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編集部2017年6月27日

モノの舞台裏 HPミノー3.1in

Basser バス釣り

O.S.Pから発売された「HPミノー」は一見するとフルーク系のソフトジャークベイトのよう。このルアーにはどのような特徴があるのか。開発を担当する麻生雅之さんに話を伺った。

静(I字)と動(ダート)で食わせるミノーシェイプ

Basser編集部=文


釣れるI字はブレない

dsc_9708HPミノー3.1in(O.S.P)


 O.S.Pから発売された「HPミノー」は一見するとフルーク系のソフトジャークベイトのよう。このルアーにはどのような特徴があるのか。開発を担当する麻生雅之さんに話を伺った。

「開発の発端は、亀山湖レコード(63㎝・5270g)保持者のプロスタッフ、大塚高志です。彼は高水温期の亀山湖で威力を発揮する表層ワカサギパターンにおいて、水面下を安定したI字姿勢で泳ぎながらも、ダートアクションもさせられるソフトベイトが欲しいとのことでした。それまでは小さいフルーク系のものを使っていたそうなのですが、鋭くダートはしても、I字引きのアクションが安定せず魚に見切られてしまうとのことで『HPミノー』の開発に着手しました」

 安定したI字姿勢とは、ノーシンカーでただ巻きしたときにふらついたり回転したりせず「スーッ」と綺麗に直進するということ。シンカーのウエイトで姿勢を安定させることのできないノーシンカーリグでこのアクションを出すのは簡単なことではないが、ボディーの両サイドをややへこませた「サイドコンケーブ形状」がそれを可能にした。ヘッドにより左右に分散された水流がこの窪みに溜まり、ボディーを挟み込むように支えることで姿勢が安定するという。

鋭くも艶めかしいダートを可能にした適切なマテリアル選択


「ナチュラルに食わすI字引きに対して、バスの捕食スイッチを一瞬でオンにするのがダートです。鋭さのなかにも動きを出すため適度にハリのあるマテリアルを採用し、ダート後の自然な『漂い感』を出すために、フックの重みを考慮してノンソルト仕様にしました。1投のなかでi字アクションだけではなく、トゥイッチやジャーク、ときには速めのリーリングをすることで、ベイトが瀕死→パニック→逃げるといった、食わせるためのコンビネーションを可能です」

 また、貫通式スリットを採用することで、フックセットが容易になった。このようなタイプのルアーはフックセットが少しでもズレたりすると回転してしまったり、バランスを崩してしまったりするが、オフセットフックを合わせる際はこのスリットを通すだけでオートマチックに中心線をとったフックセットができる。O.S.Pのソフトベイトはパッケージに適合フックサイズが書いてあったり、ソフトベイト本体にセット位置がわかる突起が付いていたりと、誰もがルアーの性能を100%引き出せるようにという親切設計が随所に見て取れる。

dsc_9704 貫通式のスリットはボディー後方のみが「ブルルッ」と奮えるダートを生みだし、センターを外さないフックセットを可能にする

dsc_9706 スプリットテールの縁にあえてバリを残すことで水噛みがよくなり、ラインスラックを揺するようなシェイクでもテールが微振動する

出し時と具体的な使い方


 このルアーの出しどころと具体的な使い方を、大塚高志さんに伺った。

「何らかのベイトフィッシュを模すことが前提となるので、まずはバスが小魚を捕食しているような状況で、そのベイトの種類やスピード、レンジに合わせて使うのが基本です。

 私がホームとする亀山湖を例にすると、1年でまずこのワームの出番があるのが3~4月。ワカサギが産卵のため川筋のサンドバーなどを目指し、それを捕食しているバスをねらいます。産卵に絡んだワカサギの動きはスローなので(年魚のため産卵後は死ぬ)、水面下30㎝をスローなI字引きで誘います。

 6月になると、シャローに増えたオイカワをバスが積極的に追うようになります。オイカワは動きが速い魚なので連続ジャークで使い、バスにスイッチを入れます。

 7~8月は高水温で酸欠となったワカサギが水面付近を漂う『酸欠ワカサギパターン』の季節。ワッキー掛けにしたルアーで水面ピクピクもいいのですが、そのアクションにはスレてしまったバスも多く、晴れや雨になるとバスが沈む傾向もあります。そこでこのルアーを水面下でI字引きし、チェイスしてきたバスをトゥイッチで食わせます。

 11~12月にもなるとディープの釣りをする方が多いですが、実はこの時期のワカサギは朝イチはシャローフラットのブレイク付近に浮いていることが多いのです。そういったときはやはり『HPミノー』を水深1mレンジでI字引きし、バスを誘い出します。

 このルアーのよいところは、とにかく泳ぎのバランスが崩れないこと。I字引きではブレずに泳ぎ、ダートさせたときも回転したり水面に飛び出たりしません。今回は亀山湖を例に解説しましたが、バスがベイトフィッシュを食べている状況なら必ず活躍してくれるはずです」

 大塚さんがこう話すとおり、開発段階では試さなかった霞ヶ浦の風表シラウオパターンなどでもかなりの実績が出ているようだ。このルアーのポテンシャルはまだ計り知れない。

O.S.P 

2017/6/27

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