黒潮の影響を受けないことに加えて木曽三川から大量の雪代が流れ込むため、外洋に面したエリアに比べて水温の上昇が遅い伊勢湾奥。だが、4月に入ると各フィールドでクロダイの荒食いが始まる。
好みのスタイルで楽しめる知多半島の沖に浮かぶ離島
伊藤 巧◎レポート
レポーター=伊藤 巧
昭和44年生まれ。愛知県在住。ちょいと前までイカ釣り専門誌の編集記者。釣りなら何でもござれ。クロダイなら前打ちとイカダ釣りが大好き。下手釣り集団チーム白馬車所属
この記事は『つり人』2016年6月号に掲載したものを再編集しています。
黒潮の影響を受けないことに加えて木曽三川から大量の雪代が流れ込むため、外洋に面したエリアに比べて水温の上昇が遅い伊勢湾奥。だが、4月に入ると各フィールドでクロダイの荒食いが始まる。知多半島の浅場で越冬した居着きが常滑市の榎戸漁港や常滑港で口を使い始めて徐々に前線が南下。4月下旬には三河三島でも開幕。乗っ込みは5月の大型連休前後にピークを迎えて朗報が飛び交う。
そんな数ある実績場の中でも特に南知多町の篠島は有望だ。北部を占める港湾エリアや南一帯に広がる磯場、東西に点在するサーフなど、釣り場のバリエーションに富み、自分好みのスタイルでクロダイねらいが楽しめる。
4月の港湾部は潮の流れが緩い場所に釣り座を構え、高感度の棒ウキを用いるダンゴ釣り「紀州釣り」が有効だ。秘訣はダンゴに混ぜるオキアミの量を抑えつつ、原形をとどめないよう細かく砕くこと。春は個体数が少ないので、なるべく寄せエサを拾わせないよう臭いで誘うイメージだ。釣り場は篠島漁港の南新堤が鉄板。沖向き全面に三角テトラが投入された沖堤ならば「ウキフカセ釣り」も面白い。全体的に浅いのでクロダイをねらいながらも寄せエサはやや軽めに仕上げるとよい。
そして、南に広がる磯場では岩ガニを使う「前打ち」が有効。牛取エリアでは3月より居着きが口を使う。こちらは船の発着所からアクセスが悪い上に起伏の激しい岩場とあってサオ抜けしている。足もとから5mほど水深のあるエリアもあり、春にして複数釣果が期待できる。前方に点在する沈み根をねらいながら、足もともヘチ釣りの要領で探る。各サーフは夜限定だが、クロダイ用ラバージグをキャストすると40㎝超が果敢にアタックしてくる。ブッコミ釣りも一発大ものがねらえる。なお、篠島は起点となる篠島漁港に観光客を迎え入れる島の駅シノジマが新設され、釣行がより快適になった。ぜひ春の大ものシーズンを堪能していただきたい。
交通●南知多町師崎港もしくは美浜町河和港より名鉄海上観光船を利用して篠島へ。沖堤へは海上タクシーを利用
問合先●美浜海倶楽部(℡0569・82・5805)、名鉄海上観光船(℡0569・63・2035)、海上タクシー康洋(℡0569・67・2853)
2017/4/25