魚の居場所や入渓点を捜す自然渓流と違い、多くの魚とすぐにやり取りできる管理釣り場。初心者に釣りやすく、中上級者にとっても魚が多い分、サイトでの魚との駆け引きは非常に勉強になる。管理釣り場スタッフの経験もある井上尚之さんが、カンツリの休日を満喫するためのエッセンスを紹介。
見える魚は釣れる!管理釣り場を楽しむための超入門
文◎井上尚之 写真◎編集部
この記事は月刊つり人2019年2月号の記事を再編集しています
魚の居場所や入渓点を捜す自然渓流と違い、多くの魚とすぐにやり取りできる管理釣り場。初心者に釣りやすく、中上級者にとっても魚が多い分、サイトでの魚との駆け引きは非常に勉強になる。管理釣り場スタッフの経験もある井上尚之さんが、カンツリの休日を満喫するためのエッセンスを紹介。
井上尚之
(いのうえ・なおゆき)山梨県大月市出身。子どもの頃から毎日のようにヤマメ釣りに親しみ、激戦区桂川の大ものハンターとしても知られる
目次
ポンドでまず一尾ヒットさせるには?
ポンドで釣る時の基本的なスタンス。ロッドとラインには一定の角度を付けてアタリが出た時のクッションにし、サオ先は少し下げた状態でリールを巻く。なお、巻き始めから巻き終わりまでなるべく一定層をルアーが動くよう、ルアーが手前に寄ってくるにしたがって、サオ先の位置は若干下げて行く
まずは魚が集まっているところにスプーンをキャストし、ゆっくり一定に巻くところから始める。釣り場によって異なるが、ある程度の水深がある場合、まずは「投げてすぐ巻くを5投」。次に「2秒待ってから巻くを5投」。次に「4秒……」といったぐあいに、「2秒刻み」で沈める深さを増しながら釣りをしていくと、いきなりどこかで釣れるタナがあるはずだ。それで反応がなければルアーを交換してみよう。なお、この時にリールを巻くスピードは、子どもの頃に湯船に浸かって、「いーち。にーい。さーん」と数えた少しゆっくりめ。それで1数える間に、リールを1回転のイメージだ。多くのスプーンやミノーは、これくらいのスピードで巻いた時に自然な泳ぎ(お尻を振って一定層を泳ぐ)をするようになっている。そして、よく釣れるルアーに目星が付いてきたら、巻くスピードや沈める秒数をさらに細かく変化させると、さらなる釣果が得やすくなる。
「管理釣り場は、反応がなければとにかくまめにルアーチェンジするのがコツです」
ルアーを引く最適なスピードは、キャストの前にサオ先で水面を泳がせてみると目で確認できる。「基本的にゆっくり一定の速さで引くことで、破たんのない自然な泳ぎ方になりますよ」
ポンドで茶系のスプーンにヒットしたヤマメ。井上さんの考える基本の5 色は「ピンク(基本的にトラウトに効く色)/茶系の明と暗(芥子色等を含む。ペレットに近い)/金(放流直後の元気な魚がよく反応する色)/銀(金系で食いが渋ってきた時に有効)」だ
流れでまず一尾ヒットさせるには?
管理釣り場には、川を区切って流れのある釣り場を作っているところも多い。この時、自然渓流であれば、アップストリーム(下流から上流のポイントをねらう)のことが多いだろう。しかし、魚が多くいて、キャストも自由な角度からできる管理釣り場では、ダウンストリーム(上流から下流のポイントをねらう)を積極的に試してみるとよい。
管理釣り場の場合、流れではダウンストリームのアプローチが釣りやすい
魚は基本的に上流を向いて泳いでいる。すると、魚から見た場合、ダウンストリームで投げられたルアーは、自分の後ろから来て横を追い越して行く形になり、興味を持った時にそのまま加速するだけで一定の距離を追尾できる。逆に上流から自分に向かってくるルアーは、正面衝突のような形になるので反応しにくい。
斜め下流、対岸際にキャストして巻き始めたところでヒット!
そのためもし可能なら、管理釣り場ではねらいの魚の上流側に立って、ルアーがその魚の近くをゆっくり追い越すように操作してみよう。これができれば、管理釣り場ではポンドよりも流れの中のほうが釣れやすいし、実はダウンストリームというのは、自然の渓流でもとても有効なテクニックなのだ。ルアーはまずはクランクベイトを使ってみるのがよい。タナをしっかりコントロールできればスプーンでも釣れるが、クランクベイトは流れに強く、流れのある場所でもゆっくり一定の層を引いてトレースしやすい。
なお、流れのある場所を釣る時は、バラしてしまったり反応がなくなれば、同じ場所では粘らず、少しずつ立つ位置をずらしながらキャストを重ねていくのが釣果を伸ばすコツになる。
元気なニジマスがクランクベイトに食いついた
次回は釣れないときに気を付けるべきポイントとキャスティングのコツをご紹介します!