松下雅幸のジャークベイト論 :第2回
Basser編集部=写真と文
冬から早春の低水温期に特に有効になるルアーがジャークベイトだ。バスが活発に動いているとは言えないこの時期、どのようにルアーを操作すればいいのだろうか?
松下雅幸さんに解説してもらった。
◆松下雅幸のジャークベイト論 :第1回
「冬~早春のジャークベイトはバスが浮き気味のときが出番!」はこちら
松下雅幸(まつした・まさゆき)
愛知県常滑市出身。琵琶湖ガイドを営みつつB.A.S.S.オープンに参戦し、2017年B.A.S.S.セントラルオープン第3戦では3位入賞。国内での主な戦績は2012年TBC第1戦優勝、第9回オカッパリAllstar Classic長良川・大江川・五三川大会優勝など。
有効なのは「動かしすぎない誘い」
松下さんいわく、低水温期のジャークベイティングは、「動かしすぎない」ことがキーになるという。
「12~3月のバスはルアーを長距離追いかけることができないので、ジャークをしたときに『飛ぶ』ルアーよりも、しっかり水を掴んで移動距離を抑えられるルアーが効きます。バリソンミノーはジャーク時にリップがしっかりと水を掴み、移動距離の少ないショートジャークアクションが出しやすいです。もちろんダート幅の大きいルアーに好反応な時期や状況もあるので、ラインナップからは外せません。典型例がサカマタシャッドやワンテンですね」
移動距離を抑えて誘うためには、流れのあるフィールドであれば上流から下流へのアプローチが必要になる。そのほうがジャークベイトのリップがしっかり水圧を受けて、短い距離で確実にアクションするからだ。
「魚は流れに対して頭を向けているため、ダウンストリーム(上流から下流)のアプローチは本来王道ではありません。アングラーがバスの正面にいると警戒されてしまうので。それでも短い移動距離でしっかり動かすことを優先します」
また、低水温期のバスの動きの鈍さに合わせて、ジャークベイトをチューニングするのも効果的だ。ルアーに「サスペンド」や「スローフローティング」と書いてあってもその程度は水温によって変化するため、板オモリなどで細かく浮力の調整をするのも釣果アップのコツ。またフックをフェザー仕様のものに替えれば、より移動距離を抑えたアクションが可能になる。
止めるからこそ得られる深いバイト。同じ日に記者がクランクベイトで釣ったバスはリアフック1本がかろうじて外掛かりだったのに対し、松下さんが釣ったすべてのバスにバリソンミノーのフロントフックが掛かっていた
2ジャーク、1ポーズのアクションが基本で、ポーズはラインスラックを回収する間だけ。1秒ほど止めてやるだけでも充分バスに食わせの間を与えることができるし、リズムよく操作したいためだ。ロッドワークは下捌きで行なうが、レンタルボートなどの足場が水面に近いシチュエーションでは、途中から横捌きに切り替える。ルアーが手前に来るにつれてティップが水面に接触してしまうからだ。
ジャークベイトでテトラ帯をねらうときのボートポジションの例。エッジから沖側まで広く探るため、ある程度距離をとってキャストしている
ルアーを動かすうえで重要なことは「メリハリ」を出すこと。移動距離を抑えながら誘うとはいえ、ジャークは素早く、そして確実にルアーをポーズさせなければバイトは減る。「ルアーを引っ張る」のではなく「ラインを叩く」ようにアクションさせると感覚を掴みやすい。ジャーク後はロッドの反動を利用してティップをルアー側に送り込み、ラインスラックを作ってやる。そのラインのたわみでルアーが左右にダートするのだ。ラインスラックの回収時もしっかりとティップをルアー方向に送り、リーリング中にルアーが動かないように注意する。
バイトはポーズ中が多いが、アングラーがそれに気付くのはほとんどの場合次のジャーク動作に移る瞬間だ。ハイシーズンならバイト後にバスが横走りしたり反転したりするが、低水温期はルアーを咥えたあとその場から動かないことが多いからだ。ジャークしようとしたときに「グッ」と根掛かりのような重みが乗ったら、軽く聞きアワセしてみる。そこで生命感を感じたらそのままスイープに力強くフッキングだ。
※この記事はBasser2017年3月号でも読むことができます
2019/03/01