ここ数年、支笏湖は超大ものの話題に事欠かないが、今年も3月下旬、素晴らしいブラウントラウトがSNSをにぎわせた。幸運を射止めたルアーアングラーにインタビュー。
札幌市の岡部裕司さんがジグミノーをセットしてキャストを続けていたら突然ひったくるようなアタリが……!
『North Angler’s 2023年6月号』から衝撃ニュースが飛び込んできたので釣り人オンラインでもお届けします!
ロッドの振り幅から大型だと確信
今シーズンもモンスタートラウトのラッシュを予感させるような一尾が、まだ雪の残る早春にあがった。
2023年3月27日。よい感じの波が立ち、岸際は濁っている絶好の条件下、札幌市の岡部裕司さんはジグミノーをセットしてキャストを続けていた。ポイントは南岸の岩内から94km看板近く。2月に訪れたとき、この日と同じような雰囲気のなか、ニジマスを含めて3尾のトラウトがヒット。当日も期待感は充分だった。
14時ごろ、フルキャストしたあと、立ち上がる波の下1mのレンジをリトリーブするイメージで少し沈め、10巻きくらいしたときだった。リールを巻く手が強制ストップ、ゴーンときてロッドが持っていかれそうになった。魚は沖に向かって一気に疾走。最初は「60くらいのニジマスが掛かったのかと思いました」と述懐する。しかし、沖で暴れた際のロッドの振り幅が大きい。それでデカいブラウンだと確信しました。岡部さんは2年前、85cmのブラウンを釣っている。その魚も相当に強かったが、今つながっている一尾のほうが手ごわかった。
限界を伝えた怪物
「黄色がかったブラウンより、回遊型と思われるシルバーの魚体のほうが強い」と言う。ロッドはエム・アイレ『トゥルーチャボロンTB92MH』、リールはシマノ『ステラC3000MHG』、ラインシステムはPE0.8号+ナイロン12lbを約1.5m Photo by Yuji Okabe
沖で2~3回、巨体をさらけ出して水柱が立つ。そのたび、激しい波音を打ち消すほどのドーンという大砲を撃つような音が響いた。不意に危機を察知してリールに目をやると、120mくらい巻かれているはずのPEラインが少なくなり、うっすらと下巻きが見えていた。リールを巻けなくなり、 主導権を握られた場面もあった。
それでも焦らずに我慢のファイトを続けていると、ジワジワと魚との距離が詰まってきた。少しずつ寄ってくると再び沖に走ったり、右に行ったり、左に行ったり……。インタビュー中、「闘い」 という言葉が出たが、まさに格闘といえるファイトだったようだ。
岸際まで寄せられないことを身体で感じた岡部さんは、気づくと腰くらいまで水に浸かっていた。 そうして自ら魚との距離を縮めるしかなかった。魚の顔が見られるところまで寄せ、ランディングの機会をうかがっていたとき、最後の試練が待っていた。段差フックは2本ともフッキングしていたが、何と1本のハリはケプラーが切れていた……。
岡部さんは自分の目を疑ったが、支笏湖の女神は微笑んだ。「とにかく重く、米俵を引っ張っているような感じでした。ネットに収まったブラウンは神様にみえましたね」。慎重にメジャーを当ててみるとジャスト90cmだった。
6号のケプラーは中間辺りから切れていて、その後は8号に替えたという。また魚に警戒されにくいと考えて愛用していた小型のスナップ#1は変形していた。「いろんな意味で〝限界〟を知ることができました」と振り返る。なお、岡部さんにはNorth Angler’s 2023年6月号のP38『支笏湖チャレンジ』にご登場いただいている。そちらもご覧いただきたい。
フルベイト85(85㎜28g/D-3カスタムルアーズ)
昨年本誌で掲載したブラウントラウト87㎝、サクラマス74㎝は、このルアーで釣れている。今や湖好きのアングラーにとって必携の一本。どちらもカラーはアカキンだったが、今回のブラウンはピンクシャッドで。側面はシルバー&グリーンで一見するとナチュラル系だが、背中は頭部から尾部にかけてオレンジ&ピンクの視認性にすぐれたアピール系。やや太めのボディーシルエットはヒメマスの幼魚を連想させる
※このページは『North Angler’s 2023年6月号』を再編集したものです。
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