釣果が出やすく、家族サービスができる場所といえば海上釣り堀。釣った魚を美味しく調理すれば、家族に喜ばれること間違いなしだ。
初心者でも食べて美味しい大ものが釣れる!
佐藤直樹◎レポート
この記事は『つり人』2016年6月号の記事を再編集しています
釣果が出やすく、家族サービスができる場所といえば海上釣り堀。釣った魚を美味しく調理すれば、家族に喜ばれること間違いなしだ。今回はビギナーでも迷わずデビューできるように都心から1時間、三浦半島城ヶ島にある『J’s Fishing』で店長を務めた佐藤直樹さんに海上釣り堀のイロハを教えていただいた!
佐藤直樹◎レポート
昭和55年生まれ。横浜在住で釣り一筋、「釣りは理屈とイメージ」。ルアー、エサ問わず、常に全力で魚を追いかけるマルチアングラー。某有名釣り具店に13年勤務した後、城ケ島海上イケス釣堀『J’s Fishing』の店長を務めた
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海上釣り堀とは
海上釣り堀とは、名前のとおり海上に設置された釣り堀で、浮いた桟橋に設置されたイケスで釣りをするため、船釣りに比べ船酔いの心配等が少ない。マダイ、ブリ、シマアジといった高級魚が手軽に釣れるとあって、釣り初心者から子どもや女性、年配の方と幅広い層に人気がある今注目の施設だ。
ただし釣り掘といっても、自然に近い環境下で賢い魚たちを相手にするため、侮ると釣果ゼロということも。海上釣り掘ならではの難しさと面白さがあるため、通うマニア層も多い。
ファミリーで楽しむのにぴったりの海上釣り掘
海上釣り堀にはさまざまなタイプがあるが、「J’s Fishing 城ケ島海上イケス釣堀」は渡船を使わずに堤防から行ける
海上釣り堀のシステムとルール
基本システムは、各釣り掘の料金体系や営業スタイルによって異なるが、「釣り放題方式」と「買い取り方式」の大きく2つに分けることができる。「釣り放題方式」は料金定額でやや高額だが、釣った分の魚はすべて持ち帰りできる。「買い取り方式」は初期費用こそ低額だが、別途釣るたびに魚代が発生するため釣りすぎには注意が必要。
釣りをする前にまずは受付をして、料金の支払いとエサの購入。その後、釣り座の抽選があり、釣り座にて釣りの準備。合図で実釣開始となる
ルールに関しても各釣り掘によって異なる。持ち込みザオの制限(長さ、本数)、エサ・仕掛けの持ち込みの可否、仕掛けの制限、ルアー禁止等、事前によく確認し、釣り掘に合わせた準備をして釣行しよう。基本的に寄せエサは禁止。釣行後の余ったエサはゴミ箱かスタッフへ。残ったエサをイケスに撒くと、魚が満腹になり釣れなくなってしまうことがある。周りの人にも迷惑をかけてしまうので絶対に止めよう。
マナーに関しては、通常の釣りと同様。周りの人に挨拶するなど、配慮した行動を心掛け、トラブルのないように楽しみたい。桟橋や筏の上を走り回ったりすると魚は怯えてしまうので、子連れの際は特に目を離さないこと。海上では風が強く吹くので、ゴミは飛ばないように気を付け、荷物等はまとめておく。釣り座は公平にするため、抽選で決める所が多い。固定なので、勝手に移動したり人の釣り座に仕掛けを投げ入れたりしないようにする。
海上釣り掘独特なのが、青ものが掛かったら「青で~す!」と必ず叫ぶこと。青ものコールがあったら周りの人はオマツリしないよう素早く仕掛けを上げ、釣りあげるまで待つのがマナー。オマツリして逃がしてしまうと、掛けた人に迷惑をかけるだけでなく、イケス内の魚の活性も落ちてしまう。全体で協力して釣りあげることが重要。慣れていない方を見かけたり、大きな魚を掛けた人がいたら、積極的にタモ入れの手伝いをしてあげたい。
海上釣り堀でねらえる魚種
ねらえる魚は釣り掘によって異なるが、マダイがメインの所が多い。シマアジ、カンパチ、ハマチ(ブリ)、ヒラメ、イサキ、ハタ等。基本的に養殖されている魚種が中心で、季節によって変わった魚種を放流し、楽しませてくれる釣り掘もある。
海上釣り堀の主なターゲット
イサキ
カンパチ
シマアジ
ヒラメ
ブリ
マダイ
イサキ
カンパチ
シマアジ
ヒラメ
ブリ
マダイ
海上釣り掘で使う道具と仕掛け
最近では海上釣り掘用の釣り竿もメーカーから発売されている。3~4号の3.5m前後が一般的で、イメージとしてはやや短めで硬い万能磯竿といった所だろう。しかし最近では海上釣り掘の奥深さから、より繊細なアタリを捉える食い込み重視の釣り竿や、ウキ釣りではなく、フカセ釣りや探り釣り用の釣り竿までリリースされている。
