大阪湾や瀬戸内、九州など全国各地で大人気のテンヤタチウオ。東京湾でも一大ブームとなっている。ここではそんなテンヤタチウオを楽しむための基本的な疑問をエキスパート・高槻慧さんに訊きました!
テンヤ、仕掛け、道具やエサの巻き方など初歩を解説!
回答者◎高槻慧、まとめ◎可児宗元
こちらの記事は『テンヤタチウオ最前線』に掲載したものをオンライン版として公開しています。
大阪湾や瀬戸内、九州など全国各地で大人気のテンヤタチウオ。東京湾でも一大ブームとなっている。ここではそんなテンヤタチウオを楽しむための基本的な疑問をエキスパート・高槻慧さんに訊きました! 船テンヤタチウオをとことん掘り下げた『テンヤタチウオ最前線』掲載記事からテンヤ、仕掛け、道具やエサの巻き方など初歩の部分をオンラインでも特別公開!
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目次
回答者 高槻慧
ダイワフィールドテスター。タチウオ、マルイカ、カワハギ、アジなど、関東を中心としたテクニカル系の釣り物を得意とする。「ノンストップ・バイブレーション釣法」の生みの親。大阪湾タチウオKINGバトル2021ファイナリスト。
東京湾と大阪湾のポイントはそれぞれどのあたり?
A. 東京湾は観音崎~走水沖 大阪湾は神戸沖~淡路島周辺
東京湾では観音崎~走水沖が季節問わず主要なポイント。水深は60~80mといったところ。
大阪湾ではシーズン初期の夏場は神戸沖がメインのポイント、秋から冬場にかけては少し南へ下った洲本沖などの淡路島周辺の水深100m前後までがメインのポイント。
関東、関西とも湾に面した各地の港からたくさんタチウオ船が出船しています。家からアクセスのよい港へ行くもよし、東京湾なら横須賀方面、大阪湾なら神戸方面、泉南方面といったポイントに比較的近い船宿もオススメです。
船の予約の方法は?
A.WEB検索などで船宿を見付けたら電話で事前予約しておこう。
まずはWEB検索などで行きたいエリアのタチウオ船を見付けましょう。
大阪湾ではエサで出船している船はほぼ100%テンヤでの出船ですが、東京湾ではテンビンでの出船のみでテンヤがNGという船宿もありますので、船宿のHPか、電話でテンヤがOKかどうかを確認してください。
行きたい船宿が見つかったら電話で①日時、②釣り物、③人数、④氏名などを伝えて予約しましょう(予約が必要ない船宿も一部あります)。
テンヤの仕掛けはどんな構造?
A. オモリとハリが一体化したシンプルな仕掛け
テンヤというのはオモリ(ヘッド)に大きな掛けバリが直接くっついた形のとてもシンプルな構造の仕掛けです。ハリの背中の部分には「剣」と呼ばれる突き出た部分があって、ここにエサを上から刺し、さらに付属の「エサ巻きワイヤー」で巻いて固定します(詳しいエサの巻き方は後述)。
タチウオがエサを咥えると、咥えた部分が支点になり、ヘッド部を持ち上げることでシーソーのようにハリ側が下がり、タチウオの顔周りにハリが刺さる仕組みです。通常、テンヤのパッケージにはエサ巻きワイヤーとリーダーが付属していることがほとんどです。
テンヤのサイズはどれを準備しますか?
A. テンヤの号数は40号or50号釣行前に必ず確認を!
テンヤの号数(オモリの重さ)は船宿により通常40号か50号のどちらか。釣行前に船宿のHPなどで確認してください。
フックのサイズは大きく分けると、①ノーマルの大きなフックが付いたタイプ、②軸の短いショートシャンクタイプ、③小バリタイプがあります。
上からノーマル、ショートシャンク、小バリタイプ
最初は一番基本となる大きめのノーマルタイプを選ぶとドラゴンサイズもバレにくくオススメです。魚の食いが渋い時や魚が小さい場合には②や③が釣りやすいシチュエーションもありますので、慣れてきたら状況に合わせて使い分けてみるのも面白いですよ。
東京湾・大阪湾ではダブルフックはNG
東京湾や大阪湾ではハリが1本のシングルフックが主流です。ハリ先が二股に分かれた「ダブルフック」やアシストフックの装着は、アタリが減ったりオマツリ時などのトラブルの要因になるからです。
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テンヤのカラーは何を用意すればいいですか?
