多彩なフィッシュイーターを誘惑する生命感あふれる金属、それがメタルジグである。 タイプを分ける決め手となるのが重心のバランスだ。動かし方やメリットをタイプ別にまとめた。
意外とたくさん!?アジの種類を知ろう!
解説◎工藤孝浩(神奈川県水産技術センター 内水面試験場)
この記事は「月刊つり人 2021年1月号」の記事を再編集しています。
世界に31属148種、日本に24属61種が分布するアジ科の魚たち。
沿岸部に生息し、釣り人を楽しませてくれるものから普段はなかなかお目にかかれないものまで。
日本近海に生息する18種類のアジ科の魚を神奈川県水産技術センター内水面試験場の工藤孝浩さんに解説していただいた。第2回目もアジ科の魚をご紹介!
解説◎工藤孝浩(神奈川県水産技術センター 内水面試験場)
目次
コバンアジ Trachinotus baillonii(コバンアジ属)
体は菱形でよく側扁する。側線に稜鱗はなく、背鰭棘は鰭膜で連結せず、背せびれなんじょうぶきぶ鰭軟条部起部は臀しりびれなんじょうぶきぶ鰭軟条部起部の直上付近にある。側線に沿って2~3個の明瞭な黒斑がある。沿岸浅所の砂泥底の下層に小さな群れで生息する。幼魚は波打ち際にも現われる。
相模湾~九州南岸の太平洋沿岸、伊豆-小笠原諸島、琉球列島に分布する。尾叉長30cmになる。
イトヒキアジ Alectis ciliaris(イトヒキアジ属)
体は高く、ややいびつな五角形で、よく側扁する。第1背鰭はほとんど見えない。幼魚の第2背鰭と臀鰭の前部鰭条が糸状によく伸長することが名の由来で、長く糸を引いて泳ぐ姿はアンドンクラゲ類への擬態と考えられている。内湾や沿岸の水深100m以浅に生息する。
北海道~九州南岸の日本海・東シナ海・太平洋沿岸(日本海沿岸と北海道から茨城県以北の太平洋には幼魚が多い)、東シナ海中部の大陸棚縁部域、伊豆-小笠原諸島、琉球列島に分布する。尾叉長100cm以上になる。
ギンガメアジ Caranx sexfasciatus(ギンガメアジ属)
ギンガメアジ属の代表種で、本属としては体高がやや低い。鰓蓋上部に明瞭な黒斑があることが最大の特徴。眼は大きく脂瞼(しけん:眼を覆っている半透明の膜)が発達する。内湾やサンゴ礁の沿岸域に群れで生息し、ときに大群を成す。幼魚は「メッキ」と呼ばれ、高水温期には南日本の河川汽水域にも生息しルアー釣りの好ターゲットとなる。
若狭湾~山口県の日本海沿岸、津軽海峡~九州南岸の太平洋沿岸(日本海と茨城以北の太平洋は幼魚で少ない)、九州西岸、伊豆-小笠原諸島、琉球列島に分布する。尾叉長90cmになる。
ロウニンアジ Caranx ignobilis (ギンガメアジ属)
体は側扁して高く、頭部が張り出している。眼の位置は高く、吻端よりはるか上にある。内湾やサンゴ礁などの沿岸浅海域に生息し、成魚はルアー対象魚。本州沿岸における越冬は稀だが、東京湾ではギンガメアジとともに温排水口周辺で越冬する(本種とギンガメアジの掲載写真はいずれも東京湾で釣られた越冬個体)。
茨城県~九州南岸の太平洋沿岸、九州西岸(いずれも幼魚が多い)、伊豆-小笠原諸島、琉球列島に分布する。尾叉長150cm以上になる。
カスミアジ Caranx melampygus(ギンガメアジ属)
口が小さく上顎の後端は眼の中央下に達しないこと、体側には細かな黒点と青色点がちりばめられ、生時に体の周囲や垂直鰭が青く輝き、胸鰭が明瞭に黄色いことから同属の他種から区別できる。内湾やサンゴ礁などの沿岸に群れで生息する。
相模湾~九州南岸の太平洋沿岸・九州西岸(いずれも幼魚が多い)、伊豆-小笠原諸島、琉球列島に分布する。尾叉長60cmになる。
オキアジ Uraspis helvola(オキアジ属)
体は楕円形で、稜鱗は側線直走部の全域にわたってある。第2背鰭と臀鰭の前部に鎌状部がなく、幼魚では大きく広がる。生時は7本の幅広い横帯があるが、死後は黒ずむ。成魚になっても沖合を漂う流れ藻などにつく習性があり、「モクアジ」とも呼ばれる。
青森県~九州南岸の日本海・東シナ海・太平洋沿岸沿岸に分布し、瀬戸内海で稀にみられる。尾叉長40cmになる。
シマアジ Pseudocaranx dentex(シマアジ属)
体はやや長く、よく側扁する。上顎が突出し、背鰭と臀鰭の最後の軟条が小離鰭状になり、生時は体側中央部に黄色い縦帯が走る(大型個体では不明瞭)。日本周辺の“シマアジ”とされる種には、脊椎骨数が異なり遺伝的にも区別できる2種が含まれており、海外産を含めて分類学的再検討が必要。超がつく高級魚で、釣りの難易度とともに人気も高い。
新潟県~九州北岸の日本海沿岸、青森県~屋久島の太平洋沿岸(日本海と茨城県以北の太平洋は幼魚で少ない)、九州西岸、伊豆-小笠原諸島、沖縄島以南の琉球列島沿岸に分布する。尾叉長100cmになる。
クロヒラアジ Carangoides ferdau(ヨロイアジ属)
体はやや高くよく側扁し、吻は丸い。稜鱗は側線直走部の後半1/2以上にわたってある。体に幅が広く尾の向きに屈曲した暗色横帯がある。サンゴ礁など沿岸浅所に生息し大きな群れはつくらない。
相模湾~九州南岸の太平洋沿岸(相模湾・駿河湾は幼魚のみ)、琉球列島に分布する。尾叉長40cmになる。