2017年、O.S.Pに「O.S.P WORKS LOCO」なるブランドが発足した。そして新ブランド第1号として発売予定なのが「オーバーリアル63ウエイク」だ。
折金一樹がひた隠した「最後の一線」を超えさせるルアー
Basser編集部=文
新ブランド「WORKS LOCO」が意味すること
2017年、O.S.Pに「O.S.P WORKS LOCO」なるブランドが発足した。そして新ブランド第1号として発売予定なのが「オーバーリアル63ウエイク」だ。
このブランドにはどのようなコンセプトがあるのだろうか、同社の麻生雅之さんに話を伺った。
「O.S.Pのルアー開発のこだわりに『10年基準』というものがあります。これには『10年以上経っても普遍的に使えるルアーを作ろうよ』という気持ちが込められています。そのため、これまで我が社のルアーはあるジャンルのなかで定番化するような、基本性能を突き詰めた誰でも使いやすい王道的なものが多かったのです。それはそれで必要なことなのですが、各フィールド特有の『クセ』を攻略するためには、もっととんがった性能を持つ局地戦的なルアーの需要があったのも事実です。そこで、ローカルを発信源とした、特定の状況で強みを発揮する変化球的ルアーシリーズを作ろう、ということになったのが『WORKS LOCO』の始まりです」
チェイスをバイトに繋げる工夫
「オーバーリアル63ウエイク」は、房総リザーバーにおける表層ワカサギパターン攻略を目的として作られたルアーだ。ひとつは早春の産卵に絡んだものと、もうひとつは高水温期のパターンだ。前者は産卵のために川を遡上するワカサギや産卵を終えて死ぬ寸前のワカサギ(ワカサギは年魚)、後者は高水温による酸欠で死にかけのワカサギを捕食するバスをねらうもの。このときのバスはとてもセレクティブで、ルアーには見向きもしなかったり、チェイスがあってもバイトには至らないことが非常に多い。そのような難易度の高いバスを獲るために作られたこのルアーにはどのような特徴があるのか。このルアーの原型を生み出し、開発を担当した「オリキン」こと折金一樹さんはこう語る。
オーバーリアル63 ウエイク
63mm。2.7g。価格未定。
※発売予定時期は当初の発表から2017年6月上旬に変更されています(2017年3月27日現在)
「今までワカサギパターンの代表的なルアーはI字引きや水面ホットケで誘うものが多かったです。これらは動きすぎないことでナチュラルにバスを引きつけるルアーですが、バスがルアーに接近したときに意図的にアクションさせて食うキッカケを作るのが難しかった。そこで、ナチュラルに誘いつつも、操作次第では一定のアピール力やバイトを生み出すアクションを出せるルアーを作ろうと思いました」
「オーバーリアル63ウエイク」の特徴は、アングラー次第で多彩なアクションが出せる点。まず、デッドスローリトリーブではテールをわずかに揺らしながらのI字引きができ、リップが一定の水圧を受けるところまでリトリーブスピードを上げると(それでもゆっくりめ)、フロント部はロール、リア部はウォブルを中心としたウエイクベイトに変身する。リップを利用した一点での首振りも可能だ。
基本的にはウエイクベイトとして巻いて使い、バスがチェイスしてきたり興味を示したらステイ。ジョイントとヘアーの効果で、わずかな風や流れにも反応する艶めかしいデッドスティッキングが可能だ。ここでバイトまで持ち込めることが多いが、もしバスがルアーを見切ったら、バスの視界からルアーが消えるか消えないかのところでラインを揺らして軽くアクションさせる。そうするとバスが再び興味を示して寄ってくる。このやり取りを繰り返すうちにバスの捕食スイッチが入り、最終的にバイトまで持ち込めることが多いという。
ウエイトは3g弱と非常に軽量なため、スピニングタックルでの使用が基準。細いラインで飛距離が稼げるからだ。ロッドはラインメンディングがしやすい6ft6in~7ft前後のウルトラライトアクションがオススメ。ワームロッドと共有で使うのであればフロロの4Lbと合わせるが、専用タックルを組めるのであれば、より飛距離を重視して0.4号程度のPEラインもアリだ。
フックがひとつしか付いていないことにも明確な理由がある。「細軸のトレブルフック『ピアストレブルダガー』(リューギ)の#10サイズを標準装備しています。ツーフックにしようとするとこれよりさらに小さいフックを使わなければいけないため、ビッグバスに対応できません。また、フックの存在感をあまり出したくないという意味でもワンフックは効果的です」
ローカルから全国へ
折金さんへのインタビュー取材中に記者が感じたのは、「このルアー、別にワカサギパターンでなくても、普通のトップウォータールアーとしてかなり釣れるのでは?」ということだ。その疑問を折金さんにぶつけてみると……。
「そうなんですよ。実は房総のリザーバー以外でもかなり実績を残しているんです。ワカサギがいる富士五湖系のフィールドでももちろん効きますし、関東のベイトフィッシュに多いサイズ感なので、さまざまなフィールドで有効なルアーです。虫ルアーとしても使えますよ。さすがに濁りがすぎる所ではアピール力が足りないこともありますが、印旛沼の流入河川ではバスを釣っています。ちなみに、H‐1グランプリ(ハードベイトオンリーのトーナメント)などの試合では使っていませんでした。勝ったときにルアーを公表したくなかったので(笑)。だいぶ美味しい思いをしたので、そろそろいいかなと。ワカサギパターン用に作ったルアーですが、そうでない場合でも食わせのトップとしてかなり優秀なので、ぜひハードルアーやトップウォーターでバスを釣ったことがあまりない人に使ってほしいですね。このルアーをきっかけに、ハードルアーの楽しさを知ってもらえれば幸いです」
「LOCO」目線で作り上げられた「オーバーリアル63ウエイク」。その活躍の場は房総を跳び出し、全国に広がりそうだ。
O.S.P
2017/3/27