春の空気をお腹いっぱい吸い込んで、通い慣れた土手道をゆっくりと走る。陽光を浴びた北浦の湖面は、キラキラと輝いて美しい。今年も、こんな季節を迎えられた喜びは、私を穏やかな釣りに導く。
春うららかな陽気は静かに小もの釣り
若林隆生◎レポート
月刊つり人の精鋭ライターが自信をもってオススメする厳選釣り場レポーター=若林隆生
昭和23年生まれ。茨城県鹿嶋市在住。会社経営を経て北浦に趣味の釣具店、あすかを出店。現在はネットショップ、江戸釣趣・明日叶を経営。タナゴ、フナ、アユ、フライなどの釣りを得意とする。江戸たなご悠遊会、テンフライズ・元会長
この記事は『つり人』2016年6月号に掲載したものを再編集しています。
志崎排水樋門のホソは石の鳥居が目印だ
春の空気をお腹いっぱい吸い込んで、通い慣れた土手道をゆっくりと走る。陽光を浴びた北浦の湖面は、キラキラと輝いて美しい。今年も、こんな季節を迎えられた喜びは、私を穏やかな釣りに導く。この時期、乗っ込みの尺ブナをねらうのもよいが、小もの釣りで童心に戻って楽しむのもまたよし。目的が定まらないまま北浦左岸の土手道を行くと、小さな石の鳥居が目に入った。
沼里川河口から200mほど下がった志崎第一排水樋門のホソである。機場の側に立つ鳥居は、かつてマタナゴのポイントとして密かに楽しんだ場所であったが、今は幻。久しくご無沙汰の場所だ。小魚ぐらいは釣れるだろうという軽い気持ちで車を停めた。石の祠に挨拶して釣り座を構える。サオは5本継90㎝の軟調子の竹ザオ。タナゴ仕掛けをセットして実釣開始。
いつものように、バラケ度合の強いグルテンでエサ打ち。10分ぐらいしたらアタリが出始め、粘りを強くしたグルテンに変える。5㎝ほどのマブナが入れ食いになったがバラシも多く、手研ぎ最小のハリから普通サイズの新半月に付け替えるとバラシはなくなった。
それにしても釣れるのは5㎝ぐらいのマブナがほとんど。たまにモロコやクチボソが混ざるが一割程度。小さな水桶は50尾も入れると酸欠状態になるので、少し離れた場所に放流。また、すぐ水桶が一杯になったので納竿。時間にして2時間弱の小もの釣りであった。釣っている間、誰も通り過ぎない静けさは、穏やかな春の半日を過ごすには贅沢すぎるほど充分であった。
ゴールデンウイークにお子さんと釣りを楽しむのにも絶好のポイントだ。サオは1mぐらいに、仕掛けは市販のタナゴ仕掛けでOK。エサはアタリが取りやすいアカムシがおすすめ。コツはハリスの長さを5㎝ぐらいにし、寄せエサのグルテンと併用すれば退屈しない釣りになるだろう。
交通●東関東自動車道・潮来ICで下り新神宮橋を渡ったら湖岸道路を鉾田方面へ北上。20分ほど進むと左に北浦大橋が見えるが直進。約1km先の武井川を左折して土手道に出る。そのまま北上すると志崎ドックが見え、すぐ先が石の鳥居。潮来ICから25分ぐらい
問合先●明日叶(℡0291・32・9322)
2017/4/25