オカッパリで使用頻度が高い12Lbライン・70mのラインキャパシティー。このスプールに7~10Lbラインを量を抑えて巻けばベイトフィネス機として使うこともでき、14Lbをフルに巻けばロングディスタンスの釣りにも対応する。
地に足つけて巻いて釣るなら逆風に抗えるリールが必要だ
Basser編集部=文
ウインディーサイドが常に逆風だ……
オカッパリで使用頻度が高い12Lbライン・70mのラインキャパシティー。このスプールに7~10Lbラインを量を抑えて巻けばベイトフィネス機として使うこともでき、14Lbをフルに巻けばロングディスタンスの釣りにも対応する。軽量級ルアーから1oz程度の中重量級まで、幅広いウエイトを快適に投げられるキャスタビリティーは、タックルの数を絞りたいオカッパリアングラーから絶賛された。その初代Z-PRIDEが発売されたのが2014年のことだ。
そしてこの2017年秋、ベース機をシマノ・メタニウムからメタニウムMGLに変更してZ-PRIDEは2代目へ。同時に、ここで紹介するFMT(Fast Moving Tune)モデルが追加された。名前のとおりファストムービングベイトの使用に特化したモデルである。しかし、Z-PRIDEの名を冠しているからには、オカッパリ専用機の側面もあるはず。「オカッパリの巻きモノ」に求められる性能とは何なのか。監修した関和学さんに聞いた。
「巻きモノがハマる状況のひとつに、ウインディーサイド(風が当たっている側の岸)が挙げられるよね。ボートだったら、ウインディーサイドを釣るときのキャストは追い風だったり向かい風だったりいろいろだけど、考えてみてよ。オカッパリでウインディーサイドを釣るとき、風はどっちから吹いてる?」
自分が立っている岸に向かって吹いている。つまりオカッパリの場合、ウインディーサイドを釣るキャストは常に向かい風になる。
「そう。しかも巻きモノって、撃つ釣りよりも平均的に飛距離が必要だよね。アゲインストでしっかり投げなきゃいけない。それができるリールだったら、横風も追い風も問題ナシ。巻きモノのキャスタビリティーについては、FMTはそういうリールに仕上がっている」
今号(Basser2018年1月号)で取り上げているJB TOP50最終戦を勝った関和さんは、勝利を決める1尾を強風が吹き荒れる北浦で手にしている。そのとき使っていたリールがFMTだった。
「常に逆風の状況を想定して、しかも飛距離も出るようにセッティングしたから、ボートでも使いやすいし、トーナメントにも充分投入できる性能になってる。ちょっとゾッとする想像をしてみようか。最後に釣ったときって、時間がもうほとんど残されてなかったんだよね。釣って入れ替えて、すぐに帰着したくらいだから。それで、もし、だよ。あの1投がバックラッシュしてたらどうなってたんだろうね(笑)」
笑えない話だ。そうなっていたら、優勝はなかったのだから。弊誌ではオカッパリの連載をもつ関和さんだが、同時にプロトーナメントアングラー・関和学でもある。プロがリールを監修するとは、1投1投が勝敗を分けるかもしれない状況で、決してチャンスを潰すことのないリールに仕上げるということなのだ。
ベース機はシマノ・メタニウムMGL(ギア比6.2対1)。
ハンドルはFMT専用93㎜オフセット仕様。
外部ダイヤルで調節可能なフルアジャスタブルマグネットブレーキユニットにもFMT専用チューンが施されている。
スタードラグもFMT専用に小型化されたものを搭載。ギアボックス側にある重心をわずかながらセンターに寄せてバランスの良化が図られている。
JB TOP50優勝、そのキッカーフィッシュを風の吹き荒れるなかで関和さんにもたらすという最高のデビューを果たしたZ-PRIDEファストムービングチューン。これから北西風が吹き荒れる冬を迎え、シャッドの出番が増えるとともに、そのアドバンテージはオカッパリでも確実に発揮されることだろう。
Z-PRIDE ファストムービングチューン
ラインキャパシティーは12Lbで70m。ラインの巻き量を抑えて実質的スプール径を小さくし、スプール+ラインの重量を下げれば、軽量級のキャストにも対応。ベイトフィネス・プラッギン用リールにもなる
オフィスZPI”
2017/11/28