日本の海のルアー釣りはこの魚から始まったといっても過言ではない。美しい、いぶし銀の魚体は、釣り人をどこまでも高揚させる。そのうえ、身近な釣り場でねらえることが何よりもうれしい。
シーバスの生態に加え、ルアー、タックル、アプローチの基本を学ぶ
写真&文◎新保明弘 写真◎つり人オンライン
※この記事は『海のルアー釣り入門』(新保明弘著/2014年出版)を再編集したものです
日本の海のルアー釣りはこの魚から始まったといっても過言ではない。美しい、いぶし銀の魚体は、釣り人をどこまでも高揚させる。そのうえ、身近な釣り場でねらえることが何よりもうれしい。
目次
- 日本では現在、スズキ、ヒラスズキ、タイリクスズキの3種類が知られている
- 天候は釣行前に必ずチェック
- 潮回りや干潮・満潮時刻も忘れずに
- 釣り場に着いたら確認すること
- 【河口のシーバス釣り】河口にもさまざまなタイプがある
- 【河口のシーバス釣り】潮の変わり目を意識して釣行する
- 【河口のシーバス釣り】流れの変化、カケアガリを目安にねらっていく
- 【河口のシーバス釣り】ウエーディング時の注意点
- 【河川のシーバス釣り】流れの変化にシーバスは付く
- 【河川のシーバス釣り】ルアーは速い流れから緩やかな流れへ送り込むのが基本
- 【河川のシーバス釣り】橋桁をねらう場合は流れの変化以外に橋の影も考慮する
- 【河川のシーバス釣り】河川の釣りの注意点
日本では現在、スズキ、ヒラスズキ、タイリクスズキの3種類が知られている
スズキ(マルスズキ)。細身で丸みを帯びた体型が特徴。
●スズキ
青森県から鹿児島県にかけての本州、四国沿岸に広く分布する。成長するに伴い、セイゴ( 30㎝未満)、→フッコ(関西では「ハネ」。60㎝未満)→スズキ( 60㎝以上)と呼び名が変わる出世魚。日本3大白身の1つとしても挙げられる。ヒラスズキと区別するためにマルスズキと呼ばれることもある。小魚を主に捕食するが、エビ、カニなどの甲殻類、イカなどの軟体動物、ゴカイ等の多毛類も捕食する。このためさまざまな釣りのパターンが存在し、人気がある。従来は夜釣りが中心だったが、釣り人の工夫や習性の解明によって、今では昼間でもねらえるようになった。スズキは栄養豊富な汽水域を好み、産卵行動以外で河川内と海を行き来する数少ない魚類。身近なポイントで80㎝、時に1mを超える魚体に出会える魅力的なターゲットだ。
海のルアーターゲットの代表格ヒラスズキ。いぶし銀で体高のある魚体。一度は釣ってみたい魚だ
●ヒラスズキ
太平洋側では千葉県以南、日本海側では石川県以南に生息するとされる。ヒラスズキは、スズキよりも体高があり、目が大きく、尾ビレの付け根が太く力強い。見た目でも判断が付きやすいが、最大の特徴は下アゴに2列のウロコがあることで、スズキと異種確定ができる。
海のルアーフィッシャーの間では、サラシが広がる磯場の魅力的なターゲットとして人気が高い。また、近年はより多くのポイントで、多彩なパターンで攻略できるようになってきた。個人的な意見だが、いぶし銀で、迫力を感じるヒラスズキの魚体を見ると、ほれぼれすること間違いなしである。
●タイリクスズキ
日本で認知されたのが比較的新しい種類。もともとは東シナ海沿岸、中国や朝鮮半島沿岸に分布していたものが養殖で持ち込まれ、逃げ出した個体が繁殖したと考えられている。
体型はスズキに近いが、顔と下アゴが小さい。個体差もあるが、スズキではセイゴまでに消えてしまう斑点がスズキサイズでもはっきりと残るものがいるため、ホシスズキとも呼ばれる。四国や九州では1mを軽く超え、10㎏オーバーがねらえる。関東でも80㎝クラスまでは時折釣れる。私が過去に会ったホシスズキは、スズキやヒラスズキよりも大胆にルアーにアタック してくるイメージがある。
天候は釣行前に必ずチェック
海へ釣行する前には必ず天気予報を確認しよう
天候を事前に確認することは、釣果のほかに、安全面でも大きな意味を持つ。ヒラスズキなど一部の魚種では、やや悪天候のほうが好釣果を見込めることも実際にはある。しかし風が強まったりウネリが入る予報の時は、外洋に面した磯の釣りは見合わせ、単独釣行は絶対に控えたい。
経験を積んでいくと、予報が悪くても気圧配置や風向きから予定のポイントで釣りができると判断が付くこともあるが、この場合も単独釣行は避ける。前日は釣具店やベテランの釣り仲間と相談し、確認することも重要である。
潮回りや干潮・満潮時刻も忘れずに
夕マヅメ。干潮時に釣り場を観察しておくことのほかに、初めて訪れるフィールドでの釣りが夕マヅメ以降の時間帯になる場合は、日中に周囲を確認しておくことをお勧めする。足場のよい釣り場でも心理的な安心感が増すし、実際の安全面のうえでも心強いからだ
これも天候と同じく、釣果・安全面で大きな意味を持つ要素である。初めての釣り場で、すぐに釣りをする場合はなるべく満潮時にポイントに入る。干潮時だと、満潮時は水没する場所が陸になり、心理的にどんどん先へ行ってしまうことがある。すると潮が満ちてきた時に波の入り方が変わってしまったり、来た道が水没したり、乾燥していた足場が濡れて非常に滑りやすくなることもある。満潮から干潮にかけて釣りをすれば、逆のようすが観察できるのだ。
また、初めてのポイントに入る前に、時間が取れれば干潮時に地形を確認することをお勧めする。海底の障害物のようすなども把握でき、本番の役に立つ。磯やゴロタ場では特にである。ウエーディングするポイントでは、障害物による転倒を防ぐことにもつながる。
釣り場に着いたら確認すること
釣り場はみんなで分け合って楽しもう
釣り場に着いたらまず、海の状況と同時に先行者の有無を確認し、ポイントに入れるかどうかを判断する。よい情報はいち早く流れ、釣り場が混雑しやすい。そこで起こるのは釣り人同士のトラブルである。黙って割り込んだり、アングラーを追い越して先のポイントに入る釣り人を時折見かける。「こんにちは、釣れてますか?」「すいません。隣よいですか?」「先に行かせてもらえますか?」人としての当たり前のひと言が、楽しく釣りをするうえで最も大切なテクニックである。