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都心から3時間、ヒレピンのヤマメが泳ぐ渓流 埼玉県秩父市・大洞川

サオ抜けポイントをていねいに探ろう

レポート◎編集部、協力◎大沢健治
tba6_ph_03_01 時おりこのサイズが掛かって楽しませてくれた

ヒレピンヤマメが泳ぐ渓


 埼玉県・秩父には荒川水系の支流が数多く流れる。地図で見るとその様はまるで葉脈のようだ。都心部からでも3時間ほどとそう遠くない位置にあるため、入渓者は多く、プレッシャーは高め。だが、その割には魚影は濃く、いい釣りが楽しめる。夕マヅメ時になると、「いったい今まで魚はどこにいたんだ?」というほど、好反応を見せることもあるという。懐深い谷で脈々と命が受け継がれている証だろう。

 今回取材にご協力いただいたのが上州屋坂戸店・店長の大沢健治さん。季節に合った旬の釣り物を追っているオールラウンダーだが、渓流と源流釣りが得意である。地元埼玉の渓流以外にも新潟方面の渓に明るい。大沢さんが今回案内してくれたのが、秩父の渓、大洞川である。

「大洞川はキンチヂミで知られ、険谷のイメージが強いですが、中流部は開けた渓相が続きます。まったくの素人では危険ですが、渓流釣り経験者なら特に難所と感じるところはないでしょう。ヤマメがメインですが、増水後など水が動いたタイミングで入るとイワナも混じります」

「ここは放流をしていないので、釣れるのは天然。パーマークがくっきりした惚れ惚れするようなヒレピンがかかりますよ」とは大沢さん。

tba6_ph_03_15 パーマークがくっきりとした美しいヤマメ。放流はしていないエリアなので、過度なキープは避け、なるべくキャッチ&リリースで楽しみたい

 深夜に上州屋坂戸店で合流すると、秩父方面に車を走らせた。二瀬ダムを通りすぎると、「この上に三峯神社があって、休日になるとこのあたりから渋滞。関東屈指のパワースポットとして数えられ、ご利益があるそうです。クルミそばも名物ですよ。お昼に上がって、帰りに寄りましょうか」と声を弾ませる大沢さんであった。

 途中、三峰観光道路と分かれ、林道を進む。落石が見られるが、車高のある車でなくても難なく進めるレベルだ。うっすらと明けてきた頃に鮫沢の車止めに到着。すでに軽自動車が一台停まっていた。「早めに出たから一番乗りだと思ったんですが、上がいましたね。もう入っちゃったかな……。入渓前であれば、相談して渓割りができたんですが。でも、先行者がいてもポイントは多いですし、サオ抜けを見つけて釣っていくので大丈夫ですよ!」と頼もしい。

tba6_ph_03_02 鮫沢のゲートに車を停めて林道を進む

tba6_ph_03_03 スマートフォンにGPSアプリ『ジオグラフィカ』をダウンロードして使用。入渓点を確認

イチオシギア
フィッシンググローブ tba6_ph_03_kakomi01 今回のように斜面を下ったりするような渓流釣りでは必ず装備しておきたいのがフィッシンググローブ。手のひら部分が合皮になったものだとグリップ力があり、耐久性が高いため長く使えて経済的。

開豁な渓


 準備を終えて、鮫沢のゲートを越えて林道を進んだ。大洞川は、谷沿いに走っている林道を使ってアプローチできるため、入退渓が楽である。林道があると不意の増水でも、力技にはなるが、斜面を登ればエスケープできるというのは何かと安心である。

 空気はひんやりしていて、気持ちがいい。向こうの尾根筋にはポツリポツリと山桜が咲いており、芽吹き始めた緑とのコントラストが美しかった。樽沢、鷹ノ巣沢と越えたところで大沢さんが立ち止まった。「このあたりから降りましょうか?」と指差す先はなかなかの急斜面。

tba6_ph_03_05 遠くの尾根には山桜が見えた。ちょうど春がやってきたようだった

「ここは植林帯なので、枝打ちなどで人が入っています。人が歩いた跡もありますし、見た目より歩きやすいんですよ」。もし、入退渓で迷ったらこれを頼りにするのもよいだろう。

tba6_ph_03_04 植林帯を降りていく。植林帯は人の手が入っているため、急こう配でも歩きやすい

tba6_ph_03_06 堰上の緩い流れで川虫を取った

tba6_ph_03_07 開けた渓相が続き、仕掛けが振りやすい

 斜面を下るとダムから2つ目の堰上に出た。開けた渓相でサオは振りやすそうだ。ここで川虫を採取し、少し上がってからサオをだすとすぐにアタリがあった。華麗に引き抜き、タモに導かれたのは7寸ほどのヤマメ。「きれいでしょう?」という大沢さん。まさに道中で話していたとおりの惚れ惚れするような美しいヤマメである。

