ナイトゲームが主流の大阪湾だが、時期とポイントによっては限定的にデイゲームが楽しめる。
ナイトゲームが主流の大阪湾だが、時期とポイントによっては限定的にデイゲームが楽しめる。
写真と文◎編集部
デイの釣りが成立
「大阪湾でデイゲームが成立する場所って珍しいでしょ? 今(11月上旬)は泉南エリアのどこかで釣れているよ。ポイントが限定的なのは、エサになるシラスの接岸次第っぽいね」
そう言うのは泉州エリアをホームにアジやメバルを追うベテランライトゲーマーである豊西和典さん。全国各地でアジングのデイゲームが成立する場所や時期は結構あるが、アジングが盛んな大阪湾岸だと確かにデイゲームが成立する場所とタイミングは限られている。
「大阪湾は全体的にデイで接岸してくる群れが小さいような気がする。だから釣れる場所も少ないしデイでやってる人もほとんどおらんもんね。大阪湾でデイが成立する場所に共通していることは、アジの群れが大きくて数がいることやと思う」
アジが接岸してくる条件とは、エサの豊富さや沖から入ってきやすい地形、つまり潮が入ってきやすいことによってシラスなどのエサが流入し溜まることが大きく関係しているとも考えられている。
大阪湾のシーズナルパターン
大阪湾では5~6月ごろから漁港周りで豆アジや小アジが釣れはじめ、ひと潮ごとにサイズアップしていく。港内にも溜まりデイで釣れるところもある。夏は小アジに混じり25〜27cmの中型アジの回遊があるタイミングがある。そう、群れは神出鬼没であり読めない。同様に秋口にもなるとナイトのゴロタ浜など潮通しのいいシャローで35~40cmクラスの大型が回遊してくるタイミングがある。
「港湾エリアでも中型、大型アジも回ってはくるけど、ゴロタのほうが確率は高いね。潮通しがいいし、ゴロタの場合はヨレが発生しやすい。地形変化が多くてポイントが見つけやすいから。フロートを使えば80mは飛ぶから、広範囲を探れてアジが少し沖を回遊していても届く。それでジグヘッドの0.4gを流すから、やっぱり食いがいいよね。昔は釣れなかった40cmクラスが今では普通にオカッパリから釣れるからね。こんなサイズ、普通は船で沖へ出て釣るでしょ。こんなんがタイミング次第で簡単に釣れるってアジングはすごい進化してるんやと思う」
大阪湾という関西圏からアクセスのいいエリアは常に激戦区ではあるが、ベテランの豊西さんがいうほど大阪湾のデイアジングはまだ限られた存在だ。
どれを選ぶかは使い手と状況次第
『ソルティーセンセーション』略して『ソルセン』。ハイスペックなアジングロッドとして名高いこのシリーズはアジングフリークなら知らない人はいないだろう。そんな『ソルセン』に『ネオ』が今年登場した。初代『ソルセン』の血を受け継ぎつつも見直しを加えたモデルだ。「ソルセンシリーズのハイエンドモデルである『スペリオル』は高弾性、高反発……超ビンビン超絶感度で上級者向きですが最高のアジングロッドです。ただ、感度がよすぎてそれが逆に苦手という人もいた。それをカタチにしたのが、今回の『ネオ』です。カーボンの反発力を抑えて、多くの方が使いやすいモデルになっているはずです」
と豊西さんは説明する。全9機種中、ソリッドティップ5機種にチューブラーティップ4機種というラインナップはさまざまな状況に対応可能だ。
「チューブラータイプのモデルは重めのジグヘッドやメタルジグ、そしてフロートやキャロで。ソリッドタイプはジグ単がメイン。僕は60や63ならジグ単やメタルジグの2.5gとか。調子としては同じソリッドでも60はパリッとしてて、63のほうが若干マイルド。70は割とピリッとしてて77は硬めですね」
ここまでアジングの人気が継続しているのには、釣れる確率が高いこともそうだがゲーム性が高く奥が深いところにも理由がある。こだわりを持つアジングファンも少なくない。だからこそ、ロッドも細分化する必要があったと話す。
ジグヘッド単体はNEOS-60XUL-S(ソリッド)にステラ1000 番。ラインはエステル0.3号にリーダーは3Lbを60cm。ジグヘッドは0.6gギムレット(エバーグリーン)1.5〜2.5in。「豆アジでも2.5inにめっちゃ当たる時があるから、その時の状況次第やね」
