この記事ではタックルセレクトやプレゼンテーションの考え方など、オカッパリのカバー撃ちで釣果を伸ばすための基本を解説しているので、ぜひ参考にしてください。
ロッド、リール、ライン、フックの選び方
関和学=文、Basser編集部=写真
カバー撃ちというと夏の釣りのイメージが強いけれど、実際は低水温期でも有効な釣り方だ。現に「オカッパリで行こう!」の連載では、水温10度以下の状況でもカバー撃ちでバスをキャッチしている。
この記事ではタックルセレクトやプレゼンテーションの考え方など、オカッパリのカバー撃ちで釣果を伸ばすための基本を解説しているので、ぜひ参考にしてください。
この記事はBasser2009年12月号に掲載された「オカッパリで行こう! 第47歩」を再編集しています。
前回まではカバー撃ちのタックルについて解説した。その内容を要約すると……。
「ヘビーカバー撃ちにはヘビーデューティーなタックルを使いましょう」
ということになる。これでは要約しすぎなので理由も書くと、「掛けた魚ごと根掛かりしても、オカッパリではぶち抜くしかないから」である。
道具が整っていないせいで、釣れそうなカバーを前に躊躇するのはモッタイナイ。かといって、ヤワな道具でヘビーカバーに挑み、掛けたはいいけどそのバスを獲り込めずに殺してしまうのは、未熟なアングラーのすることである。充分な道具を準備して、それでも「ヤバいっぽい……」と感じたカバーへは、キャストしないのも立派な判断だと思う。
さて、今回と次回はカバー撃ちで押さえておきたい要点をQ&A方式で解説したい。
Q1 カバー撃ちはなぜ釣れる?
「バスはカバーを好む魚だから」だね。極論すれば、ただひたすらカバーを撃っていれば釣れてしまうのがバスという魚ともいえる。
この連載の取材では、初めての釣り場や長らくご無沙汰だった釣り場に、ぶっつけ本番でチャレンジすることも少なくない。そういうときに僕がどうやって釣果を得ているかというと、まずはとにかく目につくカバーやストラクチャーを撃って釣っている。
よほど狭い釣り場ならまだしも、ある程度の規模の釣り場の場合、1日2日のロケでルアーを沖に向けて投げて釣るのはかなり難しい。ブレイクやハードボトムがどこにあるかなんて知らないからね。それを魚探ナシで探ろうとしたら、テキサスリグやヘビキャロを沖へ投げて、ボトムを把握しながら釣り場を1周するしかない。そんなことをしていたら、時間がいくらあっても足りやしない。
バス釣りを始めたばかりのころは、僕もルアーをひたすら何もない沖へ遠投していたけれど、そういう釣りって実はかなりハイレベルなのである。少なくとも初めての釣り場で一見さんができる釣り方じゃない。
手もとの動作は、カバーを撃つよりも、沖へ遠投するほうが簡単だ。けれど、より簡単にバスを釣ろうと思ったら、カバーを撃ったほうが手っ取り早い。繰り返すけれど、バスはカバーを好む魚なのである。
Q2 カバーの“撃ち時”はいつ?
どうしてバスがカバーを好むのか考えてみよう。それは「バスが浅いところが好きな魚だから」だ。状況にもよるけれど、水深が30㎝もあればバスがいる可能性はある。で、そんな浅いところにいるバスは、水中の外敵だけでなく、上から外敵に襲われることもある。鳥とかにね。
浅いところにいたい。けど、上は要警戒。それに、浅いところは陽がダイレクトに射し込むので眩しい。だからバスはカバーを好む。シャローエリアにカバーが少ない釣り場のバスは、警戒心が強かったり、朝夕のマヅメ限定でショアに寄ったりするのもこれらが理由だ。
バスにとってのカバーは、家や避難場所であり、簾やカーテンでもある。じゃあ、どういうときにそれらに頼りたくなるかを考えればいい。
まずは、中途半端な時間帯。マヅメでもなく、急に陽が陰ったり、風が吹き出したりと状況が変化するわけでもない、そんなときだ。人間でいうと、とくにやることがなく、部屋でダラけてゴロゴロしていたいときに、バスはカバーにいる。
次に、水が濁ったり水温が低下したりと、マイナスの状況変化が起こったときに、バスは避難のためにカバーにタイトにつく。とくに急激な濁りが発生すると、バスは視界を奪われ、おそらくはエラ呼吸もしんどくなる。そんなときは、安心できる場所で何かに寄り添っていたいはずだ。それと、外が濁っていても、カバー(とくにベジテーション)のインサイドでは水の透明度が保たれていることが多い。密なカバーの中までは濁った水が入り込みにくく、また入り込んでも植物が濁りの粒子を吸着するからである。
反対に、水の透明度が一気に高くなったときもバスはカバーにつく。とくに晩秋から冬にかけて、水温の低下でプランクトンが活動を停止すると、普段はマッディーなエリアがある日突然クリアになったりする。決して釣りやすい状況ではないが、これもカバーへの依存度が高まるタイミングなので、より慎重に、普段よりも距離をとってプレゼンテーションしよう。
あとは、定番のハイライト時(シェードパターン)や、釣り人のプレッシャーがキツいときもカバーフィッシングは有効だ。
こうしてみると、カバーフィッシングは基本的に、高活性のバスを相手にする釣りではないことがわかる。のんびりしていたり、避難していたりするバスの近くにルアーをストン!と落として、反射的に思わず口を使わせる「リアクション」の釣りなのだ。食い気が立っていないバスが相手なので、ネチネチ誘っても効果は薄い。ストン! ストン! とテンポよくルアーを落とし込んでいったほうが反応を得られる。「カバーフィッシングは手数が命」とされるのはこのためだ。
ただし、積極的にカバーを撃ちたいときもある。まずは増水してショアラインが外側へ拡大し、普段は陸の上にある植物などが冠水した場合。こういうとき、いち早く浅場へ生息圏を広げようとするバスは活性が高く、釣りやすいことが多い。
そして河川のカバーも魅力的である。流れがあるリバーフィールドのバスは止水のバスに比べて頻繁に移動する(河川のほうが状況が変化しやすいからでもあるし、単純にバスが流れに向かって泳ぐからでもある)。そうはいっても四六時中、泳ぎ回っているのではない。必ず「止まるスポット」が存在する。河川でスイ~っと泳いでいる見えバスがいたら、まずはルアーを投げるのをグッと我慢。そして辺りを見回してカバーを探す。都合よく見つけることができたらしめたもの。そのカバーにバスが入ったときにルアーを落とし込んでみよう。釣れなかったらごめんなさい。だけど、そうして1尾釣れたカバーというのは、バスの「止まるスポット」になっている可能性があるので、そこで回遊を待ち伏せれば2尾、3尾と釣れることも珍しくない。
Q3 よりヘビーなカバーにいるバスほどデカい?
