近年「サメが映える」と言う釣り人が増えている。ジョーズに代表される狂暴なイメージの魚だが、岸にずり上げた時の達成感は他の魚にはない喜びがあるという。幼いころからサメに魅せられ、全国各地の海岸を旅するこだわりアングラーがサメ釣りの魅力と釣法を語る。前編はポイント選定などを解説。
全国各地の海岸を旅するこだわりアングラーがサメ釣りの魅力と釣法を語る。
レポート◎ペスカトーレ中西
サメ釣り指南近年「サメが映える」と言う釣り人が増えている。ジョーズに代表される狂暴なイメージの魚だが、岸にずり上げた時の達成感は他の魚にはない喜びがあるという。
この記事は月刊『つり人』2021年11月号に掲載したものを再編集しています
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サメは格好いい
サメと聞くとあなたはどんなイメージを抱くだろうか。恐ろしい? カッコいい? 可愛い? それとも……?? 世界には500種以上のサメがいるといわれており、誰もが知っているだろうジンベイザメやホオジロザメなどの巨大なサメもいれば、大きくても30cmほどにしかならないコビトザメの仲間もいる。太陽の光が届かない深海には、独特的な見た目のラブカやミツクリザメなど、さまざまなサメが棲息している。
私とサメとの出会いは幼少期の頃。水族館や魚図鑑で見たサメの姿に心を奪われたのだが、最初の印象は「怖い」という恐怖心よりも、「めちゃくちゃカッコいい」という憧れのほうが強かった。速く泳ぐことに特化したサメのボディーやヒレの形状は、まるで戦闘機みたいで男心をくすぐられたのを覚えている。そして見るだけなら水族館で充分だが、もっと近くで、できればこの手で触れてみたくなり、十数年経った現在もその気持ちは冷めることなく、むしろヒートアップ。釣りという趣味の中でサメをねらう機会が増えた。
本格的にサメを釣り始めてから全国各地の釣り仲間たちと協力してサメを追いかけることもある。目的のサメに出会えた時のうれしさは格別で、魚体を愛で、写真を撮影し終えた後に無事リリースできた時は、何ともいえない達成感を得られる。
今回は自分が趣味として続けているオカッパリからのサメ釣りについて紹介したい。サメを専門に釣ろうと思う方は少ないかもしれないが、普段行く釣り場にも「こういうサメがいるかもしれない」と少しでも興味を持っていただけたらうれしい。
ドチザメ。本州の広域で見られる底生の大人しいサメ。東京湾ではベイシャークという愛称で親しまれている。1.4m ほどになり、比較的お手軽にねらえるのでサメ釣りの入門ターゲットとしてオススメ。関東の釣り公園での釣果
ネコザメ。水族館で目にする機会も多く、その愛らしい見た目から人気も高い。底生で非常に大人しい。臼歯状の歯でサザエなどの貝類やウニ、甲殻類を嚙み砕く。筆者が最も好きなサメの一つ。冬の伊豆諸島での釣果
カスザメ。まるでエイのような不思議な見た目だがサメの仲間。底生で普段は砂の中に潜っており、魚が頭上を通過すると素早く吸い込んで捕食する。ショアからねらう場合、産卵で浅場に寄ってくるタイミングがねらい目。あまり泳ぎ回らないのでルアーでボトム付近を広く探ると出会える可能性が高い。冬の房総半島での釣果
夜のほうが釣りやすい
サメは種類によって釣りやすい時期やタイミングがある。ネコザメやドチザメなど定住性の強いサメは季節を問わずに釣れるものの、メジロザメ系やシュモクザメなどの回遊性の強いサメは夏になるとエサを求めて岸近くまで回遊する。またナヌカザメやカスザメは冬になると産卵で接岸するためショアからねらいやすくなる
昼夜関係なくねらえるサメもいるが、基本的に夜間のほうが釣れやすい。ネコザメやナヌカザメなどの底生のサメは夜間になるとより活発にエサを探し回るからだ。メジロザメ系やシュモクザメなど回遊性のサメは夜間に岸近くを回遊し、表層から中層付近を活発に泳ぐ。
潮回りは個人的にあまり関係ないと思っている。ブッコミ釣りの場合は、仕掛けが流されないようにしなくてはならないので、潮が動きにくい日をねらって釣行することが多く、潮止まりの前後がアタリも出やすい。
ポイント選定だが、水深のあるポイントが有望だ。手前から水深のある堤防だと、足もとでも充分にねらえるし、潮通しのよいポイントであればメジロザメ系やシュモクザメなどが回ってくる。サーフでサメをねらうにあたっても同じことがいえるが、サーフの場合も少し沖で深くなるブレイク付近がねらいめ。またサーフからねらう場合は潮位にも注目したい。堤防に比べ水深が浅いので、上げ潮からの潮位の高いタイミングがねらいやすいだろう。サーフからねらう場合だと、エサとなる魚を捕食しに回遊するサメがメインターゲットとなる。メジロザメ系やシュモクザメなどの回遊性のサメがねらえる可能性が高い。ルアーフィッシングではタイミングしだいでカスザメなどもねらうことができる。
オオメジロザメ。最大で4m に達するが、成魚は通常で2.5m ほど。淡水域にも侵入し、日本では沖縄の河川などで見ることができる。写真の個体は沖縄本島の河川にて。準絶滅危惧種につき、釣りあげた場合は丁寧かつ迅速にリリースしてあげたい
ガラパゴスザメ。メジロザメ属に属するサメの一種で、最大で3mクラスになると言われている。遊泳力の高い外洋性のサメで世界の温暖な海域に広く分布する。名前の由来は学名を記載するための標本個体がガラパゴス諸島にて採取されたところからきている。冬の小笠原諸島で
ナヌカザメ。底生のサメで、名前の由来は陸上でも七日間は生きていられるぐらい生命力が強いという部分からきている。外敵に襲われそうになると海水を吸い込んで体を膨らませることができる。冬の伊豆諸島にて
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