北海道のアユは低水温に強いが、開幕直後の7月上旬などはやはり水温の上がる午後に分がある。それが7月下旬~8月上旬の一番暑いころになると、早朝から夕方まで時間帯を問わずオトリをよく追ってくれる。
グランプリアユが泳ぐ、ミネラルウォーター釣り場
北海道・朱太川のアユ釣り
レポート◎小林 亮
この記事は『つり人』2020年9月号に掲載したものを再編集しています。100尾超え!7月下旬、アユ入れ掛かりシーズン到来
北海道のアユは低水温に強いが、開幕直後の7月上旬などはやはり水温の上がる午後に分がある。それが7月下旬~8月上旬の一番暑いころになると、早朝から夕方まで時間帯を問わずオトリをよく追ってくれる。
至福の入れ掛かりタイムを長く堪能できるベストシーズンだ。道民は暑さに弱く、気温が25℃を超えると夏バテする人が続出するが(笑)、川に浸かってサオを握れ、清涼感たっぷりのこの釣りなら暑さも楽しめる。なお、暑いといっても湿度は低く、気温も本州ほど上がらない。それゆえ、猛暑日が続く本州の人にとっては快適に感じるのか、年々来道されるアユ釣りファンも増えている。
2020年夏の道内のソ上状況だが....、メジャー河川はどこも控えめにいって絶好調(笑)。そのなかでも特に前評判がよかったのが朱太川(しゅぶとがわ)だった。
結果からいってしまうと、束釣り続出!「そんな釣果、初めて聞きました」と役場の方も目を丸くしている。
取材時に釣行した黒松内川は、雨で大増水していた。
おすすめポイントは市街地近くの中流部
朱太川のポイントは下流部から上流部まで広くある。「ポイントは、下は産卵床を造成している作開地区から釣れるよ。上は国道5号線より上までずっと上っている。2020年から草刈りなどした主な入川場所には、番号入りのノボリを立てています」とは朱太川の遊漁券やオトリを販売している菅原商会の菅原正久さん。
無難なのは市街地近くの中流部。ポイントが多く、駐車スペースも広い。数釣りするならこの辺りだ。ただ、中〜下流部は水深のあるトロ場、深瀬、淵を探る際は要注意。「大根のようなアメマスにオトリを食われた(泣)」や「サクラマスがドッポンバッシャンと跳ねてて泳がせられない」ことがある。充分な数のオトリを確保できてない状況ではオトリを入れないほうがいい。
上流域は北海道らしい体高のある個体がねらえる。また、熱郛(ねっぷ)川、黒松内川、幌内川などの支流も面白い。町内は自然が色濃く残るが、川辺にヒグマの気配がそれほどないのも嬉しい。ただ、山には確実にいて、川の数ヵ所は周遊ルートになっている場所もあるので対策は怠らないほうがいい。このほか、マムシはほぼ見かけないし、8月になってもアブが大量発生しないのもいい。なお、川の近くにはジャガイモ畑が広がっている場所があるが、一帯の農家はシスト線虫という害虫の防除に気を配っているので、無闇に立ち入らないようにしたい。
ヒグマ除けの鈴はもちろんのこと、撃退スプレーがあると心強い
本流の中下流は8〜9mの早瀬クラス。上流域や支流は6.5〜7.5mがマッチ。流れも緩やかな場所が多く、ショートロッドで楽しめるのでシニア、女性にもぴったり
佐藤さんの使用したハリ。6〜7.5号の3~4本イカリを中心に、3本チラシも併用。黒松内川は根掛かりしやすいザラっとした石が多く あったので、チラシも活躍すると思う
夕方までで118尾!?至福の入れがかりを楽しもう
「基本的にねらうのは瀬です。2020年の解禁日は市街より下流に入りました。複合メタルの0.05号で、小ぶりな魚が掛かったらオモリをセットする感じ。朝はポツポツとでしたが、昼から入れ掛かりで4時半までやって118尾。この日は黒っぽく見える石が並ぶ、いかにも付いてそうな筋で素直に掛かりましたね」と苫小牧市の佐藤悠人さん。
朱太川のアユは食味に定評があり、過去には「清流めぐり利き鮎会」でグランプリを獲得している。北限のブナ林を縫って流れる清らかな水が旨いアユを育てるのだろう。ちなみに本流にダムがないのが同川の特徴であり、魅力でもあるが、これは同町が気候的に稲作に向かず、取水目的がなかったのと、勾配がゆるやかで発電にも向かなかったのが大きかったようだ。上流部にはミネラルウオーターの取水地があり、商品のパッケージには貝殻地層でろ過された天然アルカリ水とある。そんな水質も旨いアユの要因のひとつかもしれない。
締め切り直前に改めて釣行したところ黒松内川で64尾!!
菅原商会
オトリ、遊漁券を購入できる。住所=黒松内町黒松内202 問い合わせ=0136-72-3547
交通●新千歳空港からレンタカーで黒松内町方面へ
レポート◎小林 亮
昭和55年生まれ。北海道札幌市在住。好きな釣りはルアーフィッシング全般、アユの友釣り、氷上ワカサギ釣りなど。姉妹紙「ノースアングラーズ」で道内の釣り場紹介記事を担当。釣って食べて浸かって北海道の生活をどっぷり満喫中