『つり人』2019年3月号掲載の「管理釣り場のトラウトに挑戦!」で、それぞれ2万円でお気に入りのタックルをそろえた女性2人。見事、ニジマスを手にしたが、今回はいよいよ春の渓流にチャレンジする。
流れの中でのルアー操作のコツ
写真・文◎井上尚之
『つり人』2019年3月号掲載の「管理釣り場のトラウトに挑戦!」で、それぞれ2万円でお気に入りのタックルをそろえた女性2人。見事、ニジマスを手にしたが、今回はいよいよ春の渓流にチャレンジする。
◆前編「準備すべき道具と遊漁について」はこちら
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渓流釣りの魅力。押さえておくべき2つのコツとは?
日本は山間部が多く、海や湖と比べても、川が最も身近なフィールドという地域は多い。そこが渓流であれば、宝石のようなきれいな魚が泳いでいて、景色も四季折々に楽しめる。
まずフィールドに立つだけで幸せになれる釣り。それが渓流釣りだから、2人のような「釣りはこれから!」というアングラーにも、この記事を見てまず行ってみようと思ってもらえれば幸いだ。
誰でも最初は川を歩くだけで楽しい
今回釣りをしたのは、山梨県桂川の支流。ねらいは川で育ったヤマメ。今年の桂川は解禁当初から比較的釣りやすい日が続いたため、あわよくばという思いで川に向かった。現地では私の友人でトラウト・ルアーフィッシングが上手な、藤本晃大さんと渡辺久範さんにも同行していただいた。
渓流に出て、たとえば管理釣り場と最も大きな違いとなるのが、「川が流れている」ということ。この「流れ」を使いこなすことができれば、釣れるチャンスはぐっと広がる。そのために、心掛けるべきことが2つある。
最初は上流にキャストし流れより速く巻く練習でウオームアップ
1つ目は、ルアーの巻きスピード。当たり前のことだが、ルアーは前から水流を受けることでアクションする。ポンドタイプの管理釣り場のような、止水の釣り場であれば、どの角度にルアーを投げても、巻くスピードは一定でよい。しかし、川の水は流れているから、常にルアーの前方から水流を受けさせるには少々コツがいる。たとえば、自分が川の上流側に立ち、下流側にルアーを投げた場合。ラインを張っていれば、川の流れが常に当たるので、それだけでルアーは泳いでくれる。問題は自分より上流にルアーを投げた場合だ。ルアーはどんどん自分のほうに流れてくる。だから、ルアーを動かすには、流れより速く巻いてあげる必要があるのだ。この「流れより速く巻く」ことが、渓流のルアーフィッシングでは最初の難関。ルアーが着水したら、すぐ巻けるように「右投げ左巻き」もしくは「左投げ右巻き」を習得しよう。
2つ目は、流れより速く巻けるようになったら、今度は「流れを感じながら巻く」ことだ。ルアーは動いてさえいれば魚が釣れるわけではなく、そのルアーが魚を誘惑するうえで理想的な「巻きスピード」というものがある。川の流れは複雑だから、一定のスピードで巻いていても、水流の変化によってルアーが動きすぎたり、動かなくなったりする。だからまずは「巻くだけで釣れて」、引き抵抗で「細かく振動する」スピナーを使おう。サオ先に伝わってくる振動のピッチで、ルアーがどういう動きをしているのかが直感的につかみやすい。抵抗が軽くなったらもう少し速く巻いて、重くなったらもう少しゆっくり巻いてみる、というぐあいだ。
「流れより速く巻く」ことと「流れを感じて巻くスピードを変える」。この2つさえできれば、もう釣れたも同然。そして、その2つのことをやりやすくしてくれるのが、PEラインの存在になる。今まではタックルに慣れていないこともあり、ナイロンラインを使用していたが、前述のとおり、渓流での釣りは水流を感じながら巻くことが大きなポイント。PEラインはナイロンに比べて圧倒的に伸びが少ないから、ルアーの振動や抵抗をダイレクトに感じ取ることができる。また、イトフケの出やすい釣りでも絡みづらいのもPEラインのよい点だ。PEラインを使う場合、ショックリーダーが必要になるが、フロロカーボンの1.2号をサージャンズノットまたは電車結びで充分。非常に簡単に結べて、強度も期待できる結びだ。
カンタン渓流デビューの心得
●ウエーダーは安くてよいのでサイズを確かめて買う
●偏光グラスは必ず用意
●ラインはPE(おすすめは0.4号/4ポンド)を使う
●ルアーは3~4g。メインはスピナーが使いやすい
●「右投げ/左巻き」「左投げ/右巻き」どちらかは
マスター
●上流に投げ、流れより速く巻く感覚を覚える
●上記ができたら、流れに応じた巻き速度を意識する
●ウエーダーは安くてよいのでサイズを確かめて買う
●偏光グラスは必ず用意
●ラインはPE(おすすめは0.4号/4ポンド)を使う
●ルアーは3~4g。メインはスピナーが使いやすい
●「右投げ/左巻き」「左投げ/右巻き」どちらかは
マスター
●上流に投げ、流れより速く巻く感覚を覚える
●上記ができたら、流れに応じた巻き速度を意識する
かなこさん(上)、ふーこさん(下)ともに最後は開けた区間でニジマスをキャッチ
さて、そうして出かけた「初渓流」だったが、この日は春の陽気続きから一変、気温が下がり雨もぱらついたり、なかなか厳しい日となった。それでも夕方には、なんとか2人ともニジマスをキャッチ。初めてのヤマメはお預けとなったが、近く再挑戦を誓って川を後にした。
「師匠が釣ったきれいなヤマメ、つるんと美しくて感動しました! うどんも美味しかったし、また川に来たいです!」とかなこさん。「川にバシャバシャ入れるのが楽しかった! 次こそヤマメ釣りたい!」とふーこさん。そう、渓流釣りは誰でも気軽に楽しめるのである。
お昼は地元名物の吉田うどん。渓流釣りはちょっとした日帰り遠足だ
川を案内してくれた師匠はしっかりヤマメをキャッチ。ぜひまたチャレンジしたい
この記事はつり人2019年6月号でも読むことができます
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2019/5/16