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編集部2024年11月1日

和歌山県/すさみ町 紀伊半島で秋イカをエギングで狙うコツ

アオリイカ 全国おすすめ釣り場 和歌山

黒潮の離岸により盛り上がりに欠ける紀伊半島のアオリイカ。だが、実際はそうでもなさそうだ。不況を打破するポイント選びの法則を、紀伊半島に精通する岡隆之さんに聞いた

黒潮の離岸により盛り上がりに欠ける紀伊半島のアオリイカ。だが、実際はそうでもなさそうだ。不況を打破するポイント選びの法則を、紀伊半島に精通する岡隆之さんに聞いた

写真と文◎編集部

“本当に”潮通しのいいところ

「昨日までは凪やったのに……結構、ウネリが入ってますね。やばいな。今日はここから南はアウトですね」

9月上旬、和歌山県南紀の江須崎の夜明け前。東風が吹きウネリでシャローは壊滅的だった。

「この時期に釣れる夏の残りイカのキロクラスを釣ろうと思ったら、ここ(江須崎)よりも南がいいですね。ここより北上すればするほどサイズは小さくなってホンマの新子しか釣れません。でも、釣りができるエリアとなると北上するしかないですね。ちょっとでもマシなサイズをねらうなら、潮通しのエエところを撃っていくしかないですね」

潮通しのいいところ……海釣りをしている人なら、この言葉はかなり聞いていることだろう。だが、ここで岡さん言うのは、“本当に”潮通しのいいところだという。どういうニュアンスの違いがあるのだろうか?

「潮通しのいいところって、皆言うじゃないですか。でも、実際にはなかなかねらえていないと思うんです。ここ7年ほど、黒潮が蛇行して紀伊半島のアオリイカってよくないでしょ。アカ系(紀伊半島の冬の名物モンスタークラスのアカイカ系アオリイカ)なんて、まったく釣れなくなったでしょ。でも、釣ってる人はホンマに潮通しのいいところで釣ってる」

黒潮の影響を色濃く受けるアオリイカの接岸状況。少し黒潮が寄るだけで、エギンガーがどっと増える。そんな時代が懐かしく感じるほど、しばらく紀伊半島は静まりかえっていた。だが、情報に頼らないマイノリティーでコアなエギンガーはあらゆるポイントへ通い込み、釣れるポイントを絞り込み釣果を出していた。しかも、普通以上に。その情報が漏れ始め、近年エギンガーが戻ってきているという状況だ。その釣れているポイントというのが、潮通しのいい、つまり超1級のポイントだという。その超1級ポイントにはイカが溜まっているというから興味深い。

「潮通しがホンマにいい超1級ポイントだけにイカが溜まっとるんです。春はデカいのがおるし、夏は残りが溜まってていい釣りができる。そして、まぁまぁ1級なポイントも普通に釣果が出せる。それ以外では、新子は釣れますけどそれ以上を求めるのは、なかなか難しくなります。その、ホンマにいい潮が流れるところを探すコツはやっぱり地形です。グーグルマップも活用しています。ズバリいうと、張り出した岬ですね」

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岬×ワンド×ブレイク

岬というポイントを聞いて、誰もが一般的だと思ったはずだ。さらに岡さんは情報を付け加える。

「岬は岬でも、より張り出している岬がいい。そして岬の先がクワガタみたいになっててワンドになっているのが理想。そのワンドは規模が大きいほどいい。そして、ブレイクが絡んでいること。でも、こういう条件が揃っていても毎回同じ場所で釣れるわけではないんです。年やシーズンによって釣れる場所は変わっていくんでね」

かなり条件が絞られていることがわかるだろう。もちろん、岡さんの言うこれらの地形条件はわかりやすく近いものを説明してくれているだけで、その規模や形状はそれぞれで判断してほしい。現にこういった条件でこそいい釣果が出ているのだから、かなり参考になるはず。

「あとは潮のタイミングですね。僕はこの時期(夏から秋シーズン)の好きな実績のあるタイミングは圧倒的に上げですね。干潮からの上げで満潮まで。上げも場所によって違いますけどね。干潮から上げはじめがいいところもあれば、五分がよかったり満潮前がよかったり。それぞれにいいタイミングがある。例えば、ポイントA は上げ七分がいいとかあるんで、それを知っておくと効率的にランガンできますよね。もちろん、そのタイミングで必ず釣れるとは限りませんからね。でも確率は上がる」

岡さんは、タイミングを計算してランガンをする。これは通い込んでこそ蓄積でき、成せる技だ。

朝イチに入った、江須崎の地磯は波があり磯の隙間やスリットをねらうしかなかった。新子もどこにも浮いていない。「荒れとったら、こんなところに新子が浮いてるはずですけどね」という波静かなところにもイカの姿はゼロ。地磯巡りのウォーミングアップとして汗をひと流しして北上した。北上するほど波は落ちていき、シャローへのアプローチは可能となった。だが、どこもイカの姿が確認できない。つまり、岡さんのいう1級ポイントからは程遠いということだ。

「イカが浮いているからといって、1級ポイントやまぁまぁ1級というわけでもないんですが、それでもこの時期イカが浮いているということは、それに近いいい状況であることは確かです。浮いていないところは、そのエリアも沖も期待できない。逆に新子が浮いてたら期待ができるということです。だから、浮きイカはポイント探しの目安になりますね」