tba6_ph_03_09 釣りを始めて10分もしないうちに1尾目を釣りあげた大沢さん

tba6_ph_03_08 エサはオニチョロを使用。小さめのエサに反応がよかった

tba6_ph_03_10 入渓者が多い渓では小場所も見逃さずに釣っていくことが大事

 先行者の影響だろうか、〝ここは出るだろう〟という一級ポイントではアタリが少なく、ボサの下や仕掛けが流しにくい浅いヒラキなどサオ抜けポイントをていねいにさぐって行くと魚の反応が見られた。

 10時頃から北風が強くなり、仕掛けが振りにくくなってきた。そしてなにより落ち葉が多く流れるようになってきたのだ。2~3投に1回はハリに落ち葉が掛かってしまう。

「見てのとおり釣りにくくなりますが、川虫も落ち葉に隠れて見えにくくなってしまいます。こんな時はキヂに変えるといいんですよ」
 と言い、キヂに変更すると再びアタリが出始めた。ほどなくすると高さ3mほどの巨石が作る淵に出くわし、ヒラキには良型が2~3尾が泳いでいる。

tba6_ph_03_11 落ち葉が流れ出すと、急に川虫への反応が悪くなった。そのタイミングでエサをキヂに変更

「落ち葉と風の影響で自然に流せないですね。風がなければ一発で食うんですが……」と仕掛けを何投かしても反応はなかった。
「こういう時は上流から仕掛けを止めるようにエサを見せると反応することがあります」
 と言うと、大岩によじ登り、上から仕掛けを流した。すると答えはすぐに出て、愛竿が絞られた。タモに収まったのは今日一番のサイズだった。

tba6_ph_03_13 上流に行くに従って大石が多くなってくる。機動力を重視してウエーダーはシューズタイプのほうがよいだろう

 この後もポツポツと拾い釣りをし、荒沢谷との出合まで釣った。荒沢谷との出合からはたいした高低差もなく林道に上がれる。時間は12時を回っていた。ここから車止までは小1時間の歩きになる。帰りも林道を使えるのはありがたい。

 これからの時期は魚の活性もさらに上がり、テンカラも面白くなってくる。開けた渓なので、振りやすいだろう。帰りには三峯神社に寄って、ちょっとした渓流旅を味わうプランがおすすめだ。

tba6_ph_03_12 秩父の渓は深い。太陽が出ても陽が差すまでには時間が掛かった

tba6_ph_03_14 日が差し込むと魚の活性はあがってきた

tba6_ph_03_16 サオはシマノ弧渓『M61』。渓相は開けているので、6mほどのサオだとポイントをしっかり探れる。ハリはオーナーばり『カッパ極SP』やがまかつ『ナノヤマメ』3号を使用。キヂを使う時は7号に上げた。水中イトはフロロカーボンの0.2~0.25号

 
上州屋坂戸店 tba6_ph_03_kakomi02 住所=埼玉県坂戸市大字石井2333-10
営業時間=月~木:10~20時、金、土:10~21時、日:10~19時
問合先=TEL049・289・1368


おすすめの立ち寄り処
三峯神社 tba6_ph_03_kakomi03-1 関東最大のパワースポットと紹介されている三峯神社。標高1100mの高所にあり、オオカミ信仰で知られる。休日になると二瀬ダム付近から“三峯神社渋滞”が発生するほど人気がある。特に毎月1日に頒布されるお守り「氣守」を求めて、多くの人が訪れる。1日は釣行を避けたほうが無難かもしれない。ちなみに5月1日はゴールデンウイークに重なることから、混雑を避け5月11日の頒布になっている。 境内にはお土産処もあり、クルミそばが人気。味噌おでんも美味である。また、天然温泉「三峯神の湯」もあるので、魅力満載だ。
住所=埼玉県秩父市三峰298-1


072-095zenkoku03_out 交通●関越自動車道・花園ICを降りて、R140を秩父方面へ
問合先●秩父漁協(TEL0494・22・0460)、解禁期間・入漁料など要確認




協力◎大沢健治
昭和47年生まれ。埼玉県在住。釣り歴は38年。『全日本暇人協会』会員。上州屋坂戸店店長を務める。渓流用品にも力を入れているので気軽に足をはこんでいただきたい


この記事はつり人2018年6月号でも読むことができます



 

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