2025年1月25、26日にダイワグレマスターズ2024(主催:グローブライド)の決勝大会が鹿児島県の甑島にて行なわれた。
写真・文◎編集部
今年は甑島で開催
2025年1月25、26日にダイワグレマスターズ2024(主催:グローブライド)の決勝大会が鹿児島県の甑島にて行なわれた。甑島は東シナ海の沖合に浮かぶ離島で、グレ(メジナ)の魚影が非常に豊富であり、寒グレシーズン真っ只中。エキスパートたちの釣技を披露する場として申し分ないフィールドである。
本大会は現在V8かつ4連覇という戦績の田中貴選手が前人未到のV9を達成するかどうかに注目する人も多かった。また、YouTubeにてライブ配信も行なわれた。磯釣り大会の中継は世界初の試みであり、通信環境が問題視されたが、衛星インターネットアクセスサービスであるスターリンクを活用することで実現。都内のスタジオとの2元中継で、V8記録保持者の山元八郎さんによる解説も行なわれた。
対象魚のグレ(メジナ)
沖磯からの中継にスターリンクを導入
前日の予選結果
25日は北東の風が強く、上甑島の地方寄りの磯での予選を余儀なくされた。予選は各地区のブロック大会を勝ち上がってきた12名とシード選手4名の計16人。4グループに分かれ、3試合の総当たり戦で勝敗がまる。
ハイシーズンとはいえ蓋を開けてみれば、この日はどの磯もメジナの活性は渋く、5尾のリミットメイクはおろか、ノーフィッシュの試合もあった。強風が吹き荒ぶ中でいかに仕掛けをタナへ入れ込み、一尾を引き出すかが争点となる試合が多く見られた。
厳しい状況の中で翌日の準決勝に駒を進めたのは、外輪勝也選手、原田真選手、坂東春加選手、松尾操選手。山元さんの記録を超すV9が期待されていた田中貴選手は惜しくも予選敗退であった。
全国大会に出場した16名の選手たち
準決勝
準決勝は翌日26日の7時30分からスタート。予選とは場所を変え、上甑島の里港からほど近い近島の磯で行なわれた。外輪選手対松尾選手はエボシ、原田選手対坂東選手はイキツケという磯で対戦する。この日は小潮で潮はほとんど動かない。それでも魚の活性は悪くなく、開始早々から選手たちのサオが曲がる。タモ入れされる魚はどれも良型だ。甑島のメジナは他の地域と比べてよく引くと言われている。選手たちもその評判どおりの力強いファイトに翻弄されつつも着実に数を揃えていった。
この試合で最も注目を集めたのが今大会唯一の女性出場者である坂東選手。2年連続で全国大会に進出しており、その実力は伊達ではないようだ。水中ウキを使い、わずかな潮流を着実に捉えてグレを掛けていく。
決勝進出を決めたのは、銀狼カップなどのチヌ釣り大会で数多く優勝してきた外輪選手とグレマスターズ全国決勝大会へ過去2回出場している原田選手となった。
徳島県出身の坂東選手。ダイワグレマスターズ史上初の女性チャンピオンを目指している。
決勝に勝ち進んだ(左から)外輪選手と原田選手
決勝
近島の名ポイントである平瀬で決勝は行なわれた。試合時間は10時40分から2時間。準決勝まではリミットが5尾だったが、決勝戦は10尾となる。
先制の1尾は右側の釣り座へ入った外輪選手。決勝戦が始まる頃には風が弱まる予報だったが、左から吹く風は強いままだ。左側と比べると右側は風裏になっており、外輪選手が早々に掛けた。ポツリポツリと数を伸ばしていくのに対して原田選手はノーフィッシュで前半戦が終了した。
釣り座交代後は原田選手がグレを立て続けにキャッチ。この勢いで追いつこうとするものの、風がやや弱まり左の釣り座でも釣りやすくなってきたようで、二人の差はなかなか縮まらない。残り10分のコール後、外輪選手がダメ押しの1尾を追加。試合終了のホーンが鳴った。
結果は原田選手が5尾、3476g、外輪選手が10尾7368gと外輪選手がダブルスコアを叩き出して優勝。外輪選手はチヌ釣り大会とグレ釣り大会を制覇する偉業を成し遂げた。
「最後は活性が上がって毎投アタリがあってリミットメイクすることができました。2時間ずっといい釣りができたんじゃないかなと思います。甑島のグレに愛されていました」と外輪選手は笑顔で話す。風が強く、潮が動かないという悪条件をいかに乗りこなしてグレの元に仕掛けを運ぶかがカギとなるテクニカルな戦いであった。
優勝は外輪選手、準優勝は原田選手、3位は坂東選手・松尾選手