編集部2021年11月9日

アジ科の魚図鑑 その3 (最終回)~アジとつかないアジの仲間~

アジ 魚種別釣りガイド

多彩なフィッシュイーターを誘惑する生命感あふれる金属、それがメタルジグである。 タイプを分ける決め手となるのが重心のバランスだ。動かし方やメリットをタイプ別にまとめた。

意外とたくさん!?アジの種類を知ろう!

解説◎工藤孝浩(神奈川県水産技術センター 内水面試験場)

この記事は「月刊つり人 2021年1月号」の記事を再編集しています。

世界に31属148種、日本に24属61種が分布するアジ科の魚たち。
沿岸部に生息し、釣り人を楽しませてくれるものから普段はなかなかお目にかかれないものまで。
日本近海に生息する18種類のアジ科の魚を神奈川県水産技術センター内水面試験場の工藤孝浩さんに解説していただいた。最終回はアジとつかないアジの仲間や、ギガアジについてご紹介!

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解説◎工藤孝浩(神奈川県水産技術センター 内水面試験場)

アジとつかないアジの仲間

 

 日本産アジ科魚類の24属のうち、7属には「アジ」という名がつかない。それらに共通する形質は稜鱗をもたないことで、その代表格が、ブリ、カンパチ、ヒラマサの「青もの御三家」を擁するブリ属(Seliora)である。ブリ属以外にも釣りの対象魚が数種あるが、一般の方々にはなじみが薄いマイナーな種が多い。以下に、メジャーなブリ属を除く各属の代表種を紹介する。

 

ツムブリ Elagatis bipinnulata(ツムブリ属)

aji-zukan (15)

 体は細長い紡錘形。背は暗い青緑や藍色で、体側中央付近に鮮やかな2本の縦線が走る。尾柄部に小離鰭がある。沖合~沿岸の表層に大きな群れで生息し、浮遊物やパヤオにつく習性が強い。引きが強いので釣って面白く、秋~冬の旬には非常に美味になる。

 青森県~九州南岸の日本海・東シナ海・太平洋沿岸、伊豆-小笠原諸島、琉球列島に分布する。尾叉長100cmを超える。

 

アイブリ Seriolina nigrofasciata(アイブリ属)

aji-zukan (16)

 体はやや細長く側扁し、吻は丸い。第1背鰭は黒く、体側上半に斜めの横帯が並ぶ。臀鰭基底は短く、その起部は第2背鰭起部よりもはるか後方。水深20~150mの大陸棚上の沖合の岩礁に単独で生息する。

 新潟県~山口県の日本海沿岸に散発的にみられ、茨城県~九州南岸の太平洋沿岸、東シナ海陸棚域、沖縄島に分布する。尾叉長50cmになる。

 

イケカツオ Scomberoides lysan(イケカツオ属)

aji-zukan (17)

 体は細長くよく側扁し、とがった吻と大きく裂けた口をもつ。背鰭棘は交互に左右に傾く。体側に側線をはさんで2列の暗色の斑点が並ぶ。沿岸浅所~やや沖合の表層から水深100mに単独または小さな群れで生息する。

 茨城県~九州南岸の太平洋沿岸(幼魚が多い)、屋久島、琉球列島に分布する。尾叉長50cmになる。

 

カイワリ Kaiwarinus equula(カイワリ属)

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 体は菱形に近く、よく側扁する。稜鱗は側線直走部の全体にわたって発達し、体側に7本前後の暗色横帯がある。水深200m以浅の砂泥底に小さな群れで生息する。非常に美味で根強い釣りファンがおり、相模湾では専門ねらいの乗合船も出ている。

 北海道~九州北岸の日本海沿岸、九州西岸、北海道~九州南岸の瀬戸内を含む太平洋沿岸、東シナ海陸棚域、伊豆-小笠原諸島(少ない)に分布する。尾叉長47cmになる。

 

ギガアジについての考察~クロアジ定着化仮説~

 日本周辺のマアジ資源についての常識は、おおむね次のようなものである。東シナ海に大産卵場があり、そこで産まれた卵や稚仔は黒潮と対馬暖流によって運ばれ各地で成長する。1歳魚以上では春夏にエサを求めて北上し、秋冬に越冬と産卵のために南下する。6歳で35㎝前後に達し、寿命は15歳前後。また、東シナ海を主供給源とする主群のほか土佐湾や相模湾など各地で発生するローカル群が存在し、資源水準が低下するとローカル群の存在が顕著になる。

 これは主に東シナ海における研究から導かれたもので、ローカル群の研究は非常に少ない。相模湾における最新の研究では、大きさと年齢は25cmを超えると相関しなくなること、10 歳超えはゴロゴロいて23歳も見つかるなど、先の研究結果を覆す事実が次々と明らかになった。またアジ図鑑でも触れたように、〝クロアジ型〟と〝キアジ型〟の2型が知られるが、主群=クロアジ型、ローカル群=キアジ型と単純にくくられるものではなく、型ごとの大きさと年齢を調べた研究は信ぴょう性に乏しい。

 ここで注目されるのが、40cmを超える〝ギガアジ〟である。既知の成長式からはみ出す常識外れの超大型は、いったい何者なのだろうか?

 

aji-zukan (19)50cm オーバーの壱岐のギガアジ。メタルジグで釣りあげた

 私は、ギガアジは年齢を重ねた高齢個体ではなく、極めて速く成長した個体であると推測する。その大きな根拠は、私が手にした最大48cmの年齢が、耳石を用いた査定の結果わずか12歳であったことだ。そして、本来は沖合を広く回遊するクロアジが沿岸に定着した結果、とんでもないスピードで成長してギガアジになるという〝クロアジ定着化仮説〟に行きついた。

 ざっくり言えば、「少ないエサで泳ぎ回る極めて燃費がよいクロアジが、エサに恵まれて動かなくなるとどんどんデカくなる」ということだ。比較表をもとに読者諸兄も仮説を検証していただきたい。

 

aji-zukan (21)アジングで掛けた48㎝のギガアジ。佐田岬ではこのクラスがねらって釣れる

文書名050-054ajizukan_graph

 

 


 

 

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