<img height="1" width="1" style="display:none" src="https://www.facebook.com/tr?id=170559842213036&amp;ev=PageView&amp;noscript=1">
編集部2020年10月22日

相馬沖のヒラメで『常磐もの』の魅力を体感! 福島の今を伝える釣り・料理企画開催レポート

ヒラメ 船の釣り 全国おすすめ釣り場 福島

2020年9月6日、復興庁によるメディアミックス事業の一環として、釣りと料理をとおして地域食材の魅力を伝え、安全性等への理解の増進を図る企画が、福島県の相馬市で開催された。福島沖のヒラメの出荷制限が解除されたのが2016年6月。それにともない、遊漁船による相馬沖のヒラメ釣りも再開されたが、すると9~10月の秋シーズンに入ったところで、60㎝オーバーが数釣れて当たり前、70㎝、80㎝を超える座布団クラスも珍しくないという連日の好釣果が聞かれるようになった。

近年、抜群の好釣果で注目を集める相馬沖のヒラメ釣りは9~10月の秋がトップシーズン

秋シーズンは60㎝オーバーが数釣れて当たり前、座布団クラスも

写真と文◎編集部


■イベント概要
主催/復興庁
企画名称/『常磐もの』で福島の今を体感2020
     ~釣れたヒラメでリモートクッキング!~
実施運営/電通、日刊スポーツ、つり人社 他
実施日時・内容/2020年9月6日(日)・相馬沖の船ヒラメ釣り

◆釣りのあとに行なわれたリモートクッキングの模様はこちら
https://gyoppy.yahoo.co.jp/pr/1.html

近年賑わいを見せるヒラメの好フィールド

 2020年9月6日、復興庁によるメディアミックス事業の一環として、釣りと料理をとおして地域食材の魅力を伝え、安全性等への理解の増進を図る企画が、福島県の相馬市で開催された。東日本大震災・福島第一原発の事故から10年近くを経た今も課題になっている、県産魚の風評被害対策の一翼を担おうというものだ。当初は一般の参加者も募る形で企画されていたが、新型コロナウイルスの影響により、最終的にゲストや地元テレビ局などのメディア関係者に絞っての実施となった。それでも、食と交流の体験を楽しむことができるグルメアプリ「キッチハイク」を活用し、双方向オンラインワークショップをすることにより、疑似的な現地参加を体感できるように工夫した。

03-IMG_0590
「釣りを通じた情報発信はぜひやりたかった」という横山復興副大臣の釣りは、つり人社社長の山根和明がサポート。ちなみに横山復興副大臣はアカガレイの食性の研究で博士号を取っている。後日の副大臣の公式ブログでは、「餌付けをしながら山根社長が話してくれた『釣りは平和の象徴』は、心に沁みる言葉です。平凡な日常に突然襲い掛かる災害を防ぐことも平和だと思います。私にとっては、あらためて福島の復興を誓うヒラメ釣りになりました」と力強く発信されていた

 当日は名勝・松川浦に隣接する相馬港に、横山信一復興副大臣、みっぴこと秋丸美帆さん、海洋環境専門家の木村尚さんらが集合。午後からリモートクッキング教室を行なうイタリアンシェフの奥田政行さんらも駆けつけ、第二豊漁丸と甲子丸の2艘に分乗しての出船となった。この日は中潮で、満潮が午前5時41分、干潮が午前11時54分。九州には台風10号が迫っていたが、相馬沖は雲こそ多いものの雨はなく、波も穏やかな釣り日和となった。

 04-DSC01861
甲子丸にはリモートクッキングで講師を務める奥田シェフや海洋環境研究家の木村尚さんが乗船。こちらもヒラメが釣れるたびに歓声が沸いた

 それまで実施されていた福島沖のヒラメの出荷制限が解除されたのが2016年6月。それにともない、遊漁船による相馬沖のヒラメ釣りも再開されたが、すると9~10月の秋シーズンに入ったところで、60cmオーバーが数釣れて当たり前、70cm、80cmを超える座布団クラスも珍しくないという連日の好釣果が聞かれるようになった。本来、あってはならない原発事故だが、この日第二豊漁丸の舵を握った稲村利幸船長は、「ヒラメだけでなくエサとなるシラスも増えたことで、釣れるヒラメの数も型も明らかによくなったと感じます」と語る。また、福島沖ではヒラメの体長制限を50cm以下と大きめにして資源保護と資源価値の向上に取り組んでいる点も見逃せない。遊漁船にも基準以下の魚のリリースを促す目盛り付きのステッカーが貼られており、釣り人への協力の呼びかけが徹底されているのだ。