A. 3タイプを使い分ける
カラーは大きく分けて、
①イワシカラーや金銀など無発光な「ナチュラル系」
②夜光やケイムラなど発光する「アピール系」
③紫ゼブラなどナチュラルとアピールがミックスされた「中間系」
の3種類があります。
上からナチュラル系、アピール系、中間系
大阪湾では昔から定番なのが夜光カラー(グロー)で、冬場などの食いが渋い時にはナチュラル系、様々な場面でオールマイティーなのが中間系といった使い分けが基本。東京湾では夜光などのアピール系が効かないシチュエーションが多いので、ゼブラなどの中間系とナチュラル系の2種類を用意してカラーローテーションしていくとよいと思います。
テンヤタチウオのロッドは?
A.『先調子』のテンヤ専用ロッドが◎
テンヤタチウオは仕掛け編で説明したように「引っ掛ける釣り」なので、ロッドに必要な要素として、①ダイレクトな操作とフッキングが可能な硬い胴~穂持ち②アタリを取るための軟らかい穂先を兼ね備えた、いわゆる『先調子』のロッドが向いています。
専用ザオでなくてもエギタコザオ、ヤリイカザオ、アジビシザオといった40号以上を背負える先調子のロッドでも代用は可能ですが、できればテンヤタチウオ専用ザオが扱いやすくオススメです。専用ザオの中でも9:1、8:2、7:3と調子が分かれていますが、初めは真ん中の8:2調子あたりから始めると扱いやすいでしょう。
引っかける釣りであるので先調子のサオが向いている。写真は9:1の極先調子で即掛けの釣りに向いている
テンヤタチウオのリールは?
A. 手巻きの両軸リールor小型電動リール
リールは手巻きの両軸リールでも電動リールでもどちらでも大丈夫です。50m以上の深場をねらうことが多いので電動リールがあると非常に楽です。逆にダイレクトな引きを手巻きで味わいたい、誘いのアクションをより軽快に行いたいという人にはより軽くてコンパクトな手巻きリールがいいかも知れませんね。また、タナの把握がしやすいカウンター付きの物がオススメです。
リールの糸巻量はPE2号を、東京湾なら150m以上、大阪湾なら200m以上欲しいです。タチウオは歯が鋭く、ラインを切られることもあるのでラインは余裕を持って水深の2倍は巻いておきたいです。
浅場中心の釣り場なら手巻きリールでもOKだが、50mより深いところがメインなら電動リールが便利。写真はシーボーグ200J
テンヤタチウオのラインは?
A. リールに巻くのはPEラインの1.5号か2号、テンヤに接続するリーダーはフロロカーボンの8~10号
リールに巻いておくミチイトは、PEラインの1.5号か2号、先述の通り「高切れ」(途中で切れること)のリスクも考えて長さは東京湾で150m以上、大阪湾で200m以上巻いてあると安心です。
また、タチウオの鋭い歯からテンヤを守るため、そして魚が掛かった時、引いた時などの急なショックを吸収するために、ミチイトとテンヤの間には「リーダー」が必須です。リーダーはフロロカーボンの8~10号を2m前後、PEの先に結び、リーダーの先にスナップスイベルでテンヤを接続します。
初心者の方はテンヤに同梱されているリーダーをミチイトとテンヤの間にセットすればOKです。なお、東京湾のタチウオジギングではもうお決まりなのですが、ワイヤーリーダーはアタリが減ってしまったり、金具パーツやワイヤーの切れ端がオマツリ時などのトラブルの元になるためオススメしませんのでご注意を
釣行前に必ず確認を
ミチイトの号数はイトの太さによって水の抵抗が変わるため、船でバラバラだとオマツリの原因となります。船宿により指定がある場合も多いので、テンヤだけでなくラインの号数の指定についても釣行前に確認することをオススメします。ちなみに大阪湾では2号以上、3号以上という指定の船宿も多いです。
ほかに用意するモノは?
