冬の出産を終えたメバルたちは失った体力を取り戻すため、冬の出産を終えたメバルたちは失った体力を取り戻すため、この時期に偏食するのがアミやプランクトン類だ。春のメバリングで釣果をあげるにはマイクロベイトに合わせた小さなワームを使いこなすことが求められる。ライトゲームアングラーの岩崎林太郎さんにワームを使ったメバリングについて解説してもらった。この時期に偏食するのがアミやプランクトン類だ。春のメバリングで釣果をあげるにはマイクロベイトに合わせた小さなワームを使いこなすことが求められる。ライトゲームアングラーの岩崎林太郎さんにワームを使ったメバリングについて解説してもらった。
ライトゲームアングラーの岩崎林太郎さんにワームを使ったメバリングについて解説してもらった。
写真と文◎髙木翔太
メバルの武器は大きな目
3月上旬、大分県津久見市の浦代港切波止に渡ったのは岩崎林太郎さん。大分県出身で幼少の頃から臼杵湾で釣りを楽しんできた。メバルを中心としたライトゲームを得意とし、一晩で尺超えメバルを86尾も釣りあげたことも。長年メバルをねらってきた結果、今ではメバルの気持ちが手に取るように分かってしまうという。この日渡してくれた渡船屋IGマリンの船長、猪熊博之さんによると、この堤防は何日か前にもメバルねらいで釣り人が入っていたが、よい釣果には恵まれなかったそう。
「確かにいつもと比べてメバルが浮いていませんね……。でもメバルは必ずいるのでなんとか引き出してみせます!」
朝マヅメ最初に使用するワームはアジ爆ワーム1.8インチ、カラーはりんたこいちごみるく。合わせるジグヘッドがメバリー速掛けジグヘッドの1.3gだ。
「この時間帯は光量が少ないためメバルが気付きやすいサイズとカラーを優先して使用します。アミパターンの時期だからといって必ずしも小型のワームがすべてというわけではないのです」
メバルが浮いていない状況から、まずは付き場を捜すために堤防を観察することに。岸壁には海藻が繁茂している。この時期メバルが偏食しているアミやプランクトンは遊泳力が低く、海中を漂いながら生活している。そんなアミたちにとって格好の隠れ家が岸壁の海藻だ。そのため岸壁に海藻が生えているポイントにはアミをねらうメバルも多く潜んでいる。海藻の中に潜むメバルをねらいワームを投入していくが、なかなか誘い出すことができない。
岸壁に生えた海藻は漂ってきたアミが溜まる絶好の場所。このような藻が生えているポイントには多くのメバルが潜んでいる。また、ゴールデンウイークの前後にはこのような海藻が抜け落ち、拠り所をなくしたアミが周辺に漂う。メバルの活性があがるタイミングなのでぜひねらってみてほしい
次は開けた場所にある人工物をねらう。ロープで岸に固定されたブイの側を引いてくるとアカメバルがヒットした。メバルは一定速度で巻いているワームの後ろを、距離を保ちながら付いて来る。岩崎さんいわく、動いているワームをメバル特有の大きな目で見定めているという。
「メバルがワームを追っているときに気にしているのが、シルエットと速度とレンジの3つです。これらが合っていないと見切られてしまいます。特に速度とレンジはどんな状況でもなるべく一定を保つようにしてください。大きなメバルが追ってきているときでも焦らず、平常心を保つのがコツです」
障害物についていたアカメバル。アミパターンの時期でもいつもどおりのワームで釣れる個体もいる。さまざまな手を試すことが釣果をあげるポイント
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観察が釣果を生み出す
海中のようすを観察する岩崎さんがクロメバルを発見した。が、これは「釣れないなぁ」とつぶやく。
「このクロメバルはフラフラといろんな方向へ彷徨っているからです。釣れるクロメバルは一定の方向に頭を向けてその場に定位しているのです。そしてそれは潮が利いているということを意味しています」
クロメバルによらず多くの魚は正の走流性を有している。これは流れに対して頭を向けて逆らうように泳ぐというものだ。潮が利いている状況では流れが基準となりエサが流れてくる方向へ頭を向けて待つことができる。しかし潮が利いていないと魚たちもどちらを向けばよいか分からず、フラフラと彷徨うように泳ぐのだろう。
「このようにフラフラとしているクロメバルをねらう場合はワームを遠くに落とし、メバルのいるレンジまで沈めます。その後レンジを保ちながらゆっくりとリトリーブしてメバルのいる位置までワームを誘導します。とにかく自然に見せることが大切。ぼく、たまたま泳いできましたよ~という感じでアプローチしてください。いきなりメバルの近くにワームを落とすのは厳禁です」
そう説明しているとねらいのクロメバルが食いついた。デイゲームの面白さはメバルの行動をよく観察できる点にあるという。