そんなことはない。それどころか、あまりにも密度が高すぎるカバーの奥には小さいバスしかいない(入り込めない)こともある。
カバーの良し悪しは、密度よりもそのカバーがある場所や生え方のほうが大事だ。たとえば、ダラ~っとした護岸のストレッチにポツンとひと束だけアシが生えていたら、パッと見ショボくてもそれは超1級のカバーである(人的プレッシャーを考慮しても)。
一見、緑が豊富だけど、水に浸っているブッシュなどは限られていて、実は障害物に乏しいストレッチ。こういうところではどんな些細なカバーにでもバスがついている可能性がある。ということで対岸のちょっとしたオーバーハングへ遠投してみると、やっぱり食った!
カバーの良し悪しは「周囲との比較」が大事。「いいカバー」の条件のひとつは「周りと比べてゴージャスである」こと。たとえば護岸のストレッチでは、どんなにショボいカバーでも価値があることになる
それとは正反対に、延々とアシの生えているストレッチがあるとする。そういう状況では、たとえば水門などに絡んでアシの生え方が変化しているスポットだけを撃っていく、という方法がひとつ。
そしてもうひとつ、ただひたすら延々とアシを撃っていく、という方法もある。どういうときにそうするかというと、低水温期に、ボディーウォーターの水温のほうが高いときだ。そういう状況では、何かの奥まったところに生えているアシよりも、一直線に生えているアシの外側にバスが群れていたりする。冬場の、とくにオカッパリでは閉鎖的なエリアに目がいきがちだが、本来は水がたっぷりあるエリアのほうが水温も水質も安定しているのである。ちょっと横道に逸れたけど、要は「いつでもどこでもヘビーなカバーの奥の奥がいいわけではない」ということだ。
Q4 よいカバーと悪いカバーの見分け方は?
悪いカバーは……、水が淀んで、臭ってるような場所にあるカバー。こういう場所って、よさ気なゴミ溜まりができやすいんだけど、バスはカバーじゃなくて水に住む生き物だからね。そもそも水が悪いところにはいない。
水位が低下した直後のショアカバー(岸寄りにあるカバー)も釣れないカバーの代表だ。だってバスがいなくなるもの。シャローカバーにいるバスにとっての水位低下は、人間にたとえると部屋の天井が落ちてくるようなもの。とくに全体的に浅い湖沼に住むバスは水位変動に敏感で、エリアを問わず、減水時は活性が低いように思う。
あとは遠浅の砂浜に生えたショボいアシとかも、常にバスが居着くようなカバーではない。そこでフィーディングするバスはいるかもしれないけれど、家やカーテンとしての、カバー本来の役割は期待できないからね。
それからさっきも触れたけど、度が過ぎるヘビーカバーには小バスしかいないことがある。でも、これは実際に釣ってみないと本当のところはわからない。
よいカバーは……、いろんな種類の植物や障害物が複合しているカバー。アシだけよりも、いっしょにガマが生えてたほうがいい(ボトムの質の変化)。水面にゴミが溜まってたら、その真ん中に杭が立っててほしい(カバー・プラス・縦ストラクチャー)。あとは近くに消波ブロック帯(水深がある、流れが当たる)や水門(水が動く)があるとか、ドックのミオ筋(水深がある、地形的縦ストラクチャー)が通ってるとか、コンパクトな範囲に要素があればあるほどいい。そういうスポットやエリアのほうが、カバーを起点にバスが短い移動と短い時間でさまざまな行動をとることができるからだ。
立ち木や杭が斜めに入っている場合、バスは根元についていることが多い。ということは、水面上に出ている部分だけを見てよさそうなところを撃つのではなく、立ち木や杭の角度から根元の位置を想像してリグを入れることが重要になる。それと、カバー撃ちは基本的に“リアクションの釣り”だ。“ゆっくり丁寧に”がすべてではない。“速く丁寧に”釣ることでしか反応しないバスがいることをお忘れなく
ここにはタイミングを変えて入り直してもう1尾いただきました
最新刊のBasser2016年12月号には、関和学さんのショップ「LiMiT」がある稲敷市で9月末に開催された「『稲敷BASSトーナメントin霞ヶ浦』開催レポート」を掲載しています。加えて稲敷市周辺の「おすすめガイドマップ」も掲載し、霞ヶ浦、利根川で実績のあるエリアと釣り方やおすすめの食事処なども紹介しています!
2016/11/15