編集部2021年9月2日

デカダンストーイの羽根/トップウォーターの進化論/quiet funk craft works編 その2(最終回)

ブラックバス Basser バス釣り

羽根系ノイジーの何がバスを誘うのか。 長い間この釣りを続けてきても本当のところはわからないのであるが、明らかに、ほかのタイプのプラグとは一線を画しているように思う。 そう断言するのは、これまでに何度も、何をやってもダメな日にデカダンスに助けられてきたからである。

何をやってもダメな日にデカダンスに助けられてきた

久保田健二=文
編集部=写真

 あらゆるブラックバス用ルアーのなかで、形状がもっともバラエティーに富んでいるジャンルと言えばトップウォータープラグであろう。日々、新たな工夫や機能が凝らされたパーツや形状の製品が考案され、津々浦々のバスの本能を刺激している。この記事では、オリジナリティー溢れるトップウォータールアーの開発者に、機能に込めたねらいや開発秘話を明かしてもらった。今回はquiet funk craft worksの久保田さんによるパーツ進化論です。

この記事はBasser2016年10月号に掲載したものを再編集しています。

 

前回の記事 → デカダンストーイの羽根/トップウォーターの進化論/quiet funk craft works編 その1

 

羽根の核心に迫る

 

前述した事案の羽根パーツとその機能についてであるが、羽根の大きさ(長さと幅)や取付け位置によってアクションはさまざまに変化する。また、羽根の素材、厚み、曲げ方による影響も大きい。理想のアクションを具現化するまでには時間を要した。

 

デビュー作のデカダンストーイは最も時間をかけたプラグで、初期プロトタイプから1997年の製品化までに実に4年の歳月が経過した。発売から20年近く経った今でも販売し釣れ続けているのは当社のなかでも稀有な存在である。

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DE-CA-DANCE TOY 2-1/2in / 5/8oz
強い浮力を備えた高密度発泡無垢素材を使用。
ウッドやプラスチック製プラグとはひと味違う軽やかな動きが持ち味

 

 

本題に戻ろう。羽根パーツの機能の理想とは?

 

アクション

まず、アクションについて。

アングラーの意図のままにプラグを動かすために必要な機能を備えていること。

具体的に述べると、ここぞというスポットにプラグを落とし込み、ロッドワークを駆使しシェイクして水面に波紋を広がらせる。そのときに羽根が閉じたままだったり、羽根が開くまでに時間が掛かったりしてしまうと折角のストライクチャンスを逃すことになりかねない。

着水後に羽根が開きにくい最大の原因は、羽根を閉じた状態の羽根の先端と先端の距離が、プラグの全幅を下回ることにある。これを解決するには、羽根を閉じた状態ではできるだけ両の羽根が広がっていることが望ましいが、広すぎるとキャスティングの際に抵抗になりやすく、タックルボックスへの収納性も低くなってしまう。

つまり可動式の羽根を備えている意味がなくなってしまうのである。

広すぎず狭すぎない理想の羽根の閉じ角とは、ルアーを上から見たときに、閉じた状態でボディーの中心線と平行になり、開いた状態ではボディーの中心線に対して直角よりやや狭い角度(およそ80度前後)である。

開いた状態での角度が狭まるとリトリーブによる水の抵抗が低下するためスローリトリーブに反応しづらく、60度以下になるとクロールアクション自体、難しくなってしまう。反対に垂直にすると最大抵抗となり、スローでの反応はよくなるが、泳ぎだしにきっかけが必要となり、ミディアムリトリーブでは暴れすぎて扱いにくいものになる。

 

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羽根の閉じ角・開き角はこの手のルアーの機能や使いやすさに直結する要素であり、久保田さんが4年の歳月を費やして丹念に作り込んだ部分でもある

 

羽根の大きさと素材について。

 

続いて、羽根の大きさと素材について。

プラグを操る際に重要だと思うことのひとつに、引き抵抗( 操作感)があるが、それまで使っていた既存の羽根系ノイジーに不満を感じる最大要因がここにあった。

水の抵抗をより受けやすくするために幅を広げてみてはどうか?

幅が広いと引き抵抗は増し操作感は向上するが、プラグ自体の浮力の関係でおのずと制限がある。羽根の重量が増すとプラグを水平に浮かせることが難しくなるうえに、着水時にひっくり返りやすくなってしまうのである。

羽根のサイズと共にアクションに大きく影響するのが、羽根の曲げカーブ。

水面で水を抱え込むことにより、湿り気のある特有の音を作ることができて、ローリングのピッチを速める効果もある。これを逆手に取ったフラットなウイングは、音を立てずにローリングを強めることが可能になる。操作性以外では、キャスタビリティーのよさが挙げられるだろう。

いかに羽根の空気抵抗を受けずにキャストできるか否かということ。プラグをキャストする際には羽根が閉じて、着水後には速やかに羽根が開く。すなわち、スムーズな羽根の開閉が求められる。

相反する機能の両立は難しいが、可動部のクリアランスが大きく影響していることに注目したい。羽根とU字金具(羽根止めパーツ)には、遊び(連結部のゆとり)が不可欠なのである。

 

 

効果的な使い方と 多様化・進化

ストライク率が高いのは、オーバーハングでのステディーアクションと、シャローエリアでのストレートリトリーブ。

効果的なフィールド及びコンディションは、曇天時のシャローフラット、夏の日中のシェード、マッディウォーター、朝夕のマヅメ等々。

ストレートリトリーブにおける動かし方のコツは、ロッドで軽く煽ってからリトリーブを始め、極力ラインを水面に這わせないように意識すること。

羽根の角度やロッドの立て方によっても動きや音が変わる。ロッドはティップが軟らかくバットの強いグラスロッドがお薦め。

デカダンストーイを例に羽根パーツの機能について書き連ねてきたが、ひとつのことをやり続けていると、違うものにも興味が湧いてくる元来の性分が功を奏し(?)、これまでにさまざまなタイプの羽根を作ってきた。

羽根の進化ともいえる、その一例を最後に紹介したいと思う。

フラットウイング(ミンミンゼミ装着)、クリアウイング(ポリカーボネート製)、ラージ&マグデカウイング(羽根大&金属音)、ドラゴニアウイング( トンボ型細長羽根)、デカーナウイング(羽根小)、スーパービッグウイング(超特大羽根)ほか、カラーウイング等々。それぞれに固有の特徴があり、羽根パーツの探求はまだ終わりそうにない。

 

 

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久保田健二(くぼた・けんじ)

1963年生まれ。高知県在住。14歳で初めてバスを釣る。 当時からサーフェスゲームに憧れ、17歳で自作トップウォータープラグで釣果をあげる。 クレイジークローラー
(オールド/ヘドン)

quiet funk craft works 

1995年創業。 代表作は、デカダンストーイ、オリジナルフィー。意欲的に新作をリリースし続けている。

https://www.quietfunk.com/

 

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