梅雨明けからの連日の猛暑に参っていませんか?そんな方におすすめしたいのが清流でのカジカ釣り。水に浸かって川底を覗けば暑さを忘れて夢中になれること間違いなし!
連日の暑さを吹き飛ばす清流カジカ釣り
◎つり人編集部
この記事は『つり人』2020年10月号に掲載したものを再編集しています。
梅雨明けからの連日の猛暑に参っていませんか?そんな方におすすめしたいのが清流でのカジカ釣り。水に浸かって川底を覗けば暑さを忘れて夢中になれること間違いなし!
水に浸かって石穴を釣る。箱メガネの先ではカジカが食いつく瞬間も見えるスリリングな釣りでもある
カジカに会いに箒川
栃木県を流れる那珂川支流の箒(ほうき)川。アユやヤマメ、イワナなども釣れる川だが、今回のターゲットは川底の岩の隙間に潜むカジカ。箒川に架かる堰場橋から上流約1㎞の区間には100m程度の間隔で小さな堰が設けられている。この区間は川底にサッカーボール大の石が沈んでおり、人気のカジカ釣り場だ。8月上旬、梅雨が明け、川の水量が落ち着いて来た頃、上州屋白河店の吉野光晴さんと岩谷卓さん、白河店のお客さんの大森大輔さんのカジカ釣りに同行した。釣りをしたポイントは上流から数えて5つ目と6つ目の堰の間。
カジカの住処は川底にある石と石の間の穴。箱メガネで川底にある穴を捜し、そこにエサを付けたハリを突っ込んでいく。「サッカーボール大の石が入り、穴ができているような所であればどんな条件でもカジカが潜んでいる可能性があります。またカジカの棲む穴の入口は葉っぱやコケなどのゴミが少なく、きれいなことが多いです」と吉野さん。また1つの穴に数尾入っている通称『カジカマンション』も存在する。吉野さんは1つの穴から8尾のカジカを釣ったことがあるのだそう。「1尾釣りあげたら再度同じ穴にエサを入れてみてください」。と吉野さんに説明をしてもらっている間にカジカ釣り初挑戦の岩谷さんにヒットした。岩谷さんのサオは吉野さんがシマノの最高峰アユザオ「リミテッドプロ」の穂先で作成した自作ザオ。「アユザオだけあって感度抜群!カジカのアタリが明確にわかりました」。ポイントに着いてからわずか10分程で初釣果だ。特別なテクニックを必要としないので、初心者でも釣りやすい魚なのだ。
釣り開始から10 分で釣りあげた! カジカ初挑戦の上州屋白河店の岩谷卓さん
岸のギリギリ、アシが絡むポイントも見逃せない
浅瀬であれば箱メガネを使わずに釣りをすることも可能。石と石の隙間をねらおう
カジカ釣りの装備とサオ
川底のようすを観察することが最重要なので、箱メガネは必須。カジカ釣りの必需品は箱メガネ。これがないとかなりの浅場しか探ることができず、釣果が伸びない。また箱メガネはエサ箱を入れる、釣りあげたカジカがハリから外れてしまいそうな時にタモ代わりにするといった使い方もできる。箱メガネではなく虫かごでも代用できるが、取っ手が付いていなかったり、外からの光を遮ることができなかったりと少々利便性が落ちる。引き舟は必須ではないが、釣れたカジカを入れておくのに便利。引き舟がなければビクでも問題はない。
流れの強いポイントをねらうことがあるため、硬いサオを使わないと流れに負けてしまい上手く穴に仕掛けを入れることができない。吉野さんが勤務する上州屋白河店をはじめカジカ釣りが盛んなエリアではカジカ専用ザオも置いてある。ちなみに吉野さんは友釣り用の瀬ザオの穂先を改良して自作している。長さは1mほど。「友釣りのサオは穂先がしっかりしているのでカジカ釣りにピッタリなんです」。もちろん破損したサオの再利用で、先端にはハリス止メを固定してある。
引き舟に短いサオと箱メガネ。カジカ釣りにおける三種の神器
サオの先端にはハリス止メが付いている
仕掛けとエサ
ハリスにハリだけという超シンプル仕掛け。ハリの形状はあまり釣果に影響しないらしい。が、その日の状況によって金、赤、ツヤ消し、夜光ビーズ付きと当たりのハリが変わる。数種類のハリを用意してその日に合ったハリを捜そう。大きさは6号を基本として魚のサイズが小さいようなら落とすとよい。ハリスの長さは4㎝程度。長いハリスは流れにあおられて目的の穴へエサを入れることができないためオススメしない。
ハリスの長さは4 〜5cm。穴に入れやすいため短いほうがよい
ハリは何種類か用意しヤマメやハゼバリの6 号が好適。イクラスペシャルは細軸でイクラが潰れにくい。色や夜光玉の有無で食い方が変わることがある
エサはイクラかクロカワムシを使用する。吉野さんは基本的に入手しやすいイクラを使用している。イ
クラは噛み潰されると中の液体が水中で白いモヤのように広がる。そのためアタリが分からなくても穴の中にカジカがいるのかを判断することができる。注意点としてイクラは水分を吸ってしまうとハリ持ちが極端に悪くなる。水に浸かるこの釣りでは防水ケースに入れて持ち歩いたほうがよい。
イクラは水に濡れないように防水ケースに入れて持ち運ぶとよい
イクラはエキスが抜けて白くなったら取り替える
エサはクロカワムシでもOK
テンポよくラン&ガン
吉野さんいわく「食欲が旺盛でいれば食べてくる魚なのでアタリがなかったらすぐに次の穴に移ったほうが釣果は伸びますね」。吉野さんは一とおり岸際を探り終えた後、瀬の中を釣り始めた。「流れが適度に当たり、穴が上流を向いている石組みには魚が入っていることが多いです。魚は上流側に頭を向けてエサを待っているため、上流側からエサを投入すると反応がいいですね」。吉野さんが釣りあげた良型も瀬の中にある穴から飛び出した。
川底の石だけでなくブロックの隙間にもカジカが潜んでいる
この日、最も数を釣りあげた大森さんも吉野さんと同じくポイントを次々と変え動き回るスタイルだった。記者の目から見ると吉野さんも大森さんも同じくらい移動していたはずだが最終的な釣果としては吉野さんが6尾、大森さんが16尾と倍以上の開きができた。一体この差は何なのだろうかと装備をよくよく確認すると、大森さんはロングタイプの箱メガネを使っていた。堰直下で激しく白泡が立っているようなポイントでは通常のタイプだと白泡に邪魔され川底を見ることができない。ロングタイプの箱メガネがあれば、他の人ではねらえないようなポイントも攻略可能だ。
ロングタイプの箱メガネを使う大森大輔さん。ダントツの釣果を叩き出した
カジカの産卵期は2〜6月。産卵を終えた後はエサを荒食いし、たっぷりと脂が乗るため旬は秋頃だ。漁協によって解禁期間は異なるが、9月から解禁する河川もある。今回釣りをした箒川も上流部の塩原地区は9月1日から解禁になる。梅雨明けから異常な暑さが続いているこんな年には、涼しく楽しいカジカ釣りに興じてみてはいかがだろうか。
栃木県/箒川
●管轄:那珂川北部漁協(☎0287・54・0002)ホームページ: http://www.nakagawa-hokubu.or.jp/
●期間:6月1日〜10月31日
●遊漁料:雑魚券
(日釣券1000円、年券5000円)
●交通:東北自動車道・西那須野塩原ICを降りて塩原方面へ。R400を直進