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ヒラマサとヒラスズキ釣り/長崎県北松浦郡小値賀町/上五島 

瀬渡し直行便なら釣りも観光もベリーグッド

レポート◎小田部修久
078-101_zenkokutsuribaGW06_cs6 (110) プロショップ・ブルーウォーターハウススタッフの常岡紘次さんがメタルジグでキャッチした5㎏強のヒラマサ。これで充分満足できそうだが、上五島に通う人にとっては、春は10㎏超が出るため、このサイズでも小さいほうだとか


この記事は『つり人』2017年6月号に掲載したものを再編集しています。

上五島とヒラマサ


 五島列島…。関東や関西に住む釣り人も一度はその名を耳にしたことがあるのではないだろうか。五島列島は長崎県西部に浮かぶ有人島と無人島からなる島々の総称である。一般的には上と下に分けて語られるが、九州の釣り人は五島列島を上、中、下に分けて認識。上五島は定期船が就航する小値賀島や中通島などの有人島と周辺の無人島を指し、中五島は若松島と奈留島、下五島は久賀島と福江島を指す(厳密にいえば中通島の佐尾鼻も中五島に位置づけられる)。これらの違いは釣りモノや用意するタックルの強弱、渡船代に現われる。

078-101_zenkokutsuribaGW06_cs6 (114) 落日が島にかかる上五島の夕景。上五島遠征はきっといい思い出になってくれるはずだ

 このように五島列島には多くの島が浮かび、無数に釣り場が存在する。中でも上五島は大小さまざまな無人島や独立礁があり、釣魚の宝庫と呼ぶにふさわしい。

 春を迎えた今、エサ釣りでは上もののオナガメジナ、底もののイシダイ愛好者が本格的に活動を開始するようになるが本稿では遠征を検討するルアーアングラーにヒラマサとヒラスズキを紹介したい。

 元々、上五島ではヒラマサをカゴ釣りでねらうのが主流だった。ボイルオキアミをエサにカゴ釣りでねらうヒラマサが好釣果を上げる主な時期は、本格的に秋が到来する10月以降から晩秋だったが、近年のルアー人気によってヒラマサゲームの開拓が進み、春から夏にも釣果が聞かれるようになった。

 取り分け春は、「春マサ」とあがめられるほどで、その理由は産卵期を迎えた大型のヒラマサのヒット率が高くなるからである。10㎏、時に20㎏を超す破格サイズも夢ではなく、それらを相手にした磯上でのファイトは、アングラーの神経を研ぎ澄まし、血をたぎらせる。まさに、遠征してでも対峙したいターゲットなのだ。

 上五島ならヒラマサの可能性はどこにでも転がっているといっても過言ではないが、実績が多くて人気が高いのは平島や美良島、帆揚瀬、白瀬灯台など。もちろん、これらの島や瀬は多くの釣り座を擁しているので何組もの釣り人が楽しめる。ほかにも倉島やホゲ島、赤島などの島や沖黒瀬、黒瀬灯台といった規模の大きな釣り場がある。

078-101_zenkokutsuribaGW06_cs6 (112) 空洞の形が特徴的な上五島の帆上げ瀬。上もの、底もののメッカに加え、最近はルアーでねらうヒラマサの好釣り場として位置づけられるようになってきた

078-101_zenkokutsuribaGW06_cs6 (113) 上五島平島の草原と正面にそびえる美良島。平島はその名のとおり、平らな地形が広がり、浅瀬はヒラスズキの高実績釣り場となっている


平戸から行く上五島


 こうした上五島の釣り場群に行くには、定期船で五島に入り、現地の瀬渡し船を利用する以外にも方法がある。

 長崎県本土の平戸島には上五島に案内してくれる直行便の瀬渡し船が何軒もあるため、九州人はもちろん、遠征組にも利用しやすい環境が整っている。中には民宿を備えた渡船もあり、釣りだけでなく現地の新鮮な魚介類を使った漁師メシに舌鼓を打つこともできる。

078-101_zenkokutsuribaGW06_cs6 (120) 平戸島の西浜港から出船する浜本釣センターのアクアライナー。上五島釣行は釣り場に応じて1万3000円~1万8000円

