今回の実釣をとおし、一番マッチしていたビッグベイトは『モンスターウェイク156F』。キャスト前に表層で動きを見ながらリーリングスピードを確認すると、かなりゆっくり引けると実感。そこで斜めにキャストしてボトムまで沈め、リーリングを開始。ディープトレーサーを使うことでハードルアーでも問題なく攻略できることが分かりました。
大食漢のカジカ(ケムシカジカ、マカジカ)にはビッグベイトが有効!
Photo & Text by Takanori Nakagawa
大食漢のカジカに対して、大きなルアーが効くのは分かっていても、潜行深度や沈下速度などの面からハードルアーはイマイチ使いにくかった。が、それを解消するアイテムが「ディープトレーサー」。ユニークなビッグベイトゲームでカジカを釣ろう!
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シンカーのウエイトでスピードを調節
「沖堤でビッグベイトを使ってアイナメをねらっていると、カジカもよく釣れます。カジカは秋のイメージがありますが、春でもマカジカは釣れます。2020年の5月上旬、アイナメが調子よく釣れていたのですが、中旬になって釣れなくなると、マカジカのラッシュになりました。春のマカジカは積極的にアタックしてくるので楽しい。秋は先にケムシカジカ、その後にマカジカが釣れます」。
翌日は沖堤に渡った。シーズン終盤を迎え、想像以上にカジカのバイトが少ないこうなるとラン&ガンを繰り返して魚を捜すしかない
横風が強く、思うようなラインをトレースできずに苦戦したが、沖堤でもケムシカジカをキャッチ。『T.D.ダイビングミノー105SP』+ディープトレーサー10gの組み合わせ
そう話す吉野さんは取材の前週、港内の奥でマカジカを3尾ゲットしたという。その釣果から「そろそろケムシカジカは終わりかもしれません。ちょうど入れ替わりのタイミングなのか、数日前からカジカのヒットが少なくなりました」と話す。 前日に続いて、ビッグベイトに手を伸ばす。開始から30分後、ファーストヒットはディープトレーサー10g+『T.D.ダイビングミノー105SP』の組み合わせ。これはよく潜るタイプのミノーで、速く巻くと潜り過ぎる。そのため、デッドスローに巻いてユラユラと動かした。バイトがあるのは被覆ブロックや捨て石ゾーン。飛距離はそれほど必要ない。沖に遠投するより斜めにキャストし、ヒットゾーンを長く引いたほうが効率的だ。
本来は表層で使う『モアザン モンスターウェイク 156F』をボトムに届けて。ヨタヨタとしたアクションと大きな波動はカジカに効き、一発で食ってきた
カジカは足もとのブロックエリアを中心に探る。堤防に対し平行または斜めにキャストすることでヒットゾーンを長く通せる
重要なのは「ディープトレーサーのシンカーと、ルアーとの浮力バランス」と考えている。速く沈めたいから重くするのではなく、理想のリーリングスピードでルアーがよい動きをするように調整する。キャスト方向が潮流に対してアップなのかダウンなのかでも変わる。「タックルはヘビーですけど、やっていることはフィネスという感じ」。シビアに調整する必要があるようだ。
潮流や風速にマッチするセッティングを探るため、数キャストごとにルアーをチェンジ。マメなローテーションと調整が釣果のカギを握る
表層で泳がせて、シンカーのウエイトとルアーのバランスを確認する。デッドスローで巻いてみて、しっかりウオブリングしていればOK
ボトムでも変わらないアピールが可能
今回の実釣をとおし、一番マッチしていたビッグベイトは『モンスターウェイク156F』。キャスト前に表層で動きを見ながらリーリングスピードを確認すると、かなりゆっくり引けると実感。そこで斜めにキャストしてボトムまで沈め、リーリングを開始。
「正直、カジカはワームのほうが有利だと思っていましたが、ディープトレーサーを使うことでハードルアーでも問題なく攻略できることが分かりました。ワームとは違う動きを出せるので、ワームに反応しなかった魚にも効果がありそう」。
そんな話をしていると、ロッドが大きく弧を描いた。「楽しい~! 一発で食ってきました。ボトムから少し浮いているかな~というレンジで巻いているときに来ました。本来は水深1mくらいの干潟なんかで使うビッグベイトですが、大きなゆらゆらした動きはカジカに向いているんでしょうね」。
その後、ルアーを変えてカジカを2尾追加。普段は水面直下で使うルアーが、ボトム攻略の切り札になるとは……。ボトム付近で表層と同じように浮遊感のあるナチュラルなベイトを演出できること、ハードルアー単体よりもスローにアピールできることなどメリットは多い。カジカはもちろん、いろいろなターゲットに試してみたい。
アイナメのように派手な首振りダンスはしなくても、どっしりとした重量感と、怪獣のような魚体にひかれる
カジカはあまり暴れるイメージはないが、なかには最後まで抵抗する魚もいる。岸近くまで寄せても油断は禁物
それほど大きくないので一気に抜きあげたが、ロッドの破損につながることもあり、良型はネットですくうのが無難だ
ケムシカジカは歯が鋭く、素手で触るのは危険。プライヤーやフィッシュグリップを使ってフックを外すこと
ハードルアーは錆びやすく、潮抜きは不可欠。帰宅後に潮抜きしやすいよう、使用したルアーは別のケースに入れて持ち帰る
潜行深度4mのクランクベイト。これをディープトレーサーと組み合わせれば、さらに深いレンジを探ることができる。特に壁際をねらう際に有効だ
ラン&ガン時に持ち歩いたルアー。このほかにも状況によって変えられるよう、車内のタックルボックスに数多くのルアーを入れている
あまりの美味しさに「箸で鍋底を突いて壊してしまいそうになる」ことから、ナベコワシの異名を持つカジカ。食べて納得の逸品だ
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