カレイの活性が下降気味になる水温上昇期にシーズンを迎える好ターゲットがマアジ。中層ねらいの面白さと味の良さで人気急上昇中。
中層が躍動する夏秋の仙台湾中南部
レポート◎道下 裕
カレイの活性が下降気味になる水温上昇期にシーズンを迎える好ターゲットがマアジ。中層ねらいの面白さと味の良さで人気急上昇中。この記事は『つり人』2019年9月号に掲載したものを再編集しています。
カレイの海を覚醒させたマアジ
沖釣りファンの間では、仙台湾から三陸にかけての沿海は「カレイの海」である。あえて加えるならアイナメやソイなどの根魚。それほど遊漁船も、ファンも長らくオモリで海底を叩く釣りに依存してきた。だが、ここ10年ほどで仙台湾の沖釣り事情は大きな変化を遂げた。「ポスト・カレイ」に位置づけられるマダラやヒラメ、マダイ、アジなどの釣りが定着したのである。
マアジは、その急先鋒といってよい存在。先鞭をつけたのは第一海友丸(塩釜市・まがき港)である。試行錯誤の末に80号のビシを用いるスタイルを確立し、40㎝を超えるサイズのマアジが身近にいることを強烈にアピールした。
次いで僚船の蔵王丸(名取市・閖上漁港)が「カレイ釣りのお客さんが、そのままのタックルを使って楽しめるように」と40号(仙台湾のカレイ釣りでは、40号が標準のオモリ負荷)のビシを用いたライトスタイルを提唱。その後、複数の遊漁船が釣りものとして取り入れている。今やこの釣りは夏秋のメインとして欠かせない。


なぜマアジがファンにウケたのか? 食べる楽しみを脇に置けば、「中層の釣りならではの面白さ」があるようだ。根強い人気の黒メバルやサバも中層ねらいだが、正確なタナ取りと誘いの技術、手返しの速さが釣果に直結しやすいテクニカルな要素においてマアジは別物。
加えてカレイの活性が下降気味になる水温上昇期にシーズンを迎えるタイミングも好材料。「中継ぎ」のエースは実績を重ね、早ければ5月下旬から年内を完投する主力として躍動している。


パワフルなマアジと深化する仙台湾仕様
仙台湾と三陸沿海の沖釣りをフルサポートするというコンセプトで沖釣りファンに人気のショップ、フィッシングカンパニー(仙台市)を訪れた。「まだ、シーズンの走りなので、本格的に商品が動くのはこれからですね」とスタッフは控えめだが、すでに品揃えは臨戦態勢。なかでも注目したいのは、例年品薄になるオリジナルの限定商品だ。メーカー各社の商品が数多くある中で、ご当地仕様のオリジナル・アイテムに求められるのは地域特性を加味した「強度」と「食いつきのよさ」である。
まず、仙台湾で相手となる25~40㎝超にのばされないハリ、切られにくいハリスが必要。どうしても自然な浮遊を演出する細軸軽量のハリ、いくぶん食い付きがよい細ハリスは力負けしやすい。何年か経験を重ねて落ち着いたのが、丸セイゴ系のハリと3号クラスのハリスだ。
次に、ハリに求められるのは「食い」のよさである。仙台湾のファンは空バリ(食わせエサを付けない)を好む傾向が強いので、ハリの色(発色)に対する関心が高い。これも当初は反射効果が望める平打ちのものや赤、緑、金、銀などが試されたが、ここ何年かは白緑系の夜光色を本命に据える人が多いようだ。
当地においては、まだまだ伸び代を残すマアジ釣り。そのポテンシャルを一度味わってほしい。





イチオシアイテム
オリジナル・マアジ仕掛け

ショップ
フィッシング カンパニー

住所=宮城県仙台市若林区卸町2-12-2
営業時間=9時~18時半、日曜日・祝日定休
問合先=TEL022・239・1771