オモリは80号。1m浮かせたイワシに鋭い反応

 相馬沖のヒラメ釣りはオモリ80号が標準。エサは生きたイワシ(マイワシ)で、この日の大きさは15~20cm。釣り場の水深は40mほどだが、水深に比べてオモリが重めなのは、思いのほか潮が速く流れることもよくあるためだ。仕掛けはイワシのダメージが少ない3本チラシタイプが好まれる。親バリ以外の2本の小バリは完全にフリーでもよいが、1本を腹や体側に掛けておくのも幹イトへの絡み防止になり効果的だ。

p 098-101 tackle

 釣り方は、オモリを一度着底させたら1mほど底を切り、岩礁帯周りにイワシを泳がせてアタリを待つ。船は外房などで見られる横流しではなく、スパンカーを立ててポイントの上を流す。流し替えによって左右舷で釣り方が大きく変わることはないので、その点は入門者でも釣りやすいが、根がきつい場所も多いので仕掛けを上げる幅については船長の指示を聞き逃さないようにする。「この日は1mでお願いしましたが、もっと高く取る時もあります。活性が高ければ、ヒラメも4~5mは食い上げてくることがあります。逆に活性が低い時もあって、そうなると根掛かり覚悟で底付近をねらわないと厳しいこともある。その日の状況や釣り場によって、タナの指示はやはり変わります」と船長。

02-DSC02151
釣り場は相馬沖の水深35~40mライン。ヒラメの好む岩礁帯が広がり、底から1mほどにイワシを泳がせると活発にアタリがある

 この海域のヒラメは、8月頃にそれまでの深場から水深40mほどの浅場に上がってくる。ベストシーズンは9~10月で、その間は水深20~40mくらいまでのポイントが釣り場になるそうだ。また、根周りの平場にいた魚が、完全に根に入るようにもなってくるので、それでも釣り場が変わるという。その後は11月頃まで釣れるが、徐々に群れが南方に移動していくというのが船長の見立てだ。

 相馬港を出た2艘の船は、50分ほど走ったところで陸も見える沖合に到着。水深35mほどの岩礁帯エリアをねらい始めた。記者が同船した第二豊漁丸では、左舷胴の間に横山復興副大臣、その隣の左舷前方には秋丸さん、左舷後方には全日本釣り団体協議会副会長理事の千葉康則さんが並びサオをだした。「就任以来、釣りのイベントはぜひ実施したかった」という横山復興副大臣。北海道庁水産部の勤務経験もあり、船からのヒラメ釣りはこの日が初体験とのことだったが、つり人社の山根和明社長がサポートに付き基本的な釣り方をアドバイスする。すると釣り開始からさっそく、イワシが追われるような反応がサオ先に出た。

 反対側の右舷でまず船中1尾目の50cmクラスが上がる。「型が出ましたよ」とアナウンスが入ってしばらく、気配を感じていた横山復興副大臣のサオ先も一段深く入り込んだ。ためらわずサオを立てると確かな手応え。「ヒラメ40」ともいわれ、食い込むまで時間を要することもあるヒラメ釣りだが、この日の活性は悪くなさそうだ。

08-DSC01811
ヒットするヒラメはいずれも身が厚い

 その後も、底から1mのタナ取りをていねいに繰り返す横山復興副大臣のサオ先には、コンスタントにアタリが出る。次々にヒットするという状況でこそなかったが、サオ先に食い込みの反応が出たところで間髪入れずアワセを入れると乗るパターン。サポート役の山根(弊社社長)も「とても初めてとは思えません(笑)」と、横山復興副大臣の熱心さと相馬の海の豊かさに驚く。秋丸さんとのダブルヒットも見られ、「ヒラメ釣りでこれだけアタリが楽しめる状況は初めてです」と、全国の海に出かける秋丸さんも感心しきりだ。

