編集部2021年7月30日

記憶に残る釣りが体験できる、初夏からの仙台湾 宮城県/亘理町 仙台湾南部「船のイワシ泳がせ五目」

カレイ ヒラメ 船の釣り 全国おすすめ釣り場

例年、仙台湾の釣りモノは梅雨の前後が端境期にあたる。着々と高まる海水温は、中秋から走り続けてきたカレイ類にとって最大の泣き所。それを心得ている遊漁船の多くが後継魚種を模索し、移行のタイミングを図る時期だ。

近年、仙台湾の南部海域で注目されているイシナギ。ヒラメねらいのゲスト的存在だが、孔明丸ではメインに据えるプランもある。

記憶に残る釣りが体験できる、初夏からの仙台湾 

東北・宮城県/亘理町 仙台湾南部「船のイワシ泳がせ五目」

レポート◎道下 裕

この記事は『つり人』2020年9月号に掲載したものを再編集しています。

カレイの次は何が釣れる!?夏の仙台湾

  

 例年、仙台湾の釣りモノは梅雨の前後が端境期にあたる。着々と高まる海水温は、中秋から走り続けてきたカレイ類にとって最大の泣き所。それを心得ている遊漁船の多くが後継魚種を模索し、移行のタイミングを図る時期だ。


gogo_ph_02_08ファーストヒットは本命イシナギ。
50cm前後のアベレージサイズながら、幸先が良い1尾に笑みがこぼれる

カレイからバトンを受け継ぐ走者はいくつか考えられるが、それぞれレギュラーポジションを獲得するための課題を抱えている。

まず、ファンの期待度と過去の実績では頭ひとつ抜けているヒラメ。仙台湾では「ヒラメの釣期はマイワシ(の流通) しだい」といわれるほど、エサに依存するところが大きい。カツオ漁用の余剰見込み分からの流用、活魚車による遊漁船向けの陸送などで必要分が賄われているが、継続的かつ安定した供給となると不安を残す。

 

gogo_ph_02_11-2船中最大、78cmのヒラメ。シーズン序盤としては及第点だが、本番のクオリティーはこれに止まらない。仙台湾には「船中三桁、最大メータークラス」の夢がある。

 

ヒラメの対抗になり得るとすれば、マアジが挙げられる。過去の取材記録を紐解くと、早い年では5月下旬からシーズンに突入し、年内を完走した実績を持つ。群れにもよるが50cmクラスの大型も交え、三桁近くの釣果を得るツワモノもいる。中層魚独特のテクニカルな要素もウケて、ヒラメとツートップを張るまでの存在になった。

 ほかに考えられるのはマダイと青もの(ジギング)。これも人気が根強い。しかし、個人的にエース格に推せないのは「キャパシティー」の問題だ。カレイやヒラメ、マアジと比べるとフォローする遊漁船、乗船できる人数が限られる。プレジャーボートでねらうファンも増えているようなので、おすすめの釣り記事として押さえる余地はあると思うのだが、もう少し受け皿がほしいところである。

 

近年勢いを見せる、夏のイシナギ釣り

2020年7月初旬、私は第7孔明丸(亘理町・荒浜漁港) の船上にいた。消去法というわけではないが、現状と過去に実績を加味すると、今期のポスト・カレイはヒラメが適任と考えたからだ。ツブ根と呼ばれる小規模な岩礁を熟知し、日頃から根周り五目が高評の孔明丸に取材をお願いしたわけである。

 

gogo_ph_02_05近年、仙台湾の南部海域で注目されているイシナギ。ヒラメねらいのゲスト的存在だが、孔明丸ではメインに据えるプランもある。

 

 この過程で(取材サイドとしてはウエルカムな) 思わぬ誤算が生じた。「この時期のヒラメはサイズが大きいが、得てして数が伸びない。それなら同じくマイワシを使った『深場五目』に同行してはどうか?本命はイシナギ、ヒラメのほか良型のアイナメやソイも交じる」と、船宿さんからのご提案。もちろん、断る理由はない。

 

 確かにここ数年、亘理沖ではヒラメ釣りのゲストとして50cm前後のイシナギが顔をみせる機会が増えた。しかし、それは船中で1尾、2尾記録されるか否かの印象。本来、この魚は深海を棲み処とし、最大2mにも達する大型種。佐々木伸朗船長の話では、すでに70cmクラスを確認しているようだが、遠浅の仙台湾にねらって釣れるほどの個体数が生息しているのか。

