Basserに掲載したJB TOP50のレポートから、遠賀川戦での沢村選手にフォーカスした内容をお届けします。 バス釣りの専門誌バサーが、バス釣りのテクニックから道具、試合の最新情報、初心者のバス釣り入門までバスフィッシングのすべてを公開しています。
ワンスポットをしつこくねらう
Basser編集部=写真と文
福岡県・遠賀川はJB TOP50の試合が定期的に開催される九州屈指のメジャーフィールド。このフィールドで開催される試合で突出した強さを見せているのが沢村幸弘選手だ。
今回は、Basserに掲載したJB TOP50のレポートから、遠賀川戦での沢村選手にフォーカスした内容をお届けする。
第1回から第3回は、沢村選手が優勝を収めた2013年6月のJB TOP50第2戦のウイニングパターンを紹介したい。
この記事はBasser2013年8月号に掲載したものを再編集しています。
微調整を繰り返しながらワンスポットに20投
前回、沢村選手がバスに口を使わせるため、ねらうスポットへリグを確実に入れることを優先して超近距離でアプローチしていたことを解説した。今回は実際にどのようにリグを操作していたのかを紹介したい。
この試合での沢村選手のアプローチは、スポットとの距離だけでなく、キャスト回数も異様だった。バイトがあったわけでもないのに、同じ小岩に20投近く費やしている。あとから話を聞いてわかったことだが、沢村選手は一投ずつ極めて繊細な調節を行なっていた。たとえばこうだ。
一投目は、岩の向こう側でリグを着底させ、ボトムをズル引きながら岩の根元でステイさせる。そのあとズル引きを続け、回収。二投目は、ファーストフォールで岩の根元を直撃するようにキャスト。着底後はロングステイさせたあと回収。三投目は岩の向こう側にリグを落し、リグに岩を這い上がらさせる。岩のトップでステイを入れ、そのあとトップから根元までフォールさせる。続くキャストでは、リグが岩を這い上がる途中にステイを入れ、岩のトップにラインを掛けた状態でロングシェイク(いわゆるチョウチン釣り)。そのあとボートポジションを変更し、違う角度から同じローテーションを繰り返す。仮に流木の場合、キャストごとにラインを掛ける枝を変えながらチョウチン釣りを行ない、真上と周囲のズル引きも怠らない。桟橋跡であれば、すべての柱の中層でロングシェイクを行なう……。
2日目、3日目にほぼすべてのバスをキャッチした3.8inスイミーバレットのネコリグ。プレッシャー対策として、初日の4.8inからサイズダウンしたことが功を奏した。また、よりスローにフォールさせるため、2日目の途中からシンカーウエイトを1/24ozから1/42ozにダウン。直後からバイトが続いたため効果があったと考えられる。フックはワイルドモスキート♯1。ソフトベイトには絶対のコンフィデンスがあるのか、ほかのモデルにローテーションすることは一切なかった
初日は5.8inスイミーバレットリアルの1/16ozジグヘッドワッキーも使用。4.8inスイミーバレットの1/24ozネコリグとローテーションしながらピンスポットを撃ちリミットを獲った
ここまでの数行の文章のようにくどいアプローチを、沢村選手は繰り返した。バスが浮いていたりボトムべったりだったりとバラバラだったため、スローに探るだけでなく、さまざまなレンジで誘いをかけることが求められていた。
1尾目が食ってきたのはおよそ15投目。まるでギルのように小さなバイトだったという。
「ここまで執拗にやって、10投目とか15投目でプンッ!! とギルバイトみたいなのが出る。ギルが食ってきてることもあるんだけど、これがバスのことも多いんだよ。だから全部アワせなきゃいけない。わかりやすいバイトは少ないよ。本当にバスの目の前にリグが入らないと食わないってこと。試合のプレッシャーと水質の悪化が原因だろうね」
逆に言えば、いくら他選手が攻めたあとであっても、ショートディスタンスで執拗なアプローチを行なえば、そこにバスがいれば口を使わせることができるということだ。
2日目、中流域ではナイスキーパーを2尾連続キャッチ
遠賀川は56名で競うには決して広くない。また誰がどこで何をやっているか簡単に把握できてしまうフィールドであり、試合で「パターンフィッシング」を成立させることは非常に困難だ。釣るべきエリアがわかっていても、そこに向かえば他の選手が浮いていて入れないこともある。バッティングを回避できたとしても、競技中のフィッシングプレッシャーで、思惑通りバイトが得られる保証はない。
そんな遠賀川で、沢村選手はバッティングやフィッシングプレッシャーと真正面から向き合い、「小さなピンスポットをラン&ガンし、超ショートディスタンスで執拗に釣る」という競技仕様のパターンフィッシングを組み上げてきたのである。記者が見たそのパターンは、TOP 50の全員を出し抜く痛快なものだった。
メインパターンとなったネコリグの釣りはベイトフィネスセッティングで行なった。自身が手がけたGWT60CLJ-K.T.F.3本をデッキに常備。ねらうスポットに対しラインをこすりつけるようにアプローチすることも多く、ベイトフィネスのアドバンテージがフルに発揮される展開だった。自身が勝つために生み出したベイトフィネスが、沢村選手の背中を強く押した。ラインはおもにフロロ7Lbを使用したが、水深3m以深のスポットを探る際は操作性を保つため5Lbがセットされたタックルに持ち替えていた
沢村幸弘選手のタックル
ロッド:ゴールデンウイングツアーエディションGWT60CL-KTF
リール:K.T.F.PXスーパーフィネス または K.T.F.アルデバランBFSフィネス
ライン:フロロカーボン5、7Lb
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