特集テーマである「濁り」は釣りにどう影響するのか。 その好例を並木敏成さんに見せてもらったことがある。
写真と文◎編集部
この記事はBasser2019年9月号に掲載したものを再編集しています。
濁りの日米格差
2013年3月、当時の月刊Basser誌連載「Chase!」のアメリカ編で並木敏成さんが選んだ釣り場がレイク・マーレイ(サウスキャロライナ州)だった。
マーレイはトーナメントレイクとしてもメジャーな釣り場で、面積は霞ヶ浦と同程度ながら湖岸線は800kmにも及ぶ(霞ヶ浦は250km)。それはつまりマーレイが複雑に入り組んだ湖であるということだ。
マーレイはメインのサルダリバーを堰き止めて造られたリザーバーであり、そこには大小無数のクリークが流れ込む。
メインリバーも各クリークも、上流はマッディー(濁っている)で、下流へいくほどクリア(澄んでいる)になる。
「マッディー」と「クリア」、そしてふたつの中間を指す「ステイン」は、アメリカでも日本でも用いられる言葉だが、釣り用語としてのそれらに明確な線引きはない。
たとえば霞ヶ浦(茨城県)は、日本ではマッディーレイクとして語られることが多い。
が、それはあくまでも「日本のほかの釣り場と比べて水が濁り気味である」という意味だ。
アングラーやボートの影が水面にくっきり映るほど常に濁っている釣り場は日本にはひとつもないだろう。
そうなると日本の釣り場は、アメリカの基準ではすべてステイン~クリアの範疇に収まることになる。
しかし今企画「MUDDY QUEST」では、日本的感覚を基準にマッディー、ステイン、クリアと記述する。
マッディー 中・上流域のクリーク
話をレイク・マーレイに戻そう。エリアによってクリアウォーターとマッディーウォーターに明確に分かれるマーレイだが、ではエリア(水の透明度)によって並木さんの釣りが変わったのかというと、これがもうまったく別モノだった。
メインリバー上流とクリーク奥の濁った水域で活躍したのはクランクベイト(ブリッツシリーズ)とジグ(ゼロワンと同ストロング)。
濁った水域で活躍したのがブリッツシリーズ。ヒットルアーはブリッツMR、ブリッツEX-DR、ブリッツMAX。取材時は厳しかった冬を引きずっており、浅いクリークの中はまだ低調だった
マッディーなエリアではジグも多投した。使ったのはゼロワンと同ストロング
クリア メインリバー下流域
ダムサイトにほど近いクリアな水域ではブレードジグとスイムベイトがメインになった。
チャターベイトタイプは通常、ステイン気味のグラスレイクなどで本領を発揮するルアーだが、O.S.Pのブレードジグは樹脂製のブレードを搭載した特殊なタイプで、フラッシングもヘッドとの接触音もマイルドに抑えられている。
6Lb半(≒3kg)を含め多くのグッドサイズを反応させたブレードジグ+ドライブスティック4.5inのコンボ。釣れるバスのサイズでもバイト数でもスイムベイトを圧倒した
標準的なチャターベイトタイプに比べ、クリアウォーターにも強いタイプといえるだろう。
同じ湖の同じタイミングなのに釣りがこれだけ違ってくる。その大きな要因が水の透明度の違いであり、特集テーマの濁りなのである。
湖畔のショップで薦められたスイムベイト。当時のマーレイで定番化していた
次回MUDDY QUESTは8/14(土)公開予定!