 

早朝4時に出港した孔明丸は1時間40分の航程を費やし、目的のスポットに到達。水深はおよそ80m、岩礁の高低差は3~5mである。

 

通常、仙台湾でヒラメをねらう場合、所要航程時間は40分~1時間程度。水深30m、深くても50mほど。マダラのジギングやスルメイカ釣り並みに移動した感覚だ。

 

「今期は浅場でも二枚潮で仕掛けをねらいどおり落としにくい。本当は100号のオモリを使いたいところですが、皆さん、対応できるタックルをお持ちではないようなので80号にしました」と船長。なるほど、見たところショートロッドと手巻きリールのライトタックルは見当たらないが、2.1m以上のロッドと小型電動リールが大半。

gogo_ph_02_04道具立ては船宿やユーザーによって好みが異なる印象。この日は深場ねらいも関係してか、やや長めのロッドと電動リールが主流だった

 

 お客さんの準備が整ったとみた船長が、根掛かりの注意を促し、仕掛け投入の合図を出す。いっせいにラインを送り出すリール。やがて着底したオモリが岩礁との干渉を避けるよう持ち上げられた。ウネリと根の高低差をロッド操作で補いながらの臨戦態勢に入る。

gogo_ph_02_06船長の合図で投じられた仕掛けが目指すは水深80m台、最大高低差5mほどの根周り(岩礁)。

 

間もなくして左舷ミヨシのロッドに重みが乗った。アイナメのそれとも違う、重く強い引き。本命のイシナギか、あるいは良型のヒラメなのか。やがて蒼い海に浮かび上がってきたのは縞模様をまとった褐色の体躯と、ピンと張った背ビレが個性的なイシナギだった。

gogo_ph_02_07独特な強い引きを繰り返し、浮上してきたイシナギ。すかさず待ち構えていた隣人がタモ網を入れる。いわゆる「仲乗り」さんが少ない、仙台湾の遊漁船では一般的なスタイル

 

結果的に、この日の孔明丸は船中17尾のイシナギをアシストしている。おそらく数釣りの対象に据えるべき魚種ではないだろう。それを想えば、アベレージ1尾以上の釣果は上出来といえるのではないか。

また、ヒラメもアピールを忘れてはいない。70cmオーバーを交えての船中6尾は、この時期とすれば及第点。そう遠くないハイシーズンに向けて、間違いなく状態が上がってくるに違いない。いずれ今後の展開が楽しみなイワシ五目である。

 

gogo_ph_02_09この日、孔明丸は船中17尾のイシナギをアシスト。今季初の「深場五目」ながら、1尾以上のアベレージは上出来といえるのではないか

gogo_ph_02_10「イワシ五目」の本命・ヒラメもアピールを忘れない。スコアこそ船中6尾ながら70cmオーバーもヒット。間近に迫るプライムシーズンを予感させた

 

gogo_ph_02_13珍しいゲスト、ウッカリカサゴ。船長の話では「たまに混じるが、このサイズは初めて」とのこと。旨い魚らしいので、数が見込めれば開拓の余地アリか

 

gogo_ph_02_12「ビール瓶」サイズの大型アイナメも参戦。岩礁や漁礁など、ポイントが限られるこの魚の釣果は船長の引き出しと経験値、駆け引きがモノをいう

 

 

 

 

gogo_ph_02_14亘理沖の根周りに精通し、ピンスポットのアプローチに定評がある孔明丸。佐々木伸朗船長は、大船長の経験値を受け継ぎながら、着実に自身のスタイルを築きつつある

 

 

ささき釣具店(孔明丸)

gogo_ph_02_SHOP住所=〒981- 1505 宮城県角田市角田字錦町37- 10 営業時間=10時~19時(火曜日定休)

問合せ先=0224・62・4070

 

 

 

 

交通●常磐自動車道・鳥の海スマートI.C. から車で約5分

遊漁船●孔明丸(亘理町・荒浜港) 乗船料=1万円(イワシ五目・エサ付き) 対象魚=ヒラメほか

予約・問合先=090-3127-5238

 

レポート◎道下 裕

昭和39年生まれ。「スポーツ(レジャー)」「教育」「雇用」などをテーマに、文筆業と写真撮影を続ける仙台市在住のクリエイター。ライフワークとする「次代への釣り文化継承」のため、他分野とのコラボレーションを模索中

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