06-DSC02095
05-DSC01765
07-DSC02088
ヒラメのほかにも型のよいクロソイやホウボウがヒット。ホウボウを手にするのは福島の復興にも関わりが深い社会学者の開沼博さん。クロソイは地元でも「刺し身は絶品。アラから出るダシも最高」といわれる美味魚だ

 後半には横山復興副大臣にひときわサオが強く引き込まれる素晴らしいアタリもあり、上がって来たのは60cmを超える肉厚の良型ヒラメ。黒潮と親潮がぶつかる福島沖はもともと豊かな漁場であり、そこで水揚げされる大型ヒラメは「常磐もの」として、東京卸売市場でも震災前から高く評価されてきた。まさにその名にふさわしい魚体だ。さらに秋丸さんが掛けた魚の中には、フッキング直後からドラグを引き出し続け、最後はリーダーを噛み切ったと思われるものもあり、午後からのリモートクッキングイベントのため午前8時半に沖上がりというスケジュールだったが、誰もが相馬沖のヒラメの濃さを実感した。

09-DSC_9600
沖上がり前に青空が広がり始めると、秋丸さんが70cmに迫るこの日一番の良型をヒット

 結果は、横山復興副大臣が10尾のヒラメを釣りあげ、これが2艘を通じての最多釣果。秋丸さんも前述のラインブレイク直後に70cmに迫るずっしりと重いヒラメを見事にキャッチした。ちなみに一般のお客さんが乗った前日の第二豊漁丸では、午前の半日船で一人平均10尾以上、13人で150尾という釣果だったそう。その時の最大は71cmで、リリースサイズの50cm以下はのぞいた数というのだから、相馬沖のヒラメの数と型は本当に驚きである。

 2020年シーズンの相馬港の船宿では、新型コロナウイルスの影響により、しばらく東京を含む関東や他県からの予約・来店を遠慮していた。しかし、情勢が徐々に落ち着きを見せてきたこともあり、第二豊漁丸などは通常の受け入れを再開している。相馬にはヒラメ釣りを実施している船宿が複数あるので、電話で確認のうえお出かけいただきたい。釣りを通じて「常磐もの」の今の姿を知り、その魅力を体感することは、福島の復興支援にも間違いなくつながるはずだ。

10-DSC02263
帰港後は記念撮影を行ない、午後からは釣れたヒラメも利用したリモートクッキングイベントも実施された

p 098-101 fukushima-hirame map
●第二豊漁丸(電話:0244・38・6503)
https://houryo.co.jp/?page_id=113

新地町海釣り公園の堤防釣りもおすすめ

12-DSC01619

 今回のイベントでは、ヒラメ釣りの前日に相馬港内の「新地町海釣り公園」のようすも取材された。震災前から人気のあった堤防を海釣り公園として整備したもので、41ある釣りデッキからは、季節によりクロダイ、イシダイ、良型メバル、イナダ、ヒラマサ、カンパチなどがねらえる。隣接する火力発電所からの温排水が常時あり魚が集まりやすい。相馬を訪れるならこちらもおすすめだ。

11-DSC_9589

●新地町海釣り公園
住所:福島県相馬郡新地町今泉字新港8番地
電話:0244・62・5559(受付時間:9:00 ~ 16:00)
公式サイト:https://www.shinchi-fishing.com/
※年末年始および荒天日は休業



この記事は月刊『つり人』2020年12月号でも読むことができます

B08KFWM74D
定価:本体1,000円+税
B5判180ページ

おすすめ記事

記事検索

  • 検索フィールドが空なので、候補はありません。

月刊つり人 最新号

つり人 2020年5月号

列島をゆるがすコロナウイルス。けれども、日増しに暖かくなる春の日を、じっと家にこもって過ごすのはやっぱり体によくない。その点、手軽な海の釣りは、風も気持ちよく、大人も子どもも、思い切り深呼吸しながら時間を過ごせる。ウミタナゴ、メジナ、クロダイ、カレイ、アオリイカ、カサゴ……。元気な魚たちが泳ぐフィールドで、がんばろう、ニッポン! そのほか、3名手の渓流解禁レポート、里川で見つかる美味しい道草、みちのくタナゴ旅など旬の釣り満載でお届け。