昔はどこにでもいた浮きイカ。だが、近年その光景も珍しくなった。ましてや釣れない紀伊半島では……。だからこそ、浮いてるポイントは大事にしたいということだ。

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まずは3号からスタートが基本

浮いている新子を見つけると、俄然テンションを上げる岡さん。決して、その新子をねらうわけではなく、そのいい状況にテンションを上げているのだ。ねらうはワンランク、ツーランク上のいいサイズ。

岡さんの秋のエギローテーションは少しでも釣る確率を上げるために、最初に3号を投げる。これはキロクラスの夏イカをねらうローテーションと考えてほしい。それにしては小さいと思ったかもしれない。

「1投目は3号。3号で釣れるなら3号で釣り続けたい。もし、最初から3.5号を入れるとアピールが強すぎて、そこにいるイカ全部にエギの存在を気付かれてしまって数を伸ばせない。全部寄ってきて、1パイ釣ってスミ吐かれて終わりでしょ。3号だとエギの存在に気付かないやつもおるんですよ。シルエットの差でね。かといって2.5号を入れてチェイスで終わると、次サイズが落とせない。だから3号なんです」

3号でもダメなら3.5号、それでも呼べないなら4号へとアピール力を強めていくのが岡さんのローテーションの考え。カラーはオレンジとピンクをベースにブラウン、グリーンなどをローテーションする。当たりサイズやカラーは使い続けるスタイル。

「まだまだ熱中症になれる暑さですね(苦笑)」

地磯、ゴロタ浜のシャローをテンポよくランガンしていくが、新子を見つけた口和深の地磯エリアでは、若干のねばりをみせた。エギは『エメラスダスピーク』3号のS(スローシンキングモデル)のケイムラ-アザレシュリンプ。新子が抱いてきたカラーとサイズであり反応がいいため替えずに使用する。そして、地磯の先端からフルキャストして数フォール目で新子とは明らかに違う大きな曲がりを見せた。「これはちょっとマシですよ!」と慎重に寄せる。というのも、先に釣った新子が腕1本だったためだ。つまり、新子でさえ警戒している状況である。

「400、500gあるかも。がっちり抱いてますわ! さっきの新子と同じタイミングで掛かりました。フォールさせて着底寸前のアタリ。このエリアは上げの七分がいいので入ったんですが正解でしたね」

釣りあげたのは見栄えする美しいオスだった。いい場所でいいタイミングを探し当てた1パイだ。反応が途切れたためさらに北上するが、波と風を避け新子が浮いているいいポイントを干潮までに見つけることができたのは白浜の地磯一ヵ所だった。だがやはり、新子が浮いているところはその沖でワンサイズ上が釣れる。ポイントさえ見つけることができれば、今の紀伊半島でもいい釣りができることを岡さんは証明してくれた。今後、季節が進行するほどにどんどんサイズアップするアオリイカ。黒潮に頼らずともトライしてみる価値はありそうだ。

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今回、大活躍したエギはエメラルダスピークの3号タイプS。スローシンキングモデルで6秒/ m。その、ケイムラ- アザレシュリンプ。調子のいいタイプとカラーは使い通す

 

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エギは2 号から4 号まで携行している。最初にセレクトするエギはシルエット控えめな3 号から。反応が薄ければサイズを上げ、チェイスに終わればサイズを下げるのが秋のやり方

 

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エギもすべてダイワ。(写真左から)エメラルダスピーク、エメラルダスフォールLC ラトル、エメラルダスアモラスジョイント

 

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岡さんはエメラルダスタクティカルショルダーバッグ(ダイワ)のフロントポケットを外して、ベストの胸部にカラビナで付けている。エギの交換が手早くできて便利

 

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シャローでのランガン用ロッドとしてエメラルダスエアAGS711M-S をセレクト。リールはセルテートLT2500。ラインはUVF エメラルダスセンサー12 ブレイドEX +Si の0.6 号にエメラルダスフロロリーダークロスリンクの2 号を1 ヒロ。ノットはFG。スナップはEG スナップのM。もう1 本の同モデル、85MLM はエメラルダスフォールLC ラトル(ロングキャスト)の使用時に、遠投した先で高く跳ね上げさせたい時に選択する(すべてダイワ)

 

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タフコンの紀伊半島、攻略テク

4、5回シャクってからフォールを入れるのが基本。そのフォールがキモとなる。「フレッシュな個体が回遊してくる1級ポイントやまぁまぁ1級ポイントやったら、(イカが)エギを見たことないからカーブフォールでもいいんですが、それ以外のポイントの場合、スレてることが多いのでカーブフォールすると乗ってこない。だから、限りなくフリーに近いテンションフォールです」。強くラインテンションをかけるカーブフォールは、寄ってきたイカとの距離を離すことになる(エギが自分のほうへ寄ってくるため)。ここで警戒心の強いイカは乗る気をなくし離れていく。スレなどタフコンディション下では、できるだけ寄ってきたイカとエギの距離を離さないことがキモだと岡さんは強く言う。限りなくフリーに近いテンションフォール、つまりシャクり終えたところから真下へスローで落とすのが理想。今回もそのパターンですべて乗せた

 

 

 

※このページは『つり人 2024年11月号』を再編集したものです。

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