メタルジグにはNEOS-70L-S(ソリッド)にヴァンキッシュ1000番。PE0.2~0.3号にリーダーは4Lbを60cm。メタルジグはチャムジグ2.5g、5g、7g(エバーグリーン)。「センターバランスでヒラヒラしないおとなしい控えめなアクションが特徴。だから、ジャークしても飛びすぎずコンパクトにナチュラルに誘えるのが特徴ですね」
フロートリグはNEOS-84MH-T(チューブラー)にステラ2500 番の組み合わせ。ラインはPE0.5号にリーダー8Lb(フロートを浮かすときは1ヒロ強、沈める時は1m)。ジグヘッドは0.4gに2in、2.5inのギムレットを組み合わせる
専用ロッドだから情報量が多く面白い
長年、アジングをしてきた豊西さんだが、まだアジング未体験のアングラーによくいわれることがあるようだ。
「アジングをやっていない方からするとアジングロッドは軽いし強度的に弱いイメージがあるみたいですね。だから、フロート使うなら、わざわざアジング専用ロッドじゃなくてもシーバスロッドやエギングロッドでいいやんって言われる。でも、実際にシーバスやエギングロッドでやると大雑把な釣りになってしまう。アジの細かいアタリや0.4gのジグヘッドを流し込む時の潮の加減とかがわからない。やっぱり専用ロッドを使うと、手にとるようにそれらが伝わってくる。情報がバンバン伝わってくるから、むちゃくちゃ面白い。それで釣れるから、さらに面白いわけです。それで実際に使ってみてハマってる人、いっぱいいますから」
アジは回遊魚であるから常にフレッシュで、常にアタリが大胆に大きく出て釣りやすいと思っているかたもいるだろう。だが、食いが渋い、アタリが小さいというセリフをよく耳にするのは何故だろうか?
「群れが大きくて活性が高い時は、荒い食い方してきますけど、いつもそういうわけではないです。警戒している時とかでかいヤツほどアタリが小さい。小アジなんてガガーンってひったくる大きなアタリを出してくるけど、大型は絶対にそんなことしない。そっとついばむような小さなアタリを出してくる。ものすごい小さなバイト。その小さなアタリを捉えないといけないんで、状況やリグ、そして自分に合ったロッド選びが大切なわけです」
尺アジねらいは帰りのシラスに左右される
聞くと大阪湾の尺アジねらいのキーはシラスが大きく握っている感じだ。だが、面白いことにシラスは魚食性になるアジの格好のエサではあるが、共存している意識が働くケースがあるようで、一緒に生活していると捕食しないケースもあるようだ。つまり、シラスが多い=アジも高活性というわけではないのだ。これはアジに限らない話であり、ベイトがいるからといってシーバスやアオリイカなどフィッシュイーターが釣れることに繋がらないのと一緒だ。では、どういうタイミングで捕食するのか? 潮のタイミングと思いきや、そうではなかった。
「シラスの場合、透明から大きくなって白っぽく色が着くでしょ。それは一回、沖へ出て成長して戻ってくる、それを〝カエリ〟(帰り)っていうんやけど、共存してたシラスから一旦、離れてそのカエリにアジが着いたらスイッチが入る感じがしてる。だから、外洋のラインをねらえるフロートが強くなる。今年はそうなるかな……」
ゴロタ浜の沖には尺アジが泳ぐ。フロートで遠投し、潮を感じながらアプローチするとよい(写真提供:エバーグリーン)
「いつもやったら、もっと早い時間帯に釣れてるのに、今日は遅かったな」と豊西さん。大量のマイワシの群れに翻弄されたかのように、アジ不在で焦ったデイゲームであったが、午後4時を過ぎると突如としてアジの群れが回ってきた
チヌ(クロダイ)の海、大阪湾では時に50 cmクラスがジグ単へヒットすることも。NEOS-60XUL-Sでもやり取りは余裕。いいところへフッキングしていた
ジグ単で探るのが基本だが、どう攻めても反応が得られない時はメタルジグへシフト。すると、アタリが出るケースも珍しくないためデイでは常に2セット用意している
ワームはギムレット1.5in、2in、2.5inを愛用。アジのサイズではなく活性に合わせてワームサイズを変える
※このページは『つり人2024年1月号』を再編集したものです。