水面を割るエキサイティングなバイトが快感なナマズのトップウォーターゲーム。今回はダイワのナマズルアー開発を担当している田井中佑基さんがノイジープラグのアクションと音の特徴を教えてくれた。
水面を割るエキサイティングなバイトが快感なナマズのトップウォーターゲーム。今回はダイワのナマズルアー開発を担当している田井中佑基さんがノイジープラグのアクションと音の特徴を教えてくれた。
写真と文◎編集部
流れの中でも安定するロール主体のアクション
ナマズ釣りが楽しめるフィールドは流れやボサがある河川や水路であることがほとんど。そのため「ナマズ用のトップウォータープラグは強い流れや変化の中でも安定したアクションを出すことができるボディー設計であることが多い」と田井中さんは語る。
ボディーを左右に振るウォブリングが主体のルアーは、水を大きく動かすアピール力に長けている。しかし流れの強いフィールドではボディーの振り幅やアクションのリズムが安定しにくい。一方、進行方向を軸としてパタパタとボディーが倒れるローリングが主体のルアーは流れの中でもボディー姿勢を崩しにくいメリットがある。
「ふく鯰シリーズはローリング主体のノイジープラグです。上部で受けた水流を下方向に逃がすカップ形状を採用することでローリングアクションの割合を高めました。また、幅広設計のカップは着水するとすぐに水を掴むため、アクションの立ち上がりもよくなります」
ナマズは落ち込みや壁際などのピンスポットに居着いている。アクションの立ち上がりのよさは着水直後からバイトチャンスを作り出すことに貢献する。いわばナマズが釣れるルアーの必須条件といえるのだ。
ネチネチアクションでバイトチャンスを増やす
ナマズ用ノイジープラグの多くは丸っこくてバルキーなフォルムである。このボディー形状はピンスポットでドッグウオークをさせやすいメリットがある。「ナマズは視力が弱いんです。側線で獲物を感じ取る。連続してアクションをさせていないとチェイス中にルアーを見失ってしまうことさえあります。つまり、ナマズをバイトに至らせるには、短い距離の間でなるべく多くの波紋を出し続けることです。ふく鯰シリーズはボディー形状だけでなく連続で首を振らせやすい位置にウエイトを配置しています。移動距離を抑えたドッグウオークをさせやすい構造です」
横幅があるボディーはペンシルベイトやポッパーなどの細身のボディーシェイプを持つルアーに比べ、フックがボディーの内側に隠れやすい。これはフックポイントがストラクチャーにタッチする確率を下げることにも一役買っている。
また、ナマズ用トップウォーターはノイジープラグと並んで羽モノも人気。しかし、水面に出ているストラクチャーの隙間をすり抜ける能力は横幅が小さいノイジー系プラグのほうが高い。ゴミ溜まりや水面に顔を出している水草なども乗り越えやすいため、テンポよくポイントを撃っていくことができる。
複合的なサウンドがナマズの聴覚を刺激する
ナマズは聴覚やヒゲなどの感覚器官を駆使してエサやルアーが発する音と振動を感知している。そのためナマズ用ルアーのほとんどは音の要素が重要視されている場合が多い。ルアーが出せる音は内蔵されている球によるラトル音、金属パーツによる金属音やスイッシュ音、カップなどによるポップ音、プラスチックパーツによるノック音など多岐に渡る。パーツやボディーの素材によって音の高さや大きさ、響き方が変わるが、田井中さんはとにかく大きな音が出ればよいわけではないと考えている。
「実際どのような音を好んでバイトに至っているのかは分からないし、反応がよい音は状況によって変わる可能性があります。そのためバランスよく複合的な音を鳴らせるルアーなら幅広いシチュエーションに対応できるのではないかと考えました。さらに派手過ぎる音はナマズがスレる原因になるのではないかとも思います」
ふく鯰シリーズに採用されているのはカップによるポップ音、1個のガラスラトルを使用したラトル音、ブレードがヒートンやボディーにぶつかる時のノック音と金属音の4種類。
「ラトル素材にガラスを使用した理由はブラスラトルやタングステンラトルに比べて高くて軽い音が鳴るからです。ほかのパーツが奏でる音との音量バランスを考慮した選択ですね。ブレードはウイローブレードと比べて水を掴みやすいコロラドブレードを採用しています。大きな回転半径を描くのでヒートンやボディーと接触しやすく、絶えず音を発生させることができます。感覚的な話になりますが、ルアーは信じて投げ続けることが釣果に直結すると思っています。アングラーが『常にナマズを誘い続けてくれている』と信じられるようなサウンドを目指しました」
ふく鯰シリーズは複合的な音を常に奏で続けることでアングラーにも安心感を与えてくれる。ナマズに出会うまでの道のりを一緒に歩んでくれる頼もしいパートナーになるだろう。
ふく鯰シリーズには左右に動く1個のガラスラトルを採用。ラトルそのものが出す音は大き過ぎないのがキモ。他の音との調和を意識したチョイスだ
フロントアイとスイベルを直結することで、コロラドブレードがリアアイにぶつかる位置に来るように設計されている
ふく鯰には#1、だいふく鯰には#1/0のバーブレスのダブルフックが標準装備されている。バーブレスのダブルフックはトレブルフックに比べてスタックを回避しやすいうえに魚体を傷つけにくいという利点もある。ただし、根掛かりの確率が下がるということは魚の口にもハリが掛かりにくくなることと同義。せっかくのバイトを逃さないためにもハリ先のチェックはこまめに行なうようにしよう。
※このページは『つり人 2024年7月号』を再編集したものです。