているかが分かるようにチャート系のカラーを選択するのがオススメだという。
ナブラが落ち着いたタイミングで突如として静寂を破ったランカーサイズ。キックノッカー168(フィッシュアロー)はカコーンカコーンという大きなワンノックサウンドで深場から魚を浮かせる
キャスト時には継ぎ目を感じさせない美しい弧を描く。試験的に結んだ30㎝クラスのジャイアントベイトも難なくキャストできた
XT710R-5C は巻き物やジョイント系ビッグベイトにももってこい。長いレングスを活かして飛距離が出にくいジョイント系ルアーを遠投できる
バイトがあっても焦らない
シーバスはミスバイトが多く、派手に水面を割ってもルアーが口に入っていないケースが多々ある。
「ミスバイトがあっても焦りは禁物です。シーバスは下から突き上げるようにしてルアーにアタックしてきますが、食べ損なった直後は潜らずにルアーを探している場合が多いです」
と高橋さん。ミスバイトの直後はすぐにアクションを再開する。水面直下でキョロキョロしているシーバスにルアーの存在を教えてあげるイメージだ。特にルアーがバイト地点から離れた位置に弾き飛ばされたときはアピールを強めるためにアクションを強くするのがコツ。焦ってフッキングの動作をしてしまうとルアーが手前に大きく飛んでしまうため、追い食いの確率が下がってしまうという。
「フッキングはシーバスがルアーを咥えた瞬間ではなく、ロッドに重みが乗ったタイミングで行ないます。バイトが見えるためすぐにフッキングをしたくなりますが、じっくりと待つのがコツです」
高橋さんはそういって具体的なフッキングとファイトの流れを教えてくれた。
1、シーバスが水面を割ったらティップに重みが乗るまで待つ
2、重みが乗ったらラインスラックを取りながら上方向にフッキングする
3、ロッドを曲げたままゆっくりとリールを巻き続ける
4、エラ洗いをされそうになったら一瞬巻きを止めるが、ラインが緩まないように注意する
シーバスはエラ洗いや突っ込みなどで激しく抵抗するが、いずれもラインテンションを緩めなければ対処できる。高橋さんのルアーはほとんどがバーブレスだったが、一日を通してバラシはほとんどなかった。
210mmのペンシルベイトをフロント側から襲った一尾。深場から猛突進して突き上げてくるバイトがクセになる
初秋のシーバスフェスティバル
巨大なナブラが立ち、あちこちでボイルによる水柱が立っている。毎投のようにルアーが襲われ、ボートの真横までチェイスしてくるシーバスも珍しくなかった。高田さんのルアーをミスバイトしたシーバスが真横の高橋さんのルアーにヒットするといった場面もあり、船内はまさにシーバスフェスティバル状態。
「こんなに楽しい釣りだとは正直思っていませんでした。まるでアマゾン川の釣りのようなダイナミックな釣りですね。毎年通いたくなります」
と高田さん。
「これほどまでにシーバスが高活性な日はかなり稀です! コノシロの動きとシーバスの動きが完全にマッチしていますね! 先日の雨で水温が下がったので出船前は少し不安でしたが、この変化が食欲の秋の号砲になったようですね!」
と大村船長も大興奮。シーバスのビッグベイトゲーム自体は厳冬期まで楽しめるため、大興奮のシーバスフェスティバルをぜひ味わってみて欲しい
祭りの匂いを嗅ぎつけ、別船でやってきたオルカスタッフの田中さん。豪快なファイトの末に姿を現わしたのは立派なブリだった
●問合先:東京湾チャーター船ORCA(☎︎ 080・1184・7242)●住所:千葉県木更津市中島4037●料金(大船):■ 5 時間便・6 万円(4 名まで)5人目以降+ 1 万5000 円■ 8 時間便・8 万4000 円(4 名まで)5 人目以降+ 2 万1000 円■ 10 時間便・10 万円(4 名まで)5 人目以降+ 2 万5000 円(詳しくはHP 参照)●交通:東京湾アクアライン・木更津本線料金所を出て最初の信号を左折。最初の曲がり角を左折して突き当りを右折し、道なりに進むと目的地
ビッグベイトシーバスも楽しめるフエルコの新製品
今回フエルコから発売となるのは大型魚をメインターゲットとしているパックロッドシリーズ。 「このシリーズはアマゾン川や東南アジアなどへ遠征する人向けのロッドです。各モデルのモチーフとなっているパイクやトーマン、パプアンバス、ピーコックバスなどをねらえるスペックに仕上げました。もちろん国内遠征にもオススメで、パワーゲームを得意とし、ビッグベイトの使用も想定しています。ランカーシー バスや青物をねらうのにももってこいです」 と高田さん。一番左のXT710R-5C は巻き物の釣りを想定して設計されたモデル。このモデルと XT610R-4C は長いレングスゆえのダルさを軽減するためにカーボンの含有率を高め、シャキッとした 使い心地に仕上がっている。大きめのジョイント系ルアーに最適で、ジャイアントベイトの使用も視野に 入るバッドパワーと適度なラインスラックを生みだす軟らかめのティップが魅力だ。左から二番目のXT610R-4C は本シリーズの中で最もバーサタイルに使えるロッド。トップの釣りと巻きの釣りの両方をカバーできる設計で、一本でさまざまな魚種に挑める。曲がりが素直でフッキング時 のノリがよいのも特徴だ。フラットサイドのジャークベイトや200mmサイズのジョイント系ルアーに最適。 左から三番目のXT605R-4C は20cmクラスのトップウォータープラグが使いやすい設計。 130 ~140gのペンシルベイトにうってつけの一本で、今回高橋さんがメインで使用していたメガドッグ 220 がベストマッチだったという。 一番右のXT510R-4C はボートフィッシングでの取り回しに優れたレングス。アマゾン川などでのトッ プゲームのお供に連れて行きたい一本だ。15 ~18cmクラスのトップウォータープラグにマッチし、12 ~ 16cmのミノーなども使いやすい。100 番台のベイトリールと組み合わせることができるため、タックル全 体を軽量化できるのも魅力的。
航空会社や飛行機の機体の種類によっては手荷物として持ち込めるサイズまで分割できる。国内・国外を問わず遠征の頼もしい相棒となるだろう
※このページは『つり人 2023年12月号』を再編集したものです。