清冽な渓流でも水温む夏。多くの魚は活性が低くなるのだが標高1000mを超える高原の川は別世界。元気いっぱいのヤマメやイワナが毛バリに出るし、張り出す木の下にチョーチン仕掛けでエサを送れば一発で食うことも多々あるのだ。
酪農の里近くにアマゴが棲む湧水の川
案内◎望月竜也
清冽な渓流でも水温む夏。多くの魚は活性が低くなるのだが標高1000mを超える高原の川は別世界。元気いっぱいのヤマメやイワナが毛バリに出るし、張り出す木の下にチョーチン仕掛けでエサを送れば一発で食うことも多々あるのだ。そんな真夏に熱いフィールドをエキスパートがセレクト。
この記事は『つり人』2016年9月号に掲載したものを再編集しています。
案内◎望月竜也
1970 年生まれ。山梨県南部郡在住。富士川水系をはじめ、大井川水系にも通じる。盛期は大ものを求めて本流に通うが、渓流域の釣りも大好き。芝川はホームグラウンドのひとつ
幻想的な朝靄の中でサオを振る
静岡県富士宮市にある朝霧高原は富士山西麓にある。標高600~1000m。酪農が盛んで避暑地としても人気だ。
R139沿いに車を走らせると富士山をバックにした高原が広がる。釣りを楽しめるのは少し高度の下がる猪之頭地区より下流である。湧水が豊富な芝川は「白糸の滝」が景勝地。周囲の岩盤から湧き出た水が糸を引くように滝壺に流れ込む。周辺には湧き水を利用した養鱒場も多く、猪之頭地区にある県営「富士養鱒場」では巨大なニジマスが群泳する光景が見られる。
早朝は霧に包まれることもしばしば。幻想的な風景が楽しめる
そんな高原を流れる芝川は早朝に朝靄が発生しやすい。周囲を霧に囲まれてサオを振ることが多く、幻想的なシーンに出くわすことが多々ある。夏場に好んで入渓するのは「猪の頭発電所~田貫橋」までと「田貫橋~ 西川橋」だ。県道414号の「畜産試験場西入口」バス停付近から林道に入り、発電所の入口付近に車を停める。この辺りは落差が少なく瀬と小さな落ち込みが交互に続く。どちらかといえばエサ釣りよりもテンカラのほうが釣りやすい。元気のよいアマゴは浅い流れを泳ぎ回り果敢にエサを追う。軽いオモリで流すと明確なアタリが出る。
8寸クラスのアマゴが多い
この日は魚の機嫌がよかったのか1時間ほどでこの釣果
浅いポイントが多いため大ものは期待できないが、ふっくらと太ったきれいなアマゴやニジマスが飽きない程度に顔を出す。ササニゴリの好条件に恵まれるとチャラ瀬で連発することも多々ある。今年は他の河川と同じように渇水に悩まされ魚の出足も悪いので魚のスイッチを入れる降雨が待ち遠しい。
発電所から細かなポイントを探りながら進むとほどなく「田貫橋」が架かる。橋の上流右岸から道に上がれるが戻るには川通しのほうが断然早い。上流の入渓は車の置き場所に苦労する。
橋上は水深のあるポイントも現われるが淵などの大場所はない。河畔林が迫り出しているので日中でも日差しを避けて釣りができる。しかし頭上に樹が張り出すためサオは短めを選択する。目安としては「田貫橋」の下流は6~7m、上流は5mクラスが扱いやすい。これに渇水時は0・2~0・3号のハリス、増水時には0・4号以上と使い分ける。
エサは川虫類が簡単に採れるが私はキヂをメインに使用する。前述のとおり小型も多いので、川虫とのサイズが合わないことが多い、そこで細いキヂを準備して魚のサイズに合わせて交換している。太いキヂに比べると軟らかいので喰い込みもよく釣果につながると感じる。
「田貫橋」から上流の「西川橋」までは道に出る場所がない。重機の入った跡が出てきたら周辺で引き返すとよいだろう。さらに釣り上がるなら「西川橋」まで行き、橋の左岸下流側から道に上がり県道414号を歩いて車に戻る。3㎞以上歩くので時間に余裕がなければやめよう。この付近はたびたび熊の出没があり地元の人も警戒している、熊避けの鈴は携帯して無闇な藪漕ぎは避けよう。
そばの実一閑人の店内のようす
高原のミルクランドの名物といえば、やっぱりソフトクリーム
牛乳風呂が有名な峠の茶屋
●問合先:芝川非出資漁業協(℡090・1095・7569 長谷川方)
●交通:東名高速道路・富士川スマートIC を降り、県道10 号を山梨方面へ。JR 身延線・芝川駅で富士川と合流する芝川最下流部へ。そこから県道75 号を芝川沿いに上り上流エリアへ
2017/7/25