編集部2017年3月21日

オギタコンビが愛用する「チェリーリグ」のひみつ :第1回

Basser バス釣り

Basserで連載されていた荻野貴生さんと沖田護さんの連載「オギタ式」。撃ってよし、ズル引いてよしのチェリーリグの特徴をふたりが改めて紹介します。

チェリーリグとは……フックに直接セットされたワイヤーの先端にバレットシンカーを通したリグ

フック+ワイヤー1本のシンプルな形状の理由

Basser編集部=写真と文

 Basserで連載されていた荻野貴生さんと沖田護さんの連載「オギタ式」。この連載でふたりが数多くのバスをキャッチしたのが「チェリーリグ」だ。撃ってよし、ズル引いてよしのこのリグの特徴をふたりが改めて紹介します。

シンプル・イズ・ベストまでの道のり


 ふたりがチェリーリグを本格的に使い始めたのは2013年の春から。夏も使い、秋も使い、そして厳寒期もこのリグに何度も助けてもらった。四季を通じて使い続けたふたりの結論は「長年の釣りスタイルが変わってしまうくらい力のあるリグ」というものだった。

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ogitaBasser2013年6月号より

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01スタックしにくく、したとしても外しやすいチェリーリグが障害物をかわす状況を卓上で再現する荻野貴生さん(左)と沖田護さん(右)。使い始めてわかる利点が多いためベテランふたりも夢中で使い、長年の経験で構築された釣りのスタイルにまで変化が起きているという

04商品名はフェロモンチェリー。先端を丸く曲げただけのワイヤーに直接オフセットフックがセットされただけのシンプル構造。これにバレットシンカーとワームをセットすればチェリーリグになる。沖田さんはトーナメントで、荻野さんはガイドで欠かせなくなった

編集部(以下、B) 「チェリーリグを語るうえで欠かせない存在がフェロモンピックだと思います」

荻野(以下、荻) 「ですね。ここがすべての出発点ですから」

沖田(以下、沖) 「ピックはボクがヘビキャロ用に自作したもので、当初はシロギス用の片テンビンのアームや先端をカットしたものでした」

 「片テンビンってオモリをセットするためのバネ付きのアイが下にあるのに、あえてワイヤーをカットした側にバレットシンカーを通していたのが凄いよね」

03 右がチェリーリグの原点になったフェロモンピック。左はフェロモンチェリー。どちらもシンプル極まりない形状だが、贅肉をそぎ落とした結果だという

 「だってそのほうが感度ビンビンでしょ?」

 「そうなんだけど、普通はそうは思わない。っていうか、言われてもピンと来ない人が大半だよ。ボクも半信半疑で使ってみて『そういうことか!』ってビックリしたもん」


 どういうことかというと、銃弾形をしているバレットシンカーの接地面の話である。本来、キャロであれテキサスであれ、バレットシンカーを使えばボトムで横倒しになるためズル引けば横長の側面、つまり〝面”が触れる。摩擦や抵抗が増えるため感度は鈍くなる。

 「それに対して本来はラインを通すアイにワイヤーを貫通させたのがマモちゃんですよ。そのままフリーフォールさせたら倒れるんだけど、ほんの数mm動かそうとするとごくごく軽い力でピコンと立っちゃう」

 「うん。ラインを張ればピンコ立ちする。なぜかといえば底が広くて安定している弾丸形状だから。で、この立った状態で少しでもサビくと、シンカーは斜め立ち状態になるからボトムとの接触が“面”ではなく“点”になる。だから感度がめちゃくちゃいい」

 「ヘビキャロって根掛かりが避けられない釣りで、しかもその多くはシンカーが挟まることによるわけですよ。それがボトムで立って、挟まるべきところに長いワイヤーがあるから挟まりにくい。しかもシンカーが寝ないから感度がいい」

 「そもそも片テンビンって、浅場のシロギスにしても深場のアマダイにしても砂地をサビいて使うものでしょ」

 「そうだね」

 「バスも砂地でサビく釣りだったら、別にバレットシンカーを縦に刺す必要なんてない。だってナスオモリなら接地するのは面じゃなくて点だし」

 「そうだね。起伏の激しい根周りの釣りで片テンビンなんて使わない。オモリの真上からそのまま仕掛けが伸びるドウヅキ仕掛けを使うもん」

 「そういうこと。実際、バレットシンカーを遊動式にする通常のヘビキャロよりも、片テンビンにナスオモリをセットしたほうが感度はいいわけです」

 「バレットの面に対して点だからね」

 「そういうこと。ただ、ナスオモリもテンションを張って持ち上げれば接地するのは点になるけれど、まあまあ面になりやすい。ヨリモドシやスナップなど動く関節部を入れればなおさらです。だったら横倒しになりやすいバレットシンカーを縦刺しにすればいいと思ったんです。そのほうがリーダーの出発点も高くなるし。実際、ちょっとラインを張るだけでワイヤーがピコンと立つからラインがボトムに干渉しづらいしシンカーの接地も点になるから感度も上がった」