078-101_zenkokutsuribaGW06_cs6 (111) 瀬渡し船での瀬上がり、回収時は、こうして荷物リレーを行なう

 また、平戸島自体エギングやメバリング、ヒラスズキ、フカセのクロダイやメジナなどの大場所であるほか、新鮮な海の幸や庶民派グルメのちゃんぽんを満喫できる人気の観光エリアだ。長崎県平戸市がふるさと納税人気ランキングで1位に輝いた実績からもうかがうことができるが、平戸島自体にも大きな魅力がある。

 釣りや食以外にも南蛮交易の名残りを残す建物や眼下に平戸瀬戸が広がる平戸城、キリスト教の教会群など観光資源も多く、家族旅行で訪れるのも悪くない。

ヒラマサ攻略


 ベイトや流れ、使用ルアーやアクションなど、魚をヒットに持ち込む要素はさまざまあるが、福岡市のソルトルアープロショップ・ブルーウォーターハウスの常岡紘次さんは「春は一にも二にも時間帯に関係なくキャストを続けることこそヒットの秘訣」とメンタルの重要性を口にした。

 たしかに、ベイトの有無やよい流れ、集中力が保てるルアーや状況にマッチした動かし方などは大切で、気にしておくのはいうまでもないが、同時にそれにとらわれすぎると落とし穴があるという。朝マヅメはやる気も気力も充分で期待度も高いが、春マサはいつスイッチが入るか予測がつかないところがある。そのため、マヅメを釣り逃がしたからその日が終わりではないのだ。同様に、ベイトがいないから、流れがイマイチだから……といった負の要素を見て決めつけないようにしたい。

078-101_zenkokutsuribaGW06_cs6 (116) 春マサは見た目の状況に左右されることなくキャストを続けることが大切だ

 ねらい方はダイビングペンシルやポッパーなどのトップウオータープラグを使うプラッギングとメタルジグを使うジギングがある。

 プラグは14~20㎝前後を使うことが多い。水面を蛇行させたり、一度水面下に突っ込ませたあとに浮かび上がらせたり、ボディーや頭部に設けられたカップで水面を叩いたり飛沫を上げるなどして誘う。大切なのは、魚が背後に付いたりバイトしても一定のリズムを保って操作し続けるところ。魚がルアーを襲って水面下に消えてもすぐに合わせず、ひと呼吸置いてフッキングを入れるところだ。

 トップに反応しない時は60~150gのメタルジグを投入して底から中層までのようすを探る。その際、ヒットだけを待つのではなく、ジグのシャクリ抵抗や着底までの時間などから流れの利きぐあいを調べる意識を持っておくとよい。一見すると、プラグとジグの使い分けはレンジの釣り分けのように思えるが、メタルジグを使えば海中の流れを知ることができる。これが表層の見た目にとらわれがちなトップの釣りにフィードバックできる。

078-101_zenkokutsuribaGW06_cs6 (115) 常岡さんが愛用する青ものロッド・レイジングブル104XF-2。ロッドは、腕や背筋の力やキャリアなどから現在の自分に合ったものを選びたい

078-101_zenkokutsuribaGW06_cs6 (4) 078-101_zenkokutsuribaGW06_cs6 (119) ヒラマサに使うダイビングペンシル。写真は上からBC-γ(カーペンター)、猛大舞丸(猛闘犬丸)、ダイブベイト190XR(ローカルスタンダード)。いずれも人気ルアーだ

 また、魚が掛かったあとにどこで浮かせて取り込むかも釣りの開始時にシミュレーションしておく。相手が元気なうちに手前の浅瀬まで寄せてしまった場合、一走りでラインが根に触れてバラしかねない。大型が出る時期だけに、取り込みは同礁者に委ねたほうが安全である。単独釣行よりも複数釣行のほうがおすすめだ。

078-101_zenkokutsuribaGW06_cs6 (118) 足場の高いところでもしっかり足もとまで探るようにしたい。また、どうやって取り込むかを考えてから釣りに着手するのが鉄則だ

