道具も基本の操作もシンプルながら、実はさまざまなテクニックの引き出しがあるのが管理釣り場のトラウトルアーフィッシングの面白さだ。そのエッセンスは、たとえばかめプーのような気軽に訪れられるニジマス釣り場でも全く変わらない。次の休みは「次の一尾のアタリをどう出すか?」に夢中になれる、奥深いゲームフィッシングにはまってみてはいかがだろう。
ルアーでの釣り方の基本
文と写真=編集部
京都市内から車で45分。京都縦貫道・亀岡ICからすぐの亀岡運動公園プールにニジマス釣り場がオープンした。楽しめるのはルアーまたはエサ釣り。身近な釣り場のようすとルアーで楽しむためのコツをお届け。
亀岡運動公園プールの基本の釣り方
かめプーで常時ルアーフィッシングができるプールは2ヵ所。この日は手前の四角いプールがすでに満杯だったため、奥にある波の出るプールで釣りをした。水の色はどちらもクリア。なお、この日を含めて週末はエサ釣り用の流れるプール(こちらの水は濁っていて水中は見えない)の一部もルアーフィッシングで楽しめる。
この日は波の出るプールで釣り開始
ニジマスは元気な30cmクラスがアベレージだ
明るい人柄と確かなスキルを持つ明子さん
直子さんもキャストが安定してくるとスプーン、クランクとルアーを変えながらヒットを重ねた
波の出るプールは扇型で、扇の付け根にあたる奥に水車があり、キャストは手前から奥に向かって行なう。両サイドからの釣りは禁止だ。「当たり前ですが、まずは魚のいる場所で釣りをするのが基本です。ここは手前には魚が見えないですけれど、水車からの流れの下にはいそうですね」と明子さん。直子さんにひととおりアドバイスすると自分もサオをだし、ほどなく「釣れますね!」とヒットを重ね始めた。釣れるニジマスはいずれも元気。アワセと同時にジジジーッと軽くイトが引き出されるドラグ音が心地よい。
こうしたプールの釣り場でまずアタリを得るにはどうしたらよいか? ビギナーへのアドバイスも含めて、ベースになる釣り方を明子さんに挙げてもらった。
【ベーシック】
●まずはルアーを魚まで届かせる。魚が見えないところにしかルアーが届いていない場合は、その奥までしっかりキャストする。
●アタリがなかなか得られない時は、気負いや焦りからリールを速く巻きすぎているケースが多く、ルアーが適正スピードよりも速く動いている。そのため魚もルアーを追いきれない。気持ちを落ち着かせる意味も含めて、鼻歌を歌いながらリールを巻くのも一定のリズム保つのにとても有効。
●スプーンは1.8gのナチュラルカラー(濃淡の茶、暗色系など)をまずはチョイス。浮きも沈みもせず、安定して左右に揺れながら直進する速度で巻き続ける。この時のサオは水平気味の構えが基本。
●ラインが伸びる方向に対してサオ先を左右どちらかに少し傾け、角度(30°くらい)を付けておくとアタリが取りやすい。アタリが来たらそのままリールを巻き続けるか、軽くサオを動かしてアワセを入れる。
●着水したらすぐに巻き始めて表層からねらっていく。ニジマスの活性が悪くなければ、ラインをあまり見せない表層の釣りのほうが釣れやすい。反応がなければ徐々に沈めて中層、底付近というようにねらうタナを変える。
●その日のアタリカラーはあるので、アタリが止まったら色を変えてみる。また周囲の釣れている人の色を取り入れる。
●軽量のスプーンだと釣っている感覚が分かりにくいなら、リトリーブしている感覚が掴みやすいクランクベイトを最初から使うのもおすすめ。基本は着水したらすぐに巻き始め、水面下を一定速度で巻いてくればOK。
リーリングはサオ先をやや下げた水平気味の構えが基本姿勢
明子さんがこの日のためにセレクトした管理釣り場攻略用セレクション。左)「うにょ」は名前のとおりゆっくり巻くと「うにょうにょ」となまめかしく動くクランクベイトで、この日は直子さんが左下の「Fタイプ・透けピンク」でスレたニジマスをキャッチ。中上)「ビースパーク」はボトムを中心にリフト&フォールで食わせるトラウト用のメタルバイブレーション。中下)「ネイクランク」は初心者からベテランまで、速巻きでもスロー巻きでも使える基本のクランクベイト。右)スプーンはバリエーションが最も多く、上から「心・1.8g」「トリガー・1.6g」「ストライナ1.6g(放流直後用の強めのアクション)」「バグ0.8g(虫が羽化している時などの表層用)」「タクト1.2g(シビアな状況にも利くオールラウンダー)」「心・1.2g」などを揃えた
いずれも管理釣り場なら多くの場所で通用するスキルなので、ぜひ参考にしてほしい。そして、これらの釣り方でも渋くなってきたら、違ったテクニックも試してみる。
たとえばスプーンであれば、サオを水平に構えて横向きにキビキビと泳がせていた状態から、サオ先を上に向けてスプーンを吊り下げる形にし、水中で尻下がりの立ち気味になったスプーンが、細かく震えながら手前に寄って来るように動かしてみる。こうした動きの変化で「もう一尾」が釣れることもある。
また、クランクベイトも一定速度で巻くだけでなく、途中で巻くのを止めて浮き上がる動きを要所で入れたり、さらにそのタイミングでサオ先でチョンと引いてワンアクションを入れるなどの誘いを掛けてみると、その動きにもニジマスが反応する。
道具も基本の操作もシンプルながら、実はさまざまなテクニックの引き出しがあるのが管理釣り場のトラウトルアーフィッシングの面白さだ。そのエッセンスは、たとえばかめプーのような気軽に訪れられるニジマス釣り場でも全く変わらない。次の休みは「次の一尾のアタリをどう出すか?」に夢中になれる、奥深いゲームフィッシングにはまってみてはいかがだろう。
「数あるスプーンの中でもザ・基本の1本です」という「心(KOKORO)」の1.8gでまずヒット
こちらは微妙なウォブンロールアクションで低活性の魚にもスイッチを入れる「トリガー」の1.6g
代表的なチューニングの1つが楕円リングへの交換
フックポイントがやや後方になることで(下)、渋い状況でよりフッキングしやすくなる
ブラック仕上げで開閉のしやすさにこだわったスナップ(匠スナップ)など、細かなパーツにも気を遣っている
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かめプーフィッシングパーク(亀岡運動公園プール)
●住所:京都府亀岡市吉川町吉田上河原24
●TEL:080・2481・3562(釣り場)
●開場予定:2011年11/11~2022年5/8(12/28~1/4は休園)
●時間:9時~16時
●料金:(大人/中学生以下)2時間券1800円/1300円、午後券2800円/2000円、1日券4000円/2800円、見学券300円/無料
●ルール・道具:エサ釣りおよびルアーフィッシング。シングル・バーブレスフック使用。魚の持ち帰り可能(尾数制限あり)、レンタルタックルあり、エサの持ち込みは禁止
●交通:京都縦貫道・亀岡ICから3分。電車の場合はJR亀岡駅南口から京阪京都交通バス穴太寺線利用で市民プール前下車またはタクシーを利用
こちらの記事は好評発売中の『つり人』 2022年2月号に掲載したものをオンライン版として特別公開しています!