クロダイのポイントもまた、ウミタナゴと同じく藻場周りが有望である。浅場に生い茂ったホンダワラやカジメの林はクロダイの良質な産卵場だ。また、藻場はエビなどのエサも豊富で、外敵から身を守る格好の隠れ家でもある。小磯の多くは砂地と岩礁が混在している。海底の色が黒く見える部分は根であり、砂地は青白く見える。
クロダイのポイントと探り方
まとめ◎編集部
クロダイ、メジナねらいで小磯が化けるのが春である。それは産卵行動を控えた荒食いの時期だからだ。特にクロダイは乗っ込みの最盛期! 大型が回遊する確率は高い。
この記事は月刊『つり人』2020年5月号に掲載のものを再編集しています。目次
- クロダイ後編:深場に続く溝がポイント
- クロダイ後編:ウキ下の決め方
- クロダイ後編:エサ取り対策
- クロダイ前編:春のキーワードは「乗っ込み」
- クロダイ前編:小バリも用意!
- ウミタナゴ編:ウミタナゴ釣りはノベザオでOK
- ウミタナゴ編:ウミタナゴのポイントは藻場の周り
◆関連動画:
初心者女子でも入れ食い!? 身近な磯 ウキ釣り入門
深場に続く溝がポイント
クロダイのポイントもまた、ウミタナゴと同じく藻場周りが有望である。浅場に生い茂ったホンダワラやカジメの林はクロダイの良質な産卵場だ。また、藻場はエビなどのエサも豊富で、外敵から身を守る格好の隠れ家でもある。小磯の多くは砂地と岩礁が混在している。海底の色が黒く見える部分は根であり、砂地は青白く見える。これもポイントの目安になる。青白く見える砂地の溝が沖の深みまで延びていれば、乗っ込みの移動経路になりうる。こうした溝となる根際やカケアガリに沿ってクロダイは回遊する。加えて砂地であれば海底にエサを溜めやすい。
基本は根と砂地の境目をねらう。深場に続く溝があればチャンス!
これ以外に、天候などの諸条件を考慮してクロダイの活性が上がりやすい場所に入れば釣果の確率がアップする。「ニゴリ」と「波っ気」があれば好条件。さらには「満潮」と「マヅメ」が小磯にクロダイが回遊するキーポイントとなる。小磯は総じて浅いことから、溝の奥までクロダイを呼び込むためにも「魚が動く時間帯」をねらう必要があるからだ。それが潮位の高い時間帯であり、食い気の立つ朝夕のマヅメ時だ。ちなみにマヅメ時と満潮が重なる春の潮回りは大潮~中潮である。上げいっぱいから下げ3分あたりがゴールデンタイムといえる。下げ潮時は、表面上の潮流がなくても必ず沖に出る流れが生じるので寄せエサを効かせやすい。
ニゴリはクロダイの好条件。シケ後はチャンスだ
また波気があってサラシが広がる状況では、大型メジナが食ってくることもある。小誌発売のころは終盤ではあるものの、クチブトメジナも乗っ込みの最中である。思わぬ小場所で大型と出会える確率は高い。
ウキ下の決め方
ウキフカセ釣りのキモはウキ下のセッティングである。小磯の釣り場は浅い。目測で水深を測るのもよいが、底取りオモリをハリに付けて、ウキ下をきっちりと測るのが確実だ。海底が砂地であれば、水深よりもウキ下をやや長めに取り、ハリスを底に這わせてねらうような釣り方も効果的だが、根の際や根の上をねらう時は根掛かりしない程度の底付近のタナを意識することだ。
アタリをしっかりだす。食い込ませるために、意識してほしいのは潮や風の抵抗でエサが引っ張られないようにすること。ラインが膨らんでエサを引っ張るような恰好になると、魚がエサをくわえた時に違和感を抱き吐き出してしまう。付けエサが先行し、魚が食い込みやすいように仕掛けを運ぶ。そのためにはミチイトをウキの潮上や風上に置くメンディングも重要な操作である。なお、魚が食いやすい仕掛けの状態は投入時に8割が決まる。風上方向にラインを置くためには風上に向かってキャストする。また仕掛けが着水する直前にラインをピンと張って穂先からウキまでを真っ直ぐにしてやることだ。
エサ取り対策
クロダイ釣りで立ちはだかるエサ取りの中で最も厄介なのはクサフグだろう。ハリスを傷付け、時に噛み切る。ひどい時は1投毎にハリが取られてしまうこともあり、海底まで付けエサを届けることが全くできないこともある。フグだらけの釣り場は早く見切ることも得策だ。
クサフグは小磯で最も遭遇しやすいエサ取り。ハリスを噛み切るのが厄介
ボラの回遊はよい兆し。その下にはクロダイがいる可能性もある
対策としてはエサを変える。練りエサ、コーンなどにするのも一手である。また付けエサを包むことができるマルキユー「食わせダンゴ」も効果的。ハリが取られすぎる時はハリを3号、4号と1サイズ大きくする。エサを手前と沖に打ち分けて、付けエサをその間に入れて底まで届いたところで寄せエサに合わせる。透明度の高い釣り場であれば、フグの動向を観察できるので、動きを見て仕掛けを投じるポイントを考えてもよい。そして付けエサが残った時がチャンスである。うるさかったエサ取りが急に静かになった時合は最大限の集中で挑みたい。エサ取りといえばボラも寄せエサに反応する。「ボラの下にはクロダイがいる」という金言があるが、水面にボラが回遊している時にはその下にクロダイも回遊している可能性が高く、チャンスととらえてよいだろう。
乗っ込み期のクロダイは基本的に食い気がある。ウキを海中深くまで消し込んでくれる明確なアタリも多く出る。が、クロダイは居食いもする。エサを噛んでは吐き出して一気に吸い込まない。なお、居食いとは反転せずにその場でモグモグと捕食している状態である。クロダイ釣りのエキスパートの間で「キンク」と呼ばれる現象があるが、それはチモト上のハリスがグネグネと不自然に癖が付くことを指す。クロダイの歯はすり鉢状である。その歯でハリスを噛まれるとキンクが生じる。アタリが取れない不名誉な証拠であり、ねらいのポイントにクロダイが寄っている証拠でもある。ちなみにキンクはハリ先を隠して装餌する練りエサ使用時によく見られ、オキアミ使用時はあまり見られない。
浅場のクロダイはよく引く。根に巻かれたり、藻の中に突っ込まれることもあるが、やり取りのコツは強引にサオを曲げないことだ。サオの弾力を充分に活かして魚が引いたらイトを出して無駄に暴れさせないように引きをいなす。
クロダイはサオの弾力を生かしてじっくりとためていれば浮く
クチブトメジナも接岸している可能性は高い