「今までたくさんのメバルを釣ってきましたが、未だに新しい発見があります。もう知り尽くしたと思っているメバルの新しい一面を知れることが何より嬉しい。デイゲームでは魚の動き、海中の環境がよく分かります。メバルをよく観察し、気持ちがわかるようになってくると釣りがますます楽しくなってきますよ!」
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水面ギリギリでも気は抜けない
日が昇り、アジ爆ワーム1.8インチへの反応が悪くなり始めた頃、岩崎さんが取り出したのはアーミーベイト0.9インチ。それに合わせるジグヘッドはアジメバアーミーの0.4gだ。
アミパターンに特化したアーミーベイト 0.9 インチ(ヤリエ)。今回使用したカラーはシラスグロー赤ラメ。この他、岩崎さんのおすすめはデイゲームでとにかく視認性の高いスターダストオレンジ。この写真にないホワイトソリッドを含め全9 カラーの展開
アーミーベイト 0.9インチにジャストフィットするジグヘッドのアジメバアーミージグヘッド(ヤリエ)。ラインナップは0. 2、 0. 4、0.6g でそれぞれにフックサイズ#10 と#14 が用意されている。「無風でかつ足もとをねらう場合は0.2g。0.4g を使用していて飛距離が必要と判断した場合には0.6g という使い分けです」
1.3 グラム・1.8 インチと0.4 グラム・0.9インチの比較。これだけサイズも重さも小さいと、力を入れずに捕食することが可能だということがわかるだろう。ただし、その分アタリが小さくなるので注意。小さなアタリを拾うのもアミパターンの醍醐味だ
「この組み合わせはこの時期、僕にとってのリーサルウェポン。これ以外では反応しない魚がいるのでアミパターンの時には必携です」
岸壁際に投入し魚の反応を見てみると、先程まで見向きもしなかったメバルがワームをじっと見つめていた。そこで岩崎さんはワームを一度底まで落とし、2秒でハンドル1回転ほどのペースでゆっくりと巻き上げる。すると底から上がってきたワームに気が付いたメバルがその後を追ってきた。しかし水面下30cmくらいで別の方向へ泳いで行ってしまった。(見切られちゃったか……)と心の中で呟く記者に、「これ水面で来ますね」と岩崎さん。直後ワームめがけてひったくるようなバイトが。一度姿を消したメバルが急反転し水面直下でバイトしてきたのだ。
「メバルは下から上に動いているワームにもよく反応します。また、海からあがったワームに対してジャンプしてバイトすることすらあります。ピックアップ時にも決して気を抜かず、一定の速度で巻き続けてください」
岩崎さんは水面にわざとイトフケを作りその動きを見て着底やアタリを取っていた。風がある場合でも安定してフォールのアタリを拾うことができる
岩崎さんは水面にわざとイトフケを作りその動きを見て着底やアタリを取っていた。風がある場合でも安定してフォールのアタリを拾うことができる
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最大のチャンスは捕食直後
アーミーベイトに変えてからメバルがよく反応を示すようになったがそれらはすべてアカメバル。見えているクロメバルは先程同様フラフラ~とあてもなく泳ぎ回っている。まだ潮が利いていないようだ。
「本当に釣りたい魚にはあまりワームを見せないようにしてください。無駄に警戒心を与えててしまうと時合が来ても釣ることはできません。海をよく見て、タイミングを図りましょう」
そう言ってしばらく海中を観察することに。少し前までバラバラの方向に頭を向けていたアジたちが同じ方を向いて泳いでいる。
「アジのいるレンジでは潮が効いてきているのかもしれません」
目的のクロメバルに目を移すと、相変わらずフラフラと泳いでいる。潮が利くのを待つ間、しばらく観察していると、泳いでいるクロメバルが口を小さく開けた。それを見た岩崎さんはすかさずメバルの顔から1mほど離した場所にワームを投入。ゆっくりとメバルめがけてリトリーブする。顔の前まで近づくと、口を小さく開けワームを咥えた。
「実際にアミがいて、それを食べている状況では流れが利いていなくとも釣ることが可能です。小さく開けた口へも難なく滑り込める、アーミーベイトがあってこそ釣れた魚でした」
ライズがあるけど見向きもしない、1.5や1インチといった小さなワームを使っても食ってこない。アミパターンではよくある状況だ。そんな状況を打破する力を持つのがアーミーベイト 0.9インチとアジメバアーミーの組み合わせ。なかなか口を使わない魚でも、状をじっくり観察し適切にワームを選ぶことで可能性はグッと高まる。アミパターン攻略の一手としてぜひ活用していただきたい。
アミ以外にも写真のようなヨコエビや小さいプランクトンも食べている
※このページは『つり人 2024年5月号』を再編集したものです。