イカ釣りに魅了されると、春夏秋冬、いつでもイカ釣りに行きたくなる。味のよさならお墨付きのヤリイカはまだまだシーズン序盤!
イカ釣りに魅了されると、春夏秋冬、いつでもイカ釣りに行きたくなる。味のよさならお墨付きのヤリイカはロングランで楽しめる!
写真と文◎編集部
Uスタイルで沖イカへ
ヤリイカといえば寒い時期の釣りに思われがちだが、関東きってのイカ釣り基地とされる三浦半島の長井地区では例年夏のお盆過ぎにはスルメとバトンタッチしてシーズンが開幕する。
シーズン初期はサイズこそ小型が中心ながら、透き通るような柔肌の甘い食感が楽しめる時期で、群れに当たれば数釣りも可能。また、水深180m前後の深場で微妙な触りを察知して掛けて乗せるゲーム性の高さも魅力だ。春になると浅場で産卵前の大型が釣れるようになり、特に大型のオスはパラソル級に育つことから、豪快な重量感と引きも味わえる。
そんな沖のイカ釣りを愛してやまないのが湘南アングラーのyaccoさん、こと小川泰子さん。夏を中心にしたスルメイカと秋から春のヤリイカ釣りをライフワークに、この時期は釣ったヤリイカをエサにした泳がせ釣りも大好き。
そんなyaccoさんから過去に何度かイカ釣りの手ほどきを受けているのがシップスマストスタッフの山口英樹さんだ。
「yaccoさんは弊社のブランドの立ち上げから深く関わっていただいている方で、女性専用のフィッシングアパレルに求められる機能についてアドバイスをもらったり、ビギナーの方たちを集めてのイカ釣り教室で講師役を務めてもらっています」
この日、長井の『儀兵衛丸』に乗り込んだyaccoさんと山口さんはお揃いのPVCジャケットとPVCサロペットを着用していた
イカ釣り船のやすべーまんこと梶ヶ谷泰宏船長もyacco さんのMサイズのジャケットを着用して「動きやすいしメッチャかっこいい」とお気に入りのようす
「女性の骨格や体形に合わせた女性専用のフィッシングウェアを展開していたシップスマストも私にぴったりフィットして動きやすかったですが、今回のユニセックスで展開するSHIPSMAST.U もオシャレで機能的です」
とyaccoさんもすっかりお気に入りのようす。山口さんによれば、より多くの方のボディラインにフィットする形状にデザインし、男女ともに着用したくなるファッション性を重視しつつ、機能面は釣り専用ならではのこだわりを随所に散りばめているという。
「私が周年楽しんでいるイカ釣りはシャクリなどの動作も激しいですし、潮鉄砲やイカ墨を浴びることも多い釣りですから、動きやすくて水や汚れに強くないと使い物になりませんが、このPVCジャケットとPVCサロペットはまさに本格的な沖釣り仕様で文句なし。それでいて着てみたくなるデザインがいい。普段はMサイズがちょうどいいんですが、 SHIPSMAST.U では同じMサイズでもゆったりした着心地なので、重ね着をするこれからの寒い時期にもぴったりですね」
そう説明するyaccoさんの周りには儀兵衛丸の常連さんや船長が集まってきて「このジャケット着てみていい?」とか「これは何色展開なの?」と出船前から船上は試着会の様相。
yaccoさんいわく、相模湾の多くのイカ釣り船の中でも、とにかく雰囲気がいいのがこの船の魅力だという。
ビギナー歓迎の船宿でデビューを
深い水深からの小さなアタリを察知するヤリイカ釣りでは、9:1の極先調子または8:2の先調子のヤリイカ 専用ザオがマッチする。リールはPE3号が500m巻ける300~500番がマッチ。船宿にはロッドと電動リールや投入器のレンタルもあるので、興味があれば手ぶらでイカ釣りに挑戦することもできる。
沖のイカ釣りはオモリを投入する独特な一連の動作などからビギナーからはかなり敷居が高いベテラン向けの釣りに思われているかもしれない。しかし、実際にやってみると、特にヤリイカでは「静と動」でいえば「静」が大事な繊細な釣りで、雰囲気としては湖のワカサギ釣りに近い釣趣といえるかもしれない。難しそうに見える投入器の扱いも、手順を教われば数回でマスターできるだろう。
船長の合図とともに一斉に仕掛けを投入する。イカは移動が早いため素早く落とすことが大事で、仕掛けのオマツリを防ぐために真下ではなく沖にキャストする