 「その発想が凄いよね」

 「で、あんまりにも使い勝手がいいからアニキにも使ってもらったら、感度のよさと根掛かりのしづらさに感激しつつ、『マモちゃん、この親子サルカンを取っ払って、ここに直接フックをセットしたらどうなの?』って言いだしたわけです」

 「そしたら冷たく『馬鹿じゃないの?』って言われたよ(笑)」

 「だってボクもヘビダンは相当やり込んでいるから、フックから直接こんなワイヤーが出てたら食うわけないって思ったもん」

 ところが食ったのである。食ったどころかこれまでのヘビダンと遜色なく食って、しかもフッキング率は向上。宿命と思われたヨレまで解消され、感度も向上した。

 「で、アニキに『ヤバい。ヤバすぎる』って報告して、そこからふたりで使い倒したわけです」

 「ここに直接フックをセットしたらどうなの?と聞いたのはボクですけど、『ヤバいくらい釣れる』って聞いても釣れる理由はわからない(笑)。正直、使って釣って、使って釣って、その釣れる理由を後付けで考えたようなもんです」

 「釣れる理由が自分たちでもきちんと整理できてなかったから最初はトンチンカンなこともしたよね(笑)」

 「まず形が今とは違う。現在の最終形は上を丸く曲げた1本のワイヤーで、その曲げた部分にフックのアイを通しただけというシンプルすぎる形です。でも、これを初めて見た人は『もう少しなんとかなっただろう』って思うわけですよ(笑)」

 「少なくともヨレ解消のためのヨリモドシくらい付けろよって。それからフック交換ができるようにスプリットリングくらい付けろよって何度も言われた(笑)」

 「で、ボクらもそう思って全部試しましたよ」

 「結論は必要なし、でしたね。とくにヨリモドシは付けちゃいかんと」

07 右は最終形のチェリーリグ。左はボツになったヨリモドシ付きのタイプ。そもそもこのリグだと回収時にもワームが回らないためヨリモドシはゴミを拾ったり、関節のように折れ曲がることでトラブルが増すだけだったとか。このほかフック交換ができるようにスプリットリングでフックを接続するバージョンもあったが、やはりトラブルが増えるとの理由で採用せず

 「そう。このチェリーリグって、言わばリーダーレスダウンショットリグなのにラインがヨレないんですよ」

 「ダウンショットリグの最大のデメリットはイトヨレです。で、それを解消するためにスイベル付きのシンカーを使っても意味はないんですよ」

 「あれは回収時にワームがグルグル回るからヨレるんであってシンカーは関係ない。ナスオモリ直結でも同じだよね」

 「そう。ただ、フックよりも上のメインライン側にヨリモドリを付ければヨレはだいぶ解消されます」

 「でも面倒くさいし、結び目が増えればトラブルも増える」

 「このラインのヨレはダウンショットリグの永遠のジレンマというか宿命と思っていたんです」

 「なのにチェリーリグだと勢いよく回収してもルアーが回らない。つまりヨレないんですよ」

 「たしかにヨレないですけど……何故でしょうか?」

 「関節がないからです。ラインを結ぶリングが回転しないからフックも回転しない」

 「もちろんこれにはデメリットもあるわけです。チェリーリグを使っていると、ラインの強度や魚の大きさからは考えられないラインブレイクをするときがある。その理由は高低差のあるボトムで操作すると結び目から先にコンタクトするように導かれるからです」

08チェリーリグをズル引いたようす。高さのある障害物に差し掛かったとき、テキサスリグとは違ってラインの結び目がダイレクトにぶつかりやすい。こまめなラインチェックが必要で、ここにシンカーロックを被せるのも保護になる

 「それを解消するにはシンカーロックを被せて結び目を保護するか、こまめなライン点検が欠かせません。でもまあ、結び目から先にコンタクトするリグやルアーってほかにもあるし、それはやっぱりこまめな点検しかないわけです」

 「フック交換のためのスプリットリングはアリかなって思ったけど、これもナシでしたね」

 「でも……単純にリングをひとつ増やしてもフックが横アイでリングが縦だからフックの向きが横に寝てしまいません?」

 「ワイヤーのアイにラインを結んだらそうなりますけど、リングに結べばそうはならない」

 「あ、そうですね」

 「でも真上から見ると、アイが増えた分、スリ抜けが悪くなる。ゴミを拾いやすいし、突っかかりが増えるんです」

 「これがあったらもっとよくなるだろうってくっつけた物はほぼ例外なく不要でした。明らかにないほうがいいんです」


……次回、オギタコンビが愛用する「チェリーリグ」のひみつ :第2回「不得意を知って得意を活かす」
 Basser4月号では、三寒四温と言われる悩ましい早春を釣るヒントを数多く紹介。実釣記事では、川島勉さんと田辺哲男さんが亀山湖で、並木敏成さんが相模湖でいち早く春を捉え、それぞれテキサスリグ、ジャークベイト、パワーフィネスという異なるスタイルで50cmクラスを手にしています。



 

荻野貴生さん&沖田護さんコンビが映像でも活躍

3057_S 動く オギタ式。
DVD-180分

2017/3/21

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