本州の方が北海道の釣りをイメージする時、釧路湿原のトラウトフィッシングを頭にうかべる方が少なくないのではないだろうか。今も昔も同湿原には原始の自然が色濃く残っており、北海道らしい風景のなかで釣りを楽しめる。湿原河川にはイトウももちろん生息しているが、釣りのターゲットとしてより身近なのはアメマスだ。
真冬も楽しめる不凍の湿原河川
レポート◎小林 亮
この記事は『つり人』2020年2月号に掲載したものを再編集しています。北海道らしい風景
本州の方が北海道の釣りをイメージする時、釧路湿原のトラウトフィッシングを頭にうかべる方が少なくないのではないだろうか。おそらく、その理由としては釣りキチ三平のイトウ釣り編の舞台になっていることが大きいと推測できるが、今も昔も同湿原には原始の自然が色濃く残っており、北海道らしい風景のなかで釣りを楽しめる。写真は湿原エリアでは上流域になる標茶の塘路周辺。ロケーションは最高!
釧路湿原は国立公園に指定されている。なお、釧路川右岸側は特別保護地区に定められている場所が多く、左岸側が主な釣り場になる
湿原河川にはイトウももちろん生息しているが、釣りのターゲットとしてより身近なのはアメマスだ。「釧路川は結氷しないので厳寒期も楽しめます。アメマスは魚影が濃く、それに加えて湿原エリアは水深があるのでポイントだらけ。どこからでもルアーにアタックしてきそうで、常に期待感をもってキャストできるのがいいです。近年は以前より簡単には釣れなくなりましたが、それでも状況がよければ20尾、30尾程度の数釣りができ、サイズも最大80cmクラスが出ます。アメマスはいろいろなタイプのルアーに反応するので、攻略の仕方をたくさん考えられるのも面白いです」とは釧路市のショップ、ランカーズクシロ・スタッフの佐々木大さん。
スミス『D-コンタクト85』をおそったのは55cmのグッドファイター
足場の高い場所からアプローチするポイントが少なくないが、大ものが掛かったときのことを想定し、下りられる場所があるか意識しておきたい
運がよければタンチョウも拝める。冬は給餌されるので飛来が増える
川岸を歩いていると、人よりもエゾシカに会うことのほうが多い
タテ? ヨコ?
タックルはベイトとスピニングどちらも使われているが、前者を愛用するアングラーの比率がほかのジャンルのトラウトフィッシングより高い。湿原河川の場合、足場の高い場所からアプローチする機会が多く、ヒットしたのが小~中型魚なら抜きあげて取り込むほうが効率的。また、障害物周りを探ることも多いので、太いナイロンラインと相性のよいリールが好まれるのだ。魚はどんな場所に潜んでいるのだろうか? 「底が見えるような浅い場所にはほぼいません。カケアガリ周辺、カバー裏の緩流帯、深みを探っていきます。釧路川は真ん中が浅く、岸近くに流心が2本走っている場所が多いので、対岸際に遠投するのも効果的です。でも、この釣りを20年くらいしていますが、ここにはいるでしょ!というポイントで肩透かしをくらうことも多々あり、こんな場所で!? というスポットで連発したりもするので、正直なところ、まだよく分からないです(笑)」
ルアーはスプーン、ディープミノー、ヘビーシンキングミノー、バイブレーションなどがポピュラー。ジグ、クランクベイトなども使われている。いずれも操作面で大切なのは、「根掛かりを恐れずに底近くをきっちり探ることです。ただ、以前はタテの動きに反応がよい傾向があったのですが、近年は単純にドンと速く沈めてもなかなか食ってきてくれなくなりました。重いほうがねらった場所に沈めやすいですが、軽めのウエイトでゆっくりフォールさせたり、ドリフトさせたり、横の動きも試したほうがいいですね」。
タックルはベイトとスピニング、どちらでもOK。ロッドは取り回しを考慮すると6フィート台が扱いやすい
ルアーは10~18gのスプーン、ディープミノー、ヘビーシンキングミノー、バイブレーションなどが多用されている
流木などの障害物とカケアガリの絡むスポットは特に有望。正確なキャスティング、ねらった場所でアピールするルアー操作が求められる
ラバーソールのウエーディングシューズ
フエルト底だと雪が付きやすく、下駄のようになって歩きにくくなる。また、枯れ草や倒木に対するグリップもラバーソールのほうがよいだろう。
ランカーズクシロ
住所=北海道釧路市昭和南4丁目24-14 営業時間=9時30分~22時 問合先=TEL0154・55・2288