『Basser』というバスフィッシング専門誌の編集をやっているくらいなので一番好きなのはバスフィッシング……なのですが、実は渓流ルアーも大好き。でも、ただでさえお金が掛かる趣味なのに、いろんな釣りに手を出すのはなかなかハードルが高いもの。そこで、コスパ最高の渓流タックルをご紹介します!
渓流ベイトフィネスでも大活躍! SLX BFS XG(シマノ)
文◎谷川駿介
『Basser』というバスフィッシング専門誌の編集をやっているくらいなので一番好きなのはバスフィッシング……なのですが、実は渓流ルアーも大好き。でも、ただでさえお金が掛かる趣味なのに、いろんな釣りに手を出すのはなかなかハードルが高いもの。そこで、コスパ最高の渓流タックルをご紹介します!
筆者プロフィール
谷川駿介/1990年生まれ。東京都出身・千葉県在住。月刊『Basser』編集部のNo.2(部員は2名)。好きな釣りはバスフィッシングと渓流。釣り以外の趣味は車とカメラ。「釣り(趣味)×車(移動)×カメラ(仕事)」と好きなことがトリプルコンボになっているこの仕事に心底喜びを感じている。
釣りはお金が掛かるのだ
仕事もプライベートもバスフィッシング色が強いボクですが、バスフィッシングと同じくらい愛しているのが渓流のルアーフィッシング。バスフィッシングは自分にとって手足が震えるような興奮・非日常を求める趣味なのに対し、渓流釣りは美しい自然の中で竿を振り、これまた美しい魚体に癒されるための心の洗濯です。同じ釣りでも求めているモノがまったく違うわけです。
渓流ではこんな美しい魚に出会うことができます
で、す、が! お金がない!! 釣りってお金かかり過ぎません(怒)!? たとえばバスフィッシング。僕がやっているレンタルボートスタイルだと、必要なロッドとリールは10セット前後、加えてボートの動力となるエレキやバッテリー、ルアーに至っては天文学的な種類と数が必要です。多分これまでバスフィッシングに投じた金額は●●●万円はくだらないはず。考えたくない。
そこに渓流釣りとなると、またイチからタックルを揃えないといけません。バスフィッシングのタックルから流用はやや無理があるのでやはり専用タックルが欲しいところ。でもでもでも~、高給取りでもないサラリーマンにお金の余裕はありません。なんとしてもお金をかけずにしっかりしたモノ(←ココ重要)を揃えたい。「安かろう悪かろう」は結局お金の無駄だということは、さすがに32年間の人生で学びました。
ベイトフィネスタックルを手に渓流へ走れ!
そんなボクが渓流のルアーフィッシング用に購入したのがトラパラTXS-B4102UL(メジャークラフト)+SLX BFS XG(シマノ)のベイトフィネスセット! ロッドは定価が約7000円、リールは2万5000円。実勢価格だと両者を合わせても3万切ります。う~ん、リーズナブル。
トラパラTXS-B4102UL(メジャークラフト)+SLX BFS XG(シマノ)の組み合わせ。その性能もさることながら、エントリーモデルとは思えないカッコよさ
渓流ルアーの定番であるスピニングではなくベイトタックルというところがミソ。なぜなら、バスアングラーには絶対的にベイトフィネスがオススメだからです。理由はキャスト精度がスピニングよりも圧倒的に高くなるから。
ルアーに飛距離が求められない小規模な渓流では、キャストの正確さとルアーのコース取りが最も重要になるといっても過言ではありません。対岸のブッシュの下の隙間に正確にルアーを滑り込ませ、着水と同時に素早くリーリングを開始し、ルアーが流れに押されてスイートスポットを外れてしまう前に巻いてくる……。これら一連の動作は、スピニングよりもベイトのほうがやりやすいんです。そして我々バスアングラーにとって「ベイトタックルでルアーを狙ったところに投げる」というのはごく日常的な行為。つまり、タックルは流用できなくても核となる技術(キャスト)はそのまま生かせるのが渓流ベイトフィネスなのです。
しかもしかも、ベイトフィネスリールに合わせるのはバスロッドよりもはるかに柔らかくルアーウエイトを乗せやすい渓流用ロッドで、使うルアーは平均して3~5gと、かなり投げやすい組み合わせ。「え、こんなにキャスト決まるの?」とびっくりするはずです。やった僕が言うので断言します。渓流初チャレンジでも、魚がちゃんといる川に入れさえすれば高確率で魚をキャッチできます。
このような小規模な渓流がメインなら、断然ベイトフィネススタイルがおすすめです
スピニングに比べて正確なキャストが可能です。投げているだけで楽しくなれる釣りです