ただし、シーバスロッドでも代用は可能だ。軟らかい釣り竿で青ものを掛けると、周りに迷惑をかける場合もあるので、ねらう魚種や仕掛けに応じた竿の硬さで挑むのが望ましい。リールに関しては3000~5000番の大きさで、メインラインとしてナイロン4~6号かPE1~2号を巻いておく。遊動式のウキ釣りが基本で、ウキの大きさは2~5号、オモリもそれに合わせる。オモリはクッションタイプのほうが魚の瞬間的な引きに耐えられ、バラシも減るのでおすすめ。仕掛けはハリス3~6号とねらう対象魚に合わせる。
魚を入れるスカリやネットはレンタルできる釣り堀がほとんど
レンタルタックルが充実しており、状況を知らずに自前のタックルを買い揃えるよりまずは借りてみるのがおすすめ
海上釣り掘の基本的な仕掛けは遊動式のウキ釣り仕掛け。途中ゴムクッションを介し大ものの引きを吸収する
ただし、ほとんどの海上釣り掘ではレンタルタックル(釣り竿一式)が整っていて、手ぶらで行っても遊べる。何も分からないでタックルを持って行って失敗するよりも、まずはレンタルタックルを借りて、その釣り掘ではどんなタックル、仕掛けが使われているかを把握してから、マイタックルをセレクトするとよいだろう。
また、必須アイテムともいえるのが「タナ取りオモリ」。釣れる魚やその日の状況に応じてタナは変える必要がある。釣り具店に海上釣り掘コーナーがあれば売っている。事前に用意することをおすすめしたい。
海上釣り堀で釣れるエサの選び方
受付を済ませ、釣り座が決まったらいよいよ実釣となるわけだが、イケス内にはさまざまな魚がいる。ねらう魚を釣り分けるには、釣り堀の形状や魚の習性に合わせてタナ、エサを選択する。また、季節・水温によっても異なってくる。マダイ、ヒラメ、青ものは中層~底。シマアジ、イサキは表層~中層。
ペレットで育ったマダイ、シマアジ、イサキ等の養殖魚には練りエサが効く。また、大型のマダイや青もの等にはイワシ、キビナゴ等の身エサ。生きエサは青もの、ヒラメねらいに抜群の効果がある。
使うエサは?
エサは大きく分けて練りエサとエビ、冷凍イワシ等の身エサ、生きアジ等の生きエサがある。ルール、制限、持ち込みの可否等があるので要事前確認。その日の状況によって有効なエサは変化するので、あるていど種類を用意して対応する。釣れている人やスタッフにエサを聞き、現地で購入するのもよい。
イワシ、キビナゴ
エビやサンマの身エサ
練りエサ類
エサは大きく分けて練りエサとエビ、冷凍イワシ等の身エサ、生きアジ等の生きエサがある。ルール、制限、持ち込みの可否等があるので要事前確認。その日の状況によって有効なエサは変化するので、あるていど種類を用意して対応する。釣れている人やスタッフにエサを聞き、現地で購入するのもよい。
イワシ、キビナゴ
エビやサンマの身エサ
練りエサ類
海上釣り堀で釣果を伸ばすテクニック
何よりもまずタナ合わせが重要。潮位や天候で変わるのでアタリがなければタナを変える。また、小さいアタリで食い込まない場合はエサかタナが違うことが多い。最も気を付けたいのがヒットした魚をバラしてしまうこと。食いが立っているのに、1発のバラシで食いが止まってしまうことがよくあるので、掛けたら慎重にやり取りし確実に釣りあげたい。
早アワセもバラシの原因の1つ。マダイは前アタリが出ることが多く、エサを口に入れたり出したりしている時に合わせてしまうと、上アゴの硬い所に掛かってしまう。この硬い所はハリが貫通しないのでタモ入れ間際でポロリと外れてしまうことが多くなる。ウキを持っていくほどの本アタリでアワセを入れ、マダイのカンヌキと呼ばれる口の横にハリ掛かりさせるのがバラシを減らすコツだ。
投入後、サオやウキを動かす人ほど釣れない傾向がある。イケスの中では潮流もあるため、仕掛けを自然に流し、魚に警戒させないのがコツ。適度な誘いは効果的だが、過剰な誘いは逆効果になる。ゆっくりとハリス分を上げ、再びエサがゆらゆらと落ちる程度のソフトな誘いがよい。
海上釣り堀では、釣果はほぼ確実、釣って楽しい、家に帰ってからは料理という楽しみもある。ぜひ海上釣り堀へ足を運んでみてほしい。
子どもにヒットしたのはロッドのバットから曲げる大もの。思わずお父さんが助けに入った
最近は釣りガールもよく訪れる
マダイ、カンパチ、シマアジが大漁! こんな大釣りを味わえるのも海上釣り堀ならでは
手ぶらでも安心!防波堤から歩いて行ける海上釣り堀!
J’s Fishing 城ケ島海上イケス釣堀
http://js-fishing.com/
住所:神奈川県三浦市三崎町城ケ島650-70
交通:電車:京急久里浜線「三崎口駅」よりバスで30分、バス:京浜急行バス「城ケ島より徒歩1分、車:三浦縦貫道路・林ICを降りてR134を南へ。県道26号線へ入り城ヶ島入口左折(約10キロ)