編集部2021年11月2日

トラウト用ベイトロッドを考える 後編

イワナ ニジマス 釣りの仕掛け集 タックル アメマス NorthAnglers

『ブルーカレント』はしなやかに曲がるのにカーボン特有の反発力を兼ね備え、曲げたロッドが勝手に戻ってポイントにルアーを運んでくれる感覚が分かりやすい。そして硬くなくよく曲がるため、キャスト時に親指で押さえていたスプールを離すまでに余裕があり、その結果ピンスポットへキャストがしやすい。「どの方向に飛んでいくか分からない」「軽いルアーを使うとロッドが曲げられない」。そう悩んでいる方におすすめ。

トラウト用ベイトロッドとしての「ブルーカレント」

写真・文=佐々木大

 トラウトの世界においてもベイトタックルの愛用者が増えているが、自分のスタイルにマッチする一本を求めるなら専用にこだわらず、視野を広げるのもよいだろう。

 

トラウト用ベイトロッドとしての「ブルーカレント」

●53/B
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ロッド:ヤマガブランクス『ブルーカレントⅢ 53/B』
リール:シマノ『カルカッタコンクエストBFS HG LEFT』
ライン:モーリス『バリバス スーパートラウトアドバンス』8lb


 シリーズ中、最も短くライトな5.3フィートは渓流に向いている。これまで、さまざまな渓流用ベイトロッドを振ってきたが、その中でも特に細く柔らかい。しかし、ただ柔らかいだけではなく、ほどよく張りがありアクション時にダルさは全くない。最大50㎝オーバーのニジマスを釣ることができたが、ロッドが負けている印象はなく、まだ大きいサイズとやりとりができると感じた。メーカーの方にうかがうと、本州では渓流用として使う方が多いとか。市販の渓流用ベイトで硬いと感じる方や、バルサ製のフローティングミノーなど1~3gをメインにするなら心地よくキャストできるはずだ。

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『53/B』のルアーウエイトはMAX4.5gだが、フルキャストしない渓流では、8g程度のルアーまでカバーできた。ジグヘッドなど比重のあるものは0.5gからキャスト可能。そのしなやかさが想像できるだろう



●69/B
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ロッド:ヤマガブランクス『ブルーカレントⅢ 69/B』
リール:シマノ『カルカッタコンクエストBFS HG LEFT』
ライン:モーリス『バリバス スーパートラウトアドバンス』10lb


 3機種の中で中間の長さとなる6.9フィート。あと少しで7フィートというレングスは中途半端と思う方もいるかもしれない。だが、トラウト用の7フィートより、はるかに柔らかいうえ、他社の渓流用ベイトロッド並みのパワーを誇る。サオ先が非常に繊細で2g前後のルアーを気持ちよくキャスト可能。その長さを活かし、規模の大きめな渓流や中流域、さらに足場の高い湿原河川で使ってみた。
 渓流ではトップウオータープラグをナチュラルドリフトさせるのに容易な長さ。セミルアーなどの虫ルアーを扱うのに持ってこいだ。今シーズンは50~60㎝のイトウやアメマスがヒットしたが、ロッドが満月のように弧を描いてもバットはしっかり残っていた。フライロッドでやりとりしているような感覚はじつに新鮮だった。瀕死のワカサギを模したトップウオータープラグを始め、10g前後のルアーを主力で使うなら湖の釣りでも充分なパワーを秘めている。

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『69/B』のルアーウエイトはMAX7g。キャストウエイトがジグ、プラグ、リグと使うタイプによって細かく分類され、より適した重さが分かりやすいのがいい。10g前後のルアーでもストレスなくキャストできた



●82/B
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ロッド:ヤマガブランクス『ブルーカレントⅢ 82/B』
リール:アブ・ガルシア『レボ ALC-IB7-L』
ライン:バークレイ『スーパーファイヤーライン ウルトラ8』16lb(1号)
ショックリーダー:サンヨーナイロン『アプロード ナノダックスショックリーダー』17.5lb(3.5号)を1mほどFGノットで接続