素晴らしいモノづくりと企業努力に感動
リールとロッド以外に関しても触れておきます。ラインはPEの0.8号にフロロリーダー8Lbを巻き、ルアーはド定番のヘビーシンキングミノー・D-コンタクト(約5g/スミス)を結びます。この際、ラインをあまり巻きすぎないのがコツ。小規模渓流ではキャストの距離はせいぜい10~15mくらいなので、30mも巻けばOK。巻きすぎるとスプールの総重量が重くなって軽量ルアーが投げづらくなります。
ルアーはヘビーシンキングミノーがおすすめ。こちらのD-コンタクトはネイティブトラウト界における「神ルアー」。これさえあればどんな渓流でも釣りになるほど
実際投げてみると……感動。ルアーが低弾道で狙ったところにスーッと飛んでいきます。飛距離のコントリールもスピニングのように繊細なフェザリングは必要なく、スプールを親指で抑えるだけで簡単にできてしまうので楽ちん。もともとスピニングで渓流ルアーをやっていた僕にとって、スピニング時代に「決まった! ナイスキャスト!」と思ってたようなキャストが90%以上の確率で放てるという感覚。こりゃ釣れるに決まってる……。実際、初めてベイトフィネスにチャレンジした日もたくさん釣れました。
SLX BFSに関しては、2022年上半期時点で「ベイトフィネス」を謳っているものではおそらく最安だと思われます。軽量ルアーのキャスタビリティーに直結するスプール径は32mmとやや大きめなものの、肉抜きで軽量&低慣性化されたスプールとフィネスチューンブレーキの相乗効果で3gまでのルアーは気持ちよく投げられます。ブレーキセッティングが決まっていればバクラッシュもほとんどしません。アンダー3gの軽量スピナーとかになるとやや軌道が浮いてしまいますが、個人的にネイティブトラウトで3g以下のルアーってほとんど投げません。「より軽量ルアーを快適に投げたい!」とか「オールドリールや高級リールで所有感を満たしたい!」と思わなければ、このリールで必要十分だと心から思いました。エントリーモデルからここまでの感動を得られるとは、ほんといい時代になりました。
ロッドも素晴らしいです。何度も言いますが、渓流ルアーではとにかく狙ったところに正確なキャストを決めるのが大事なので(誇張なしに、釣れるかどうかは9割キャストです)、ロッドも「投げやすさ」に全振りしたものを選んでいいと思います。それすなわち、短くて柔らかいロッドです。使う人の身長やフィールドに規模によって変わりますが、ショートキャストがメインになる小規模河川なら4ft前半~5ftくらいがベター。バスロッドだとまずラインナップされてないレングスですし、トラウト用はとにかくしなやか。軽くテイクバックするだけでロッドがバットまでぐい~んと曲がり、ルアーを正確に投げやすくなっています。僕が選んだトラパラもまさにそういったスペック。ロッドの短さもさることながら、ショートグリップでシングルハンドキャストがしやすく、軽量ルアーでもしっかり曲がるのでキャストが決まります。
アクションに関して、ミノーであればトゥイッチが主体になるので、そういう意味ではロッドワークをさせやすい先調子のモノがよくなってくるのですが、ここは気にせずレギュラーテーパーを選びましょう。くどいようですが、キャストが決まるかどうかが一番重要なので!!
ということで、バスフィッシングである程度ベイトタックルの扱いに慣れていれば、エントリーモデルでも十分すぎるほどの使用感を得ることができ、かつ魚もしっかりキャッチできる、ということが判明しました(パチパチ)。こんなにいいものを安くユーザーに提供してくれるメーカーさんには本当に感謝です。
ひとつ注意なのが場所(川)選び。渓流ルアー入門者は、いや入門者ほど都心から離れた、人が少ない川にエントリーしてください。関東近郊の激戦区(桂川や丹沢など)は魚がスレており、「キャストが決まれば勝ち」の展開に持ち込みづらいです。それこそ2gアンダーの超軽量ルアーが必要になったり、キャスト後の細やかなテクニックが要求されたりもするので、比較的魚が素直な甲信越(栃木、群馬、埼玉、東京、神奈川以外)地方の渓流に行くといいかもしれません。
ということで、全国各地の渓流もあと2~3カ月で解禁。この冬にタックルをそろえて、美しい自然と魚に癒されてみては?
ボクです。渓流ベイトフィネスデビューの日にもしっかりイワナが釣れてにっこり。山梨県の渓流にて
つり人社編集部員が買ってよかったアイテム2022
◆つり人社編集部員が愛読書を紹介
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