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編集部2024年3月6日

山梨県/桂川水系 解禁早期の河川をテンポよく攻略するコツは?

ニジマス 全国おすすめ釣り場 山梨

山梨県北杜市のルアーメーカー・フィールドハンターの小林久さんにとって首都圏屈指のハイプレッシャー河川である桂川は通い慣れたフィールドだ。解禁から日が浅いシーズン前半の人気河川をこだわりのスプーンで釣り歩いた。

山梨県北杜市のルアーメーカー・フィールドハンターの小林久さんにとって首都圏屈指のハイプレッシャー河川である桂川は通い慣れたフィールドだ。解禁から日が浅いシーズン前半の人気河川をこだわりのスプーンで釣り歩いた。

写真と文◎編集部

放流は多くても激戦区な人気河川

放流は多くても激戦区な人気河川

東京からも日帰り圏内で、3月の解禁から釣り人の姿が絶えない山梨県の桂川水系。その上流域を管轄している都留漁協は、毎月、ヤマメ、イワナ、ニジマスを合わせて約9000~1万3000尾という安定した放流を行なっている。同時に支流を含めた川の大半は、富士吉田市、西桂町、都留市の市街地を流れており、エサ、ルアー、フライと各ジャンルのアングラーが入れ替わりサオをだしているためフィッシングプレッシャーが高い。

そしてもうひとつ、この川の特徴になっているのが流れの押しの強さだ。桂川の水源は富士五湖の1つの山中湖だが、それ以外にも富士山周辺の湧水があちこちから湧き出し川に注ぎ込んでいる。その際、一帯は岩盤が多く変化の少ない川底を急に下る形になるため、総じて水勢が強い。穏やかな場所が少なく、市街地ならではの護岸エリアも多いため、一筋縄ではいかないフィールドになっている。

 

 

シーズン前半にスプーンを使う理由

シーズン前半にスプーンを使う理由

小林さんが桂川の都留漁協管内にやって来たのは2023年の4月。小林さんの経験では、特に桂川の中流から上流にかけては、早巻きやアップの釣りは釣果が落ちやすいという。基本はスローリトリーブで通し、なかでも初期はその中にスローなポーズも入れて魚に食いつく間を与える。その際のアプローチはじっくり探れるダウンがよく、というよりも実際に川に降りてみると、川自体がダウンでないと釣りがしにくい場所が非常に多い。ルアーはスプーンが使いやすい。ミノーは根掛かるとポイントを荒らしやすいのに対し、スプーンは下流にラインを送ってから、ロッドを2、3回あおればほぼ回収できる。「強く引っ張ってしまわないのが最大のコツ」と小林さん。それにより解禁からのプレッシャーでスレている魚を効率よくねらうことができる。その後、水温が上昇し魚の活性が高まるシーズン中盤になれば、ミノーをテンポよくトゥイッチするアプローチも有効という。

 

 

野生化したニジマスをねらうアクション

野生化したニジマスをねらうアクション

この日は、本流の釣果がぱっとしない状況が続いているとのことで支流を釣り歩く。最上流の主な支流である宮川から釣り始めた。護岸も多く場所によっては川幅もかなり狭いため、他の地域であれば「ここに魚がいるのか?」と思わず疑ってしまうような場所も少なくないのだが、水中にはバイカモがたなびいていて、豊富な湧水で水温が安定していることがわかる。この環境が特にニジマスには合うようで一帯は野生化した個体がよく釣れる。簡単に出会えるわけではないが、50cm、60cmというサイズが釣れることも珍しくない。

小林さんはその流れを自身が開発したスプーンでテンポよく探っていく。1つは強い瀬でも飛び出さず、きっちり泳ぐスプーンとして開発した「デベロップシェル」。

 

フィールドハンターの定番スプーンであるデベロップシェル。

押しの強い流れにもなじみ輝きで誘う瀬釣りのオールラウンダー

フィールドハンターの定番スプーンであるデベロップシェル。押しの強い流れにもなじみ輝きで誘う瀬釣りのオールラウンダー

 

もう1つはスローリトリーブでも切れのあるウォブンロールアクションを発揮する「ルアーマン701シェル」だ。重さはどちらも7gをチョイス。モデル名にある「シェル」は、ダイヤカットした天然アワビをふんだんに張ったモデルであることを意味していて、「自然素材の艶めかしい輝きは、やはりトラウトを刺激できると感じます。コートの強度にもこだわっているので、ミスキャストで岩や岩盤にぶつけてしまっても簡単には壊れません」という自信作だ。

 

深みをじっくり探れるルアーマン(写真はルアーマン701 シェル)。

スローリトリーブでも切れのよいウォブリングをする

深みをじっくり探れるルアーマン(写真はルアーマン701 シェル)。スローリトリーブでも切れのよいウォブリングをする

 

使い方はデベロップシェルであれば、前述のようにスローリトリーブを基本にしつつ、ルアーが着水したらチョンチョンとロッドティップでコンパクトに2回ほどあおり、その後は必ず止めを入れて食わせの間を作るというアクションを回収まで継続する。ミノーのトゥイッチングほどのアクションの大きさではないが、スプーンでも瞬間的なヒラを打たせることでよりきらめきが生きるのだろう。ルアーマンのほうは、ロッドティップをしっかり下げ(水中に入れことも多い)、深みの流れの下をじっくり引き上げてくる場面が多かった。

 

 

100mの護岸が続く区間の中段でヒット

100mの護岸が続く区間の中段でヒット

宮川では20cm台のニジマスが数尾ヒットした。ただ、広範囲をラン&ガンしているわりにはチェイスしてくる魚の影が少ない。本流との合流点前後の大場所も気配は薄く、「ワンチャンスを期待したのですが、今日は厳しかったかな」(笑)と小林さん。宮川を探りきったところで、もうひとつの支流を探ってみることにする。

次に訪れたのは柄杓流川。釣り人には昔から「ひしゃくながし」と呼ばれるが、山梨県が正式に採用している読み方は「しゃくながれ」となっている川だ。都留漁協のHPでも本流のほかの主な放流箇所になっているが、その分、特に下流部は解禁直後からエサ釣りなどで入る人が多く、この日は穴場的な上流部に入った。両岸が護岸で水路のような区間も多く、お世辞にも釣りやすいといえる流れではないが、逆に野生化したニジマスの一発の可能性にかける。

するとしばらく魚の気配がないまま、ストレートな護岸が100mほど続く場所の中段に差し掛かった時、速く重い流れの下でアクションを入れたデベロップシェルが久しぶりに押さえ込まれた。無事に取り込んだのは肌のきめが細かい筋肉質のニジマス。丸セイゴバリを使った自作のシングルアシストフックをがっちりくわえていた。その後、区切りのよい取水ポイントまで釣り下ったところで川から上がりこの日は納竿。シーズン中はちょくちょく足を運び、その日の釣りを無理なく楽しむのがいつもの桂川スタイルだ。

「最近はワンシーズン、スプーンだけで釣ることも多いですよ」と小林さん。ミノー全盛の今だからこそ、そこから少し外すことができ、なおかつ汎用性の高いスプーンは、魚に対して効果的に使える。また、じっくりと流れをさぐるような釣りのテンポを好む使い手にもマッチしていると感じた。フィールドを問わず、シンプルな形状と構造の定番ルアーを、あらためて使いこなしてみてはいかがだろう?

 

これからまだまだ大きくなりそうなコンディションのよいニジマスだった

これからまだまだ大きくなりそうなコンディションのよいニジマスだった

 

 

※このページは『つり人2024年3月号』を再編集したものです。

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