 シリーズ中、最も長い8.2フィート。キャスト可能なルアーウエイトは20gと汎用性は高く、基本的には遠投を求められる場面に向いている。とはいえ、トラウト用ベイトロッドの8フィートクラスより、はるかにサオ先はしなやか。ヒット後のやりとりはとても面白い。
 今回は湖と本流の下流域で使用した。湖では水深を確かめるため、ルアーを一度底まで沈めるが、ベイトタックルは着底が分かりやすいのが利点。着底から巻き上げてすぐアタリが出るときに持ち味が活きる。それほど飛距離を重視しない方は、ぜひ湖で使っていただきたい。

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『82/B』のルアーウエイトはMAX20g。トラウトロッドで20gまでキャストできる8フィートクラスは珍しくないが、チェックしたいのは2g程度から対応するキャパの広さ。湖や本流で3gクラスを使う私にはうれしい

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250gの静加重を掛けたときの曲がり比較
ブルーカレントシリーズは、ベンディングカーブの表を見て分かるように、しっかりとバットを残しつつも全体的に弧を描くように曲がる。ファイト時はフライロッドでやりとりしている感覚に近く、バラシづらさを実感できるはずだ

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3機種ともFujiのPMTS17という薄型のリールシートを装着。手の小さい方でもしっかりリールを支えてキャスト&リーリングができるだろう


トラウト用はしなやかに曲がるロッドがベスト

 トラウト用ベイトロッドは少しずつではあるが、年々増えている。特に3〜5フィート台の長さが多く、渓流や小規模河川で使うには選ぶ楽しさがあってうれしい。だが、振り比べてみるとメーカーが違うのにアクションが似すぎていたり、トリガーからグリップエンドまで極端に短く、大ものとのファイト時またはキャスト時に手首が痛くなったりする。

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グッドコンディションの遡上アメマス。暴力的なファイトで倒木に何度か入られたが、ロッドがしなやかだと擦れても意外にラインが切れることなくランディングできる

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5m前後の近距離キャストではキャストからサミングまでの時間が少なく、思った所にルアーが行きづらい。その点、初速の速くないロッドは余裕を持ってサミングでき、正確にねらったポイントへ届けられる

 また、軽いルアーがキャストできるよう表記されている割りには、バスロッドのように硬いロッドも存在する。硬いロッドは入門者にとって投げづらさを助長するだけでなく、ヒット後のバラシが増える原因にもなる。ベイトタックルはファイト時に多少の無茶ができると思っている方が多く、ドラグを強めに設定しているアングラーが多いと感じる。私は現状、硬いロッドと強いドラグ設定はバラシ率が極端に上がる設定だと思っている。

 その点、『ブルーカレント』はしなやかに曲がるのにカーボン特有の反発力を兼ね備え、曲げたロッドが勝手に戻ってポイントにルアーを運んでくれる感覚が分かりやすい。そして硬くなくよく曲がるため、キャスト時に親指で押さえていたスプールを離すまでに余裕があり、その結果ピンスポットへキャストがしやすい。「どの方向に飛んでいくか分からない」「軽いルアーを使うとロッドが曲げられない」。そう悩んでいる方におすすめ。さらに、どの機種もPEラインと相性がよく、ファイト時のバラシを軽減してくれるだろう。私の場合、フッキングミスとラインブレイクを除き、ファイト中のバラシはゼロを更新中だ。

 私の周りで愛用している方のほとんどが、ベイトタックルを使ってよかったといっている。本誌で何度も書いているが、ベイトタックルは本当に利点が多い。一番気になるライントラブルについては、車でいうマニュアル車を運転した際のエンストみたいなもので、慣れれば起こらなくなる。専用ロッドにこだわらず、理想の一本を捜してみてはいかが?

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道東は河原がなく足場の高い河川が多く、小規模河川でも長めのロッドが有利。『69/B』はヘビーウエイトルアーが主力でないかぎり、オールマイティーに使えるだろう

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『82/B』は、湖や本流の下流域など広大なフィールドに適している。湖ではスライド系スプーンなど回転するルアーのアクションが分かりやすく、アクションを変化させやすい

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実際に振ってみると、かなり華奢に感じる『53/B』と『69/B』だが、よく曲がりニジマスを必要以上にジャンプさせることなくバラシを抑えられる


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