ホントは隠しておきたかったけど、もう散々釣ったからいいじゃない。そんな虎の子チューンを、3名のアングラーに語っていただきました。
今だから言える秘密のチューンを公開!
この記事は『Basser』2022年3月号チューン特集号に掲載したものを再編集しています。Basserのバックナンバーは定期購読をお申し込みいただくとデジタル版バックナンバーが4年分以上読み放題! 詳しくはこちらをどうぞ!ホントは隠しておきたかったけど、もう散々釣ったからいいじゃない。そんな虎の子チューンを、3名のアングラーに語っていただきました。
この記事の内容
伊藤 巧(いとう・たくみ)
1987年生まれ。千葉県出身・在住。国内ではTBCやH-1グランプリでAOY獲得など輝かしい成績を収め、アメリカ挑戦後は1年でエリート昇格、昨年はエリート戦優勝など、破竹の勢いで活躍するアングラー。チューニングに関してはメタルジグのフックに実家の犬の毛を巻くなどやや変態気質だったが、フォーミュラにワームを漬け込む「タクミ漬け」が数年前にブレイク。
タクミ漬けには「その先」があった
下が通常の4inヤマセンコー。上が「アクアリキッド」に5日間漬け込んだ同ワーム。サイズがやや大きくなり、水膨れのようなぶつぶつが無数にできている。ここにバイトバスリキッドが染み込んでより効果を発揮してくれる
今回紹介するのは「タクミ漬け」の強化版というか凶悪版というか……(笑)。手間はかかるけどよりフォーミュラの効果を高めるチューンです。
まず声を大にして言いたいのが、「フォーミュラには明確な効果がある」ということ。オカルトじゃないんです。魚には臭いを感じ取る器官が存在しますし、フォーミュラの臭いが直接バスを刺激しなくとも、ワームの周辺にいるベイトフィッシが群がってきて、それに反応したりもする。ライブスコープで見ててもそれはわかります。
じゃあ、「タクミ漬けギアセカンド」はどんなものか。それは、バイトバスリキッドに漬け込む通常のタクミ漬けを行なう前に、「アクアリキッド」という別のフォーミュラにワームを漬け込み、膨張させるという作業です。ワンピースのルフィみたい膨らむからギアセカンド。ノリーズプロスタッフの麻生さんがフッキング率向上のためにやっていたチューンが元ネタです。
使ったことがある人はわかると思いますが、バイトバスリキッドは「油」で、本来ワームに染み込みまくる素材ではないんです。
それに対し、アクアリキッドは水溶性。つまり水と同じで、湖底に放置されたワームが水を吸ってブクブクになるように、ワームを漬け込むと膨張して内部に気泡がたくさん生まれ、フォーミュラが染み込む空間ができるんですよ。 漬け込む期間はワームの素材とか気温によって変わるんですが、一番簡単に膨張するのがゲーリー素材。というか、ほかの素材もアクアリキッドに漬けるとゲーリー素材みたいにフカフカな感じになります。
このチューンを実際に試したのは昨年のアメリカ、セントローレンスリバー戦。漬け込んだのはラッテリー。ラージより臭いに敏感なスモールだからか、より反応が顕著に出た気がします。ホントは教えたくないけど、アメリカ人選手は日本語の記事は読めないことを期待して、まぁいいかなと(笑)。
ちなみに、漬け込むことのデメリットは手間とか保管のわずらわしさ以外には感じていません。たしかに、素材としてはスカスカになるのでカバー撃ちなどではフックポイントが出やすくなったりします(その分フッキングはいい)。でも、今の日本のフィールドで釣ることの難しさを考えたら、多少の手返しの悪さはあってもバイトが増えるほうを取るべきだと思います。だって皆さんも、すべてのカバーをファイヤークローのフロリダリグで撃ってるわけじゃないですよね?
ただし、デメリットはなくても漬け込みに相性が悪いワームはあります。とくにエラストマーの漬け込みはうまくいったためしがありません。アメリカの好きなエラストマーワームに「フィネスTRD」っていうのがあるんですけど、これはある程度漬け込んでからタッパーを開封したら消滅してました(笑)。
時効チューン2:用意するもの
●漬け込みたいワーム任意のワームを用意。ゲーリー素材のような高比重タイプのほうが短期間で膨張しやすい。エラストマーは膨張どころか消滅する可能性があるので避けたほうが無難
アクアストッカー(エコギア)
●アクアストッカー
漬け込み用のタッパー。ゴムパッキン付きの4 点止めのものが液漏れしづらい。漏れたら悲惨なのでここは妥協しないように。ちなみにこのケースには1 年モノのエスケープスイムツインが漬け込んである
アクアリキッドとバイトバスリキッド(ともにエコギア)
●アクアリキッド(写真左)
水溶性のフォーミュラ。これに漬け込むだけでも集魚効果は得られるが、伊藤さんはワームを膨張させるための液として使用
●バイトバスリキッド(写真右)
膨張したワームに染み込ませる「味付け」用。ワカサギ味もあるが、伊藤さんはより臭いが強烈なエビ味が好み。ちなみに、過去にはマルキュー製の最強兵器「イカ原油」などにも漬け込みを行なったが、ワームが硬くなることと、万が一のときに想定される被害が大きすぎるので封印された
時効チューン2:用意するもの
●タッパーにワームを敷き詰める●アクアリキッドをなみなみと注ぐ
●漬け込む期間は1~2週間でOK。アクアリキッドはワームに吸われて日々減っていくので、こまめに継ぎ足しを行なう
●ワームが膨張してきたら、アクアリキッドを捨ててバイトバスリキッドに漬け込む期間は2週間~2年。期間が長いほど凶悪なワームが完成する