ツノ数の多い仕掛けも完成仕掛けが充実しているのでスナップ接続だけでOK。スルメイカ釣りでは扱いに慣れが必要な直結仕掛けが主流になりつつあるが、ヤリイカでは誰もが扱いやすいブランコ仕掛けでよくツノ数も5~7本なのでトラブルも少ない。
「市販の完成仕掛けが簡単です」。ピッカピカ針5 のイカ釣プロサビキ11cmヅノの5 本仕掛けまたは7本仕掛けがおすすめとのこと
釣れるのはほとんど底が中心のためタナで迷うことがない。着底したら底立ちを取り、斜め45度前後の見やすい
角度でサオ先を止める。イカが乗っていない状態での穂先の曲がりやモタレぐあいを覚えたら、指示ダナまでシャクリと止めを繰り返しながら目感度でイカの乗りを見極める。乗ったと思ったら、電動巻き上げを開始するが、ヤリイカは身切れしやすいため、中速でゆっくりと巻き上げる。良型が2ハイ、3バイと乗っていれば抵抗も大きいため、サオ先はグイグイと引き込まれるが、秋の小振りの1点掛けは海面に浮上するまで確信が持てるほどの抵抗はない。それでも焦らずゆっくりと中速で巻き上げ、白い姿が確認できたときの安堵感はこの釣りならではだ。
また、なんといっても味のよさが最大の魅力だ。ここも引き味はないに等しいのに人気のワカサギ釣りとの共通点かもしれない。多くのイカ類の中でも味のよさでは最上級とされる低水温期のヤリイカだが、釣ってすぐにクーラーボックスにしまった鮮度抜群のヤリイカは柔らかいだけではなく適度に身に張りがあって抜群に旨い。
YouTube ではyaccoさんが出演する解説動画も確認できます
諦めない姿勢がドラマを生む
今年も例年どおりお盆明けにはスタートした相模湾のヤリイカだが、11月上旬現在、近況は可もなく不可もなくといった感じで、二桁釣果を目指して終日頑張るものの、なかなか二桁に乗せるのは簡単ではないという状況。
それはこの日も同様で、サオ頭は常連の太田さんの13バイ。yaccoさんも早めに大台に乗せたところで泳がせ釣りに切り替えた。
サオ頭になった太田利明さんはイカ釣りが好きすぎて船宿の近所に越してきたと言う
この日はイカをエサにした泳がせ釣りが好調で、朝からミヨシでこの釣りに専念していた高坂さんはマダイ3尾にオニカサゴまでヒットさせていた。
「この時期のマダイは本当にイカが大好きですからね~。ただし、泳がせ釣りをする際は船長さんにやりたいと伝えて、そういう釣り座を用意してもらって、みんなと仕掛けが絡まないように注意しながら楽しみましょう」
しかし、後半はイカの乗りはよくなったもののマダイの食いが止まってしまい、気づけば「はい、次の流しで終わります」と無情のアナウンスが。
ところが「私、ラスト一投で釣れることが多いのよ(笑)」と言うやいなや自身で監修したピンクのデコレーションロッドがギュンと突き刺さる
まさに有終の美。真っ赤なサロペットを履いて、深紅の見事な美形マダイを掲げたyaccoさんの雄姿が快晴の秋空の下で映えたのだった。
この記事で着用していたサロペットとジャケット
サロペットはレッド、ネイビー、ベージュの3色。ジャケットはレッド×ベージュ、ネイビー×ホワイトの2色。サイズはともにM(適応サイズ160 ~ 170㎝)、L(170 ~ 180㎝)、LL、3L(ともに175 ~ 185㎝)の4 種類。価格はサロペット、ジャケットともに1 万7380 円(税込)
素材は表面がポリ塩化ビニール100%(PVC)、裏面がポリエステル100%のため防水、防汚機能が高く、ウェルダー縫製により縫い目からの浸水も防ぐ。フロントファスナー下にも生地と同じ防水素材の布を配置し、ボタンで内側からしっかり留めることで胸元への浸水を防ぎ、雨でもストレスなく釣りができる
ジャケット右胸には水返しフラップ付のポケットを配置。水抜き穴もあり、濡れた道具を入れても安心の構造
深めのフードと水返しのツバで、雨が降っても顔や額が濡れにくい。スナップボタンが付いているので、雨が降っていないときにはツバを閉じることも可能
フロント下部はセパレートになって、より動きやすさがアップしている
サロペットのサイドにはウエスト部分を調整できる2 段階のマチがついており、好みのシルエットで着用が可能。座ったり屈んだりする際にボタンを緩めるとゆとりを確保することができ、重ね着にも対応する
※このページは『つり人2024年1月号』を再編集したものです。