ヒラスズキ攻略


 青ものが渋い、あるいはちょっと風が強くて終日ハードタックルを振り続けるのがシンドイというときは、ヒラスズキの準備をしておくとよい。

078-101_zenkokutsuribaGW06_cs6 (117) 青ものを釣りながら、状況や気分に応じてヒラスズキタックルに持ち替えるとこうしてヒラスズキの顔を拝むことができる。もちろん、ヒラスズキオンリーでの釣行も大いにアリ

 春のヒラスズキは産卵を終えた体力を回復させるために盛んに捕食行動を取るため、数が出る好機である。

 12~15㎝までのフローティングミノーやシンキングミノー、リップレスミノー、シンキングペンシル、7~9㎝のバイブレーションをサラシの脇や磯際にキャスト。流れに同調させるようにゆっくりと引いたり、あるいは漂わせたり、一定の速度で引いてくる。

 青ものよりも浅いエリアを釣り場とし、一投一投、投入点とヒットポイントをイメージしながら釣るようにしたい。

 サラシが濃いほうがヒラスズキの活性も上がって釣りやすくなるが、薄いサラシでもピンポイントを丁寧に探って誘うようにしたい。釣り場が深いとサラシは出にくくなるが、そんな時はバイブレーションを使って深いところを釣ってみるとよい。

 ヒラスズキでバイブレーションを使うとスレやすいが、激しくシケたときにも出番はくるので1個はケースに忍ばせておきたい。

 上五島はヒラスズキも多く、関東や関西のアングラーが驚愕するほどバイトがある。

078-101_zenkokutsuribaGW06_cs6 (121) 釣りを終えたあとは不思議と塩っ気と汁ものがほしくなる。そんな気分にちゃんぽんは最高の一品

078-101_zenkokutsuribaGW06_cs6 (122) 平戸は日本でも有数の天然ヒラメの水揚げを誇る。平戸市内の温泉旅館に宿を取れば、多くの場合、海の幸が並ぶ夕食が用意される

イチオシギア
MCワークス『ドライチューブ2』 078-101_zenkokutsuribaGW06_cs6 (123)  磯での使用に耐え、水をシャットアウトする素材で作られた軽量コンパクトな防水バッグ。ショルダーストラップ付きで背負うこともでき、渡礁時や歩行時に両手を空けられるメリットがある。防水性や大きさだけでなく、リーズナブルな料金はアングラーのみならず、アウトドアでの撮影者にも最適。ブラック、オレンジの2色

ショップガイド
ブルーウォーターハウス
078-101_zenkokutsuribaGW06_cs6 (124) 住所=福岡県福岡市博多区東那珂2-13-28
アングラーズヴィレッジ博多2F
営業時間=平日11~21時、日・祝日11~20時
定休日=火曜 問合先=℡092・432・6134


おすすめのお立ち寄り処 
平戸城と教会 078-101_zenkokutsuribaGW06_cs6 (126) 078-101_zenkokutsuribaGW06_cs6 (125)  城と教会は、平戸の町並みを象徴する建造物。平戸城は平戸瀬戸の近くに築造され、水道を一望の下にできる。眼下の景色に殿様の暮らしを想像するもよし、釣り人目線で流れを観察するもよし。また、平戸界隈は南蛮交易の影響でキリスト教が根づいていた。平戸市は、今年公開された巨匠マーティンスコセッシ監督の話題作『沈黙』と縁のある地でもある。映画製作に際し、監督自ら平戸島の西に位置する生月島を訪問し、隠れキリシタンの末裔を取材したという。

078-101_zenkokutsuribaGW06_cs6 (12) 交通●福岡空港からブルーウォーターハウスまではタクシーを使うのが便利で、約15分。ブルーウォーターハウスから平戸島へは、都市高速月隈ICより福岡都市高速環状線を西進し、西九州道の南波多谷口ICで降車。県道297号を平戸方面に走り、R204を経て平戸大橋を渡る。上五島への直行便が出る瀬渡し船は田平港、白浜港、西浜港、宮ノ浦港などから出港

レポート◎小田部修久
昭和43年生まれ。福岡県在住。フカセ釣り、船釣り、海水と淡水のルアーetc、さまざまな釣り具を宝の持ち腐れ状態にしていることを軽く悩む釣り雑誌ライター、カメラマン

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