A. 釣り開始の前にしっかり準備しておこう。
トレーやタッパー
脂分やドリップの多いエサを使うので、船べりを汚さないためにエサ用の入れ物を船べりに準備しておくとよいです。大きめのハサミ東京湾ではイワシの頭をカットするのに絶対必要です。
ハサミはもちろんラインやリーダー切ったりタチウオを締めるのにも使います。
タオル脂分の多いエサを使うので、タオルが数枚あるとよいです。 スナップスイベルテンヤと接続するスナップは常に多めに持っておくと安心です。不意に開かないように大きめの物がおすすめです。
スナップスイベル
船べりにトレーやハサミ、タオルなどを準備しておく
テンヤにセットするエサの種類は?
A. エサは冷凍イワシが基本 大阪湾ではサンマの切り身も人気
東京湾では大羽イワシと呼ばれる大振りのイワシは頭をカットして使うのが一般的。
イワシは船宿で販売している所もありますが、常備がない船宿も多いので必ず確認の上、スーパーや鮮魚店で各自事前に購入を。
大阪湾では船宿常備のイワシをそのままセットするのが定番
東京湾では大振りの大羽イワシを使用。頭をカットするのが一般的
大阪湾も同じくイワシを使用しますが、サイズは東京湾より小さめで頭をカットせずに使用することが一般的で、基本的に船宿に常備されています。
また大阪湾では近年サンマの切り身も一部で人気ですが、船宿にはない場合が多いので、使いたい場合は事前にスーパー、鮮魚店、エサ店等で事前購入を。
大阪湾ではサンマエサも人気
東京湾ではサンマは×
東京湾ではサンマエサの使用は全面的に禁止されています。他エリアでも使用する場合には禁止エリアではないかをず確認を。
エサのセット方法は?
A.「まっすぐ乗せること」が一番重要頭は強めに、腹はキツ過ぎない程度に
エサの巻き方は、エリア問わず基本は同じです。
大阪湾では大きすぎる場合以外は頭付きのまま使うのが一般的ですが、ここでは東京湾の大羽イワシを使った場合を例に解説します。
まずはエサのサイズ調整をします。フックの後ろから2~3㎝尻尾が出るくらいの長さに合わせて、イワシの頭をカットします。内臓は取っても取らなくてもどちらでもよいですが、イワシが太すぎる場合は内臓を取ってあげるとよいです。
その後、テンヤにイワシを乗せる時に一番重要なのは「まっすぐ乗せる」こと。テンヤのハリ軸の上にイワシの背骨がまっすぐ乗るように気をつけながら巻いてください。ちょっとでも斜めになっているとアタリが減ってしまうので、エサ巻き時や投入の度にエサの姿勢をチェックしてください。
ワイヤーを巻く時は頭側を強めに4~5回巻いてしっかり固定し、お腹から尻尾にかけては緩すぎずキツすぎず巻いてください。ワイヤーが長すぎる場合はイワシを乗せる前に余る分をハリ軸に巻いておくとよいです。
大きめのイワシはテンヤのサイズに合わせて頭をカット。フックから少しはみ出るぐらいがちょうどいい
テンヤのハリ軸の上にまっすぐにセット
頭側をワイヤーでキツめにしっかり巻いて、腹部分はつぶれない程度に巻いていく
曲がらずまっすぐになっているかをしっかりチェック
最後は下のアイに軽く巻き付けるか、ハリの軸に巻きつければOK。
釣り座周りは常に整頓
エサの内臓や脂、ドリップなどが船べりやデッキに付いたり落ちたりした場合には汚れや匂いがひどいだけでなく、滑って危険な場合もあります。エサやエサを巻いたテンヤ、汚れたハサミは船べりに直置きせずにトレーやタッパーの上に置いて、釣り座周りはブラシやスポンジ、タオルなどで常にきれいな状態